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脳筋忍者はシノビたい  作者: ハマ


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 僕は他の人とは違う。

 それを理解したのは、物心ついた頃だった。


 他の人よりも体が頑丈で、他の人よりも魔力の扱い方が上手かった。

 武器を手にすれば、どう扱えば良いのか直ぐに理解出来て、誰よりも上手く扱えるようになった。

 魔術も一度見れば理解出来たし、更に発展させたり改良したりと様々な事が出来た。


 この事は、母と妹のリーナしか知らない事実。


 母が誰にも教えちゃいけないと言うから、僕は隠した。


 でも、あと一つ、母にもリーナにも言っていない事がある。


 僕はずっと、誰かの声を聞いていた。


 その声は成長するにつれて、大きくはっきりと聞こえるようになって来て、七歳になった時、言葉の意味をはっきりと理解した。


『ルーク、世界の危機が迫っています。あなたの力を使い、脅威を退けなさい』


 それは、この世界から発せられていた声だった。


 リーナと庭で遊んでいた僕は、呆然と立ち尽くして何をするべきなのかを理解する。

 そして、走り出す。


「兄様⁉︎」


 一緒に遊んでいたリーナが追いかけて来るけど、構っている余裕は無い。

 だって、僕がやらないと世界が滅んでしまうから。


 走って走ってたどり着いたのは、小高い丘の上。

 この丘には何度か来た事がある。

 ここからは町が一望出来て、とても綺麗な場所で僕のお気に入りでもある。


 そして、ここにある物が落下して来るのだ。


「はあ、はあ……兄様?」


「リーナ、戻るんだ。ここは危険だから」


 上空を見ると、遥か彼方から何かが落ちて来ているのが見える。

 それはまるで星が落ちて来ているようで、とても荘厳で、途轍もなく恐ろしかった。


 あれが落ちれば、町はもちろん、国も、世界も滅びる。

 あれをどうにかする事が、僕が生まれて来た理由。


「あっ、あっ……兄様?」


 怯えたリーナに近付いて、そっと頭を撫でる。


「大丈夫だから、あれは僕が何とかする」


 そう告げると、僕は自分の中に刻まれた、最大の魔術を作り上げる。

 それは命を代償に使う究極の破壊魔術。


 ただ、この世から消し去る消滅の魔術。


 僕の魔術に呼応するように大気が震えて、空間が歪む。


 あとはこれを放つだけでいい。


 なのだけれど、変な男の人に邪魔をされた。


「ったく、ガキに命を懸けさせんなよ」


 その男の人は、片手を振るだけで僕の魔術を霧散させる。

 何をやっているんだと訴えたかったけど、男の人が凄く怒っているのが分かって、何も言えなかった。


「坊主、こういうのはな、大人に任せとけば良いんだよ。子供は飯食って遊んで寝てろ」


「でも、僕がやらなきゃ、世界がそう言って……」


「んなもん無視しろ無視。ああ、なんか植え付けられてんな。っとそれは後でやるとして、今はあっちが先だな」


 男の人は、手に膨大な力を溜める。

 その力は僕の命を懸けた魔術が霞むほどで、見るだけで恐怖を覚える。それでも、とても優しくて救いのような光を放っていた。


 その力を宿した手を落ちて来る星に向けると、ひときわ光り輝き、白銀の光が放たれた。


「綺麗だ……」


「綺麗……」


 僕は思わず呟いていた。

 隣にはリーナも来ており、僕と同じ感想を抱いたようだ。


 白銀の光は星に衝突すると、全てを飲み込み跡形も無く消し去ってしまった。


「うしっ、本当ならこれで終わりなんだが……坊主、少し話しするか?」


 これが、僕と師匠の出会いだった。



  ◯



「まずは自己紹介だ。俺は×××××、あっ聞こえないか、小賢しいなこれ。とりあえず、半蔵さんでいいや。坊主、名前は?」


「僕はルーク・ストロング、こっちは妹のリーナ・ストロング。僕達はストロング伯爵家の者です」


 自己紹介すると、半蔵さんは頷いて「よろしくな」と手を伸ばした。それが何か分からなくて見ていると、「握手だよ握手、ほらリーナちゃんも」と無理矢理僕らの手を取った。


 半蔵さんの手から、何かの力が流れ込んで来る。

 その瞬間、僕の中で何かが壊れる音がした。


「まあ、これで大丈夫だろう。まだ声は聞こえるか?」


「どうしてそれを……?」


 どうして半蔵さんは、声のことを知っているのだろう?

 そう疑問に思いながら耳を澄ましてみると、これまで聞こえていた声が聞こえるなくなっていた。


「っ⁉︎」


 それだけじゃない、近くに感じていた存在が遠く離れたような気がした。


 寂しい。

 これまで感じたことのない感情が、僕の中に溢れ出す。


「兄様?」


 体の震えが止まらない。

 僕は気付かないうちに、必死に自分自身を抱きしめていた。


「悪い、いきなりすまなかった。必要なこととはいえ、子供相手にいきなりやるべきじゃなかったな。ルーク、孤独を感じるのは初めてか?」


「……孤独?」


「そう、それが孤独だ。この世界の意思との繋がりを絶った。それが本来の人の在り方だ」


 何を言っているのか、意味が分からなかった。

 そして、次の言葉はもっと意味が分からなかい。


「ルーク、お前は人じゃない。この世界が創造した神子だ」


「みこ?」


「そうだ。あの隕石が衝突するのが分かって、急いでお前を創造したんだろう。与えられた力に対して、繋がりがガバガバなのも、その辺りが関係しているんだろうな」


「さっきから、何を言っているのか、分かりません。僕は、どうなるん、ですか?」


「何も変わらん。これからは、真っ当な人間として生きて行くんだよ。ただ、人にしては力が強過ぎるからな、その力を制御出来るようになるまで、俺が指導してやる」


「力の指導?」


「そうだ、お前を鍛え上げる。リーナちゃん、お願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」


「はい!」


 突然呼ばれたリーナは、元気に返事をした。


「ルークはしばらく預からせてもらう。お家には帰れないから、パパかママに言っておいてくれないかな?」


「いやです! 私も兄様と一緒がいいです!」


「えっと……ええーっ……一緒がいいの? いや、無理じゃないけど、劣化版になるしなぁ……。それに結構ハードな訓練も必要になるし……」


 半蔵さんは、ブツブツと呟いたあとリーナを真っ直ぐに見る。


「本当に一緒がいいの? 結構大変だよ?」


「兄様と一緒がいいです!」


「辛かったら途中で辞めてもいいからね、ちゃんと言うんだよ」


「? わかりました!」


 こうして、僕とリーナは半蔵さんの下で、それぞれの訓練に励むようになる。

 僕らがストロング家に帰ったのは、それから半年後のことだった。

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