袁紹の恋
第二回戦が行われるのは、来週の土曜日である。つまり、地区大会は毎週土曜日に一試合ずつ各校行う。劉備は唯一の休みである日曜日に思いを馳せながら、学生寮の自室でのんびりと寛いでいた。
「お届け物です」
「へいへい」
宅配便が劉備の部屋に届いた。この世界に来てから、まだ日も浅いというのに、一体誰が自分に贈り物をしたのだろうか。劉備は大きな赤いリボンで結ばれている箱を、外の紙をビリビリに破いて、早速中身を確認してみた。
「え?」
てっきり、食べ物か何かが入っていると思われたが、そこに入っていたのは、劉備の予想の斜め上を行く物だった。赤いリボンで胸と陰部を隠すように結ばれている裸体の女性。潤んだ瞳で劉備のことをじっと見ていた。
「人形かこれ?」
フランス人形に見えるソレの大きな胸を指の先で突いてみた。
「ああん」
「ひっ・・・・」
思わず後ずさりする劉備。フランス人形は勝手に起き上がると、箱から出て、四つん這いの姿勢で劉備の元ににじり寄って来た。
「あ、あなたはまさか・・・・」
「うふふ、そうですわ。私は冀州武芸部部長の袁紹ですわ」
「ぬおおおおお」
「な、何ですの?」
「お前が何で俺の家に届けられているんだ。というか、何だよ。嫌がらせに来たのか?」
「違いますわ。失敬な。私はあなたに試合で負けました。敗者は勝者に従うのが武芸の習わし、だからこそ、こうやってあなたの好きそうなシチュエーションをご用意しましたのに」
ありがた迷惑とはこのことである。劉備は無言で袁紹を箱の上に座らせると、そのまま蓋を彼女の頭に付けて、箱に押し戻そうとした。
「ちょ、痛いですわ。私の髪が傷んでしまう」
「うるさいぞ。俺はなあ。自分から女の子に悪戯するのは好きだが、そうやって迫ってくる女は苦手なんだ」
「そんな、せっかく私の高貴な処女と、この豊満かつ美麗な胸でスペシャルサービスをして差し上げようとしましたのに」
「な、なぬ?」
一瞬悩む劉備。これも男のサガゆえか。しかし、ここで誘惑に負けてはいけない。
「いいから出てけ」
劉備は箱ごと窓から外に投げ飛ばした。
次の日
ドアの叩く音で劉備は眼を覚ました。
「おいおい、まだ6時だぜ。学校じゃないんだから」
劉備はぼさぼさの髪の毛を手で撫でながら、玄関のドアを開けた。そこには見覚えのある女性が二人心配そうな顔で立っていた。
「どうした?」
「あ、あなたは劉備玄徳さんですね」
「ああ、そうだけどさ。インターホンを押せよ。別にドアを叩かなくたっていいだろうが」
「それはすいません。それよりも、一つ聞きたいことが。昨夜から我らが部長の袁紹様が、自宅に帰られていないそうですが、何か知りませんか?」
「知らない」
劉備は即答すると、そのまま玄関のドアを閉めた。昨日窓から放り投げた際に、川にでも流されたのか、劉備は何も考えないことにした。




