起床
「篠崎ぃ。よくもまぁそんなにグッスリ眠れるよなぁ」
「………」
「まだ目ぇ覚めてないか?もう一発くらっておくかぁ?」
「…はっ!?目が覚めました教官殿!」
「何が教官殿だぁ!」
50すぎたオヤジ教師、永田に再び頭を古典の教科書にて叩かれる。
痛いよ。最近は簡単に虐待で訴えられる世の中だってのに遠慮なく叩くよな、この人。
まぁ授業中に寝てたオレが悪いし、文句は言わないけど。
「篠崎ぃ、凄い汗をかいてるぞぉ。てか全身から凄い汗だなぁオィ。顔洗ってジャージにでも着替えたらどうだぁ?」
「う…ホントだ。すみません、失礼させてもらいます」
永田はすぐ手がでるが、優しい教師だったりする。
体調の悪そうな生徒にはすぐ気がついて保健室に行って来いだの言うし、怪我で入院した生徒がテスト受けられなかった時とかもすぐに処置してくれる。
「体調は悪くねぇか?叩いちまったが体調悪けりゃ…」
「大丈夫です!いつも通りオレは元気が取り柄です!」
「そうか。まぁ無理はすんなよぉ」
永田はそう言うと教科書を開き、授業を再開した。
…それにしても変な夢見たなぁ。
「…てな感じの夢を見たんだが、オレ欲求不満でもたまってんのかね?女を求めすぎて女になっちまったよオレ」
「確かに愉快な夢みたいだね。最初のスパイ物もどきからマッドサイエンティストに脳をいじられ、下着姿の女となってバイクで激走。うん、夢らしく無茶苦茶だ」
永田の授業が終わり、教室でオレだけがジャージ姿になりながら一番親しい友人の相生と昼飯を取る。
オレはコンビニで買ってきたサンドイッチ、メロンパン、ヤキソバパン、鮭オニギリ、レモンティー、おやつ用にドーナツetc.を飲み食いして相生は弁当。
特に会話するネタもなかったので先程見た夢を駄弁り、相生が笑いながら適当に聞いている。
相生はオレと違って落ち着いた感じのヤツで、短いながらも素で髪がツンツンしており赤いフレームの眼鏡をかけている男だ。
基本的に落ち着きのないオレと相性は悪そうだが意外と趣味があって去年同じクラスになってから高校2年となり7月となった今も仲良くしている。
食事を続けながらオレは見た夢普通に忘れちまったなぁと相生が喋ってると…
『東京都○○区のイルピンにて火災が発生し、死者5名怪我人25名となる事件が発生しました。今のところ火災の原因は分かっておらず…』
クラスメイトの誰かがスマホでニュースを見ていて、それが耳に入ってきた。
…イルピン?偶然だな、オレの夢の中でも爆発襲撃事件がおきてたぞ。
「そういえば最近、火災多いよね。場所もバラバラで関係性もないみたいだけど毎日ニュースで火災が~って聞くよ」
「昨日は熊本、一昨日は大阪だっけ?」
「昨日が大阪で一昨日は東京だよ。熊本は一週間くらい前のはず」
火災のおきている場所は地域も違えばアパート、映画館、製薬会社、プールと発生現場もバラバラ。
全くの関連性の無さでありながら火災の多発っぷりに最近のニュースは持ち切りだ。
ガスメーカーの設備の異常じゃないか、けどもメーカーはどこも違う。
もしかしてテロか!?犯行声明はないしいろんな地域での多発っぷりから故意だとしたら戦争が起きてますよ(笑)的なコメントもよく見る。
まぁテロは惜しいよな。ただ単に施設があるかどうかが決め手なだけなのに。
「…ん?」
「どうかした、篠崎くん?」
「あ、いや…まだちょいと寝ぼけてるっぽい」
…施設?人を簡単に殺しながら行われている実験の施設が日本のあちこちにあるっていうのか?
我が夢ながら馬鹿馬鹿しい。そんな事より重要なのは…。
「あぁ!?NBE56のライブが中止になってるぞ!?例によって火災が原因でだとよ!」
「えぇ!?本当なの篠崎くん!」
何気なくスマホでメールチェックしたらオレと相生が好きなアイドルグループのライブ中止のメールが。
せっかく地元で行われるはずだったのに中止とかありえねぇ!




