劉備の新技
劉備は倒れている袁紹を見下ろしながら、剣の先を彼女の顎にそっと当てた。
「早く立ちなよ。あんたの高慢な態度をブッ飛ばしてやる」
劉備の言葉に観客達が湧いていた。一方的な試合運びになると思われた第二試合が、思わぬ盛り上がりを見せていたので、観客達もテンションが上がっていたのだ。
「私の自慢の髪に砂が掛かりましたわ」
袁紹は立ち上がると、劉備のことを睨み付けながら、今度は自分から攻撃を仕掛けようと、剣を構えた。
「ふん・・・・」
緊張する両者。
「行くぜ」
「はあああああ」
両者は互いに剣を相手に向けながら走った。しかし、間が悪いことに、審判により休憩の銅鑼が鳴らされ、第一ラウンド終了となった。
劉備と袁紹はそれぞれ、自校の生徒達の元に戻り、水を飲んだり、タオルで汗を拭いていた。武芸の試合では一ラウンドにつき3分と決まっている。3分ごとに銅鑼が鳴らされて1分間の休憩となるのだ。
「はあ・・・・はあ・・・・」
「劉備、先程何か掴んだな」
関羽は水筒を劉備に渡しながら言った。
「別に、どうでも無いですよ。ただ、こんな長期戦は初めてっす」
「確かにな。今までは第一ラウンドで決着が着く試合ばかりだったからな」
「ああ、くそ、疲れてフラフラですよ」
そうこうしているうちに、試合再開の銅鑼が叩かれた。少しばかりリフレッシュした二人が、再びグラウンドに姿を現した。
「このラウンドで終わらせますわよ」
「それはこっちのセリフだ」
劉備は眼を閉じて剣を強く握り締めた。彼の全身を緑色の気が包み込んでいる。まだ粗削りで安定感には欠けるが、確実に気を習得し始めていた。
「行くぜええええ」
劉備は袁紹に向かって走ると、剣を振り上げて袁紹の頭上に振り下ろした。
「はああああ」
「そうは行きませんわ」
袁紹の剣が劉備の剣とぶつかり合う。金属同士の擦れ合う音が会場内に鳴り響いた。そして金色と緑の気がバチバチと火花を散らしながら、強力な光を発していた。最もその光が見えるのは、気の使い手だけなのだが。
「ぬうううう」
劉備は少しずつ後ろに下がって行った。袁紹の気に押されていたのだ。
「おーほっほっほ。エレガントな私のパワーはいかが?」
「へ・・・・へへ」
劉備は気味悪く笑うと、袁紹の脇腹を足で蹴って、そのまま後ろ跳んで距離を置いた。
「喰らわせてやる。俺の変な技を」
劉備は袁紹が押されてよろめいている隙に、彼女の懐に潜り込むと、剣を横に一閃薙ぎ払った。
「真・仏陀斬り」
「し、しま・・・・」
言い掛けたところで、袁紹の体を緑色の線が切り裂いた。彼女は衝撃で背後に吹き飛ぶと、そのまま地面の上に大の字に倒れた。
「はあ・・・・はあ・・・・」
劉備は膝崩れになると、ゆっくりと立ち上がる袁紹を見て、溜息を吐いた。
「しぶといな・・・・」
「わ、私はまだやれますわ・・・・」
「いや、あんたの負けだよ」
劉備は剣を鞘に納めると、そのまま袁紹に背中を向けた。
「馬鹿な。そんな隙を見せて、何が目的ですの?」
袁紹は剣を振り上げて、劉備に後ろから斬り掛かろうとした。しかし、それよりも速く、彼女の着ていた金色のユニフォームが、突然ビリビリに破けて、粉々になった。まるでハサミで服を切り刻んだかのように、繊維の破片が風に揺られて空に舞って行った。
「へ・・・・?」
袁紹の豊満な胸がプルンっと揺れた。桜色の乳首が、高慢な彼女を象徴するかのごとく、ツンと上を向いている。
「は・・・・へ・・・・?」
あまりの驚きに、胸を隠すことも忘れて、ただ棒立ちになっていた。彼女の取り巻きである顔良と文酷の驚きぶりは言うまでもない。すぐにバスタオルを持って、彼女に駆け寄ると、それで彼女の恥部もろとも、体を覆い隠した。
「劉備、やったな」
関羽は劉備を出迎えると、同時に銅鑼が鳴り、成都高校の第一回通過が確定した。




