ナルアとデート2
イチャコラしおってぇ……。
僕とナルアは、オルドの町の中を手をつないで歩いていく。こうして歩いていて思った第一印象は、『にぎやかな町』だ。
住人みんなが笑顔で、明るい雰囲気が蔓延している。前世だとこういう雰囲気のところはなぜか居心地が悪くて裂けていたけど、今はナルアが一緒にいる。それだけで、楽しく感じてしまっているのだから、なんだかなぁ、という感じだ。
ナルアは無邪気な笑顔を浮かべながら、通りにある店先を覗いては、これはなにあれはなにと店員に質問している。
ナルアみたいに可愛い娘に話しかけられてまんざらでもないのか、店の人たちは快くいろいろなことを教えてくれた。中には冒険者として役立つ知識もあったので、もうけものだ。
と、そんななか、一つの店のの前で、足を止める。そこには「ブティック」と書かれていた。
ちらりと、ナルアの恰好を見てみる。いつも通りのゴスロリ姿だ。
……。
「ナルア、ちょっとこの店入ってみようか」
「うん、えっと…服屋さん?」
ナルアの手を引いて、店の中に入る。中には様々な種類の服が色とりどりに並んでいた。小奇麗な店である。これはあたりを引いたかも?
「あら、いらっしゃい。ふふっ、可愛いお客さんね」
店の奥から出てきたのは、二十代くらいと思われる女性。優し気な雰囲気が漂う美人さんだ。そして、ナルアが死んだ目をするくらいに、巨乳である。いや、僕はナルアくらいのほうが好きだからね?
「それで、今日はどんな御用?」
「ナルア……この子に似合いそうな服を見繕ってくれませんか?」
「え?ね、ネクロ?」
ナルアが驚いたように言う。服屋に入ったんだから、ナルアの服買うにきまってるじゃないか。男の僕の服を買って何が楽しいんだ?
「そう、わかったわ。それじゃあ、えっと、ナルアちゃん?こっちに来てもらえる?」
「あ、はい」
まだ状況がよく呑み込めていないナルアを、店主が奥に連れていく。可愛くなってくることを期待しよう。
「まぁまぁ!ナルアちゃんって本当に肌がきれいねぇ。すべすべでもちもちで、うらやましいわぁ~」
「え、えっと……」
「髪もさらさらだし……。もうっ、食べちゃいたいくらいだわ」
「ひゃうっ!」
「ふふふ、カワイイ声♪もっともっとおさわりしたくなっちゃう。そーれこちょこちょ~」
「ひゃっ……そこは…うぅ……ぁあっ!ひゃうんっ!」
「かーわーいーいー!」
「ね、ネクロぉおおおおおおお!!!」
……なか、どうなってるんだろうなぁ……。
若干遠い目をしながら、ナルアの嬌声響く店の中で待つこと三十分。やっぱり服選ぶのって時間かかるんだなって思った。
「はーい、彼女さん、こんな感じになったわよ」
「うぅうう……。ね、ネクロ……どう、かな?」
店主に連れられて、恥ずかしそうに出てきたナルアを見て…………絶句。
ナルアが身にまとっていたのは、シンプルなデザインの薄桃色の半袖ミニワンピに、白のハイソックスの組み合わせ。足元はバレエシューズ見たいなくつを はいている。そして、いつもはそのままにしている黒髪を、おさげにして前に垂らしていた。
そしてなぜか、ナルアの小さな鼻の上には、シルバーフレームの伊達眼鏡が……。
結論。天使以外の何物でもない!
いやいや、ここまで清楚さを前面に出しながら、ミニワンピとハイソックスの間に覗く絶対領域や、ゆるくあいた胸元が色香を醸し出している。無防備な印象が、男の本能を掻き立てるのだ。
「店主……いい仕事しますね!」
「でしょ!素材がいいってこともあるけど、なかなかのものだと自画自賛するわ!」
「素晴らしいです!すっごくかわいいよ、ナルア!」
「そ、そう……?えへへっ、うれしいな…」
そうやってもじもじしてる姿も可愛くって、その場で抱きしめたくなる。落ち着け落ち着け、クールに行こう。
「それで、店主。いくらだ?言い値で買おう」
「ふふふっ。本当に気に入ってくれたみたいね。でも、ちょっと待ってくれるかしら?ついでに、あなたの服も選んじゃうから」
「え?」
店主はそういうと、僕の腕をガシッとつかんだ。そのまますごいパワーで引っ張られて店の奥に連れていかれる。
「え、ちょ、まっ!」
「はーい、お着換えしましょうねー♪」
「ひゃ、ひゃぁああああああああああああ!!!」
…………全身はぎとられそうになったのを何とか阻止したが、精神的なダメージがすごかった。精神ステ99999の僕に対して……やるではないか。
で、僕の恰好がどうなったかというと……。
この世界では異彩を放つ、学生服である。その上になぜかパーカーを重ねられた。いや、確かに前世では毎日この格好してたけど……。
「そもそも、なんで学生服が?」
「あら、よく知ってたわね。これは昔異世界から召喚された勇者さまが伝えたといわれている服よ。私の店では、それらを扱っているのよ」
「へぇ……」
そうだったのか。それでナルアのやつも日本風のやつなんだな。ということは、昔召喚されたっていう勇者は日本人か?
「それで、その服の値段なんだけど……。あなたたちが定期的にそれを着て町で過ごしてくれるなら、ただでもいいわ」
「え、いいんですか?」
「ええ、宣伝料よ。服の説明を求められたら、この店のことを教えてくれるとありがたいかな?」
「そういうことなら、わかりました。ありがとうございます」
「ありがとうね!ミサ!」
あ、この店主さん。ミサって名前だったのね。ナルアはさっき聞いたんだろう。
店主ことミサさんにお礼を言い、店を後にした僕たちは、またデートに戻り、夕方までこの町を楽しむのであった。
あ、店主さんはこの後出演の予定はございません(たぶん)。
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