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中二病幽霊が、異世界でおこす嵐、その物語です  作者: 原初
冒険者と第一ゲーム
33/80

テンプレテンプレ、お疲れーっス(笑)

そう、冒険者ギルドと言ったらあれですよ、あれ。

 ナルアとのデートを楽しんだ次の日。僕は冒険者ギルドに朝早くから向かっていた。ナルアは今日も一緒にいる。頻度としては、一週間に四日くらいかな?早く毎日一緒にいたいものである。


 ナルアの恰好は、昨日と同じもの。気に入ったみたいである。かく言う僕も学生服にパーカーというスタイルだ。


 冒険者ギルドにいく理由は、言わずもがな冒険者登録の試験を受けるためである。朝いちばんにしたのは、そのほうが混んでないだろうなと思ったからだ。


 ……って、思ったんだけど……。


「すごい人だねー」

「……だねー」


 ナルアと手をつなぎ、冒険者ギルドの入口で立ちすくむ。冒険者ギルドの中は、冒険者たちであふれかえっていた。いつかの魔物の群れを思い出す光景である。


 それにしても、なんでこんなに人が多いんだろう?冒険者ってこんなに朝早くから依頼を受けに来るものだったっけ?リンネに聞いたのとは違うなぁ……。


「あ、そうだ。ナルア。ここでは僕、ちょっといつもとは違う話し方をするから。聞いても笑わないでよ?」

「そうなの?いつもと違うネクロかぁ……。楽しみ♪」


 そういって顔をほころばせるナルアにほっこりしつつ、冒険者たちの合間を縫って進む。人の波にのまれそうなこの状況。前世のコミケを思い出すな。


 っと、抜けたか。ここに来るだけで少し疲れが……。ナルアも少し疲れた様子だ。


「あ、昨日の……ネクロさんでしたっけ?」


 と、カウンターから一人の受付嬢が声をかけてきた。えっと、たしかアイラさんっていったような。


「ああ、そうだ。アイラ…で、あっていたか?」

「はいっ、覚えていてくださったんですね。あなたの試験の説明と案内をさせてもらうことになりましたので、よろしくお願いします。それでえっと……その子は……」


 隣を見ると、ナルアがアイラさんのことをじぃーっとみていた。


「こら、ナルア。失礼だろ。すまんな、私の婚約者が」

「こ、婚約者ぁ!?そ、その年で婚約者って……もしかしてネクロさん、貴族だったりします?」

「いや、そんなことはない。かしこまる必要はないぞ。ナルアも、挨拶しなさい」

「……初めまして、ネクロの婚約者のナルアといいます。わたしの旦那様(予定)を、どうぞよろしくお願いします」

「こ、これはご丁寧に……。アイラ・グラードです。それで、ネクロさん。試験の前に、昨日お預かりしたものなんですけど……。これ、どこで手に入れたんですか?」

「?……おかしなことを聞くな。魔石なのだから、魔物を狩って手に入れたに決まっているだろうが」

「でもこれ、ランク9の魔石ですよ!?」

「そうだが?」

「………ネクロさんって、何者ですか?ランク9の魔物をこんなに狩れるだけの実力があったのに、冒険者ギルドに登録していなかったって……」

「むぅ……ネクロを疑ってるの?」

「あ、いえ、そういうわけじゃ……」


 ナルアのじとーッとした目に、慌てたように両手を胸の前で振るうアイラさん。こらこらとナルアの頭をなでて落ち着かせ、僕はアイラさんの疑問に、前もって決めていた設定を話す。


「いや、今までは魔法の研究ばかりにかまけてきたんだが……。知人の紹介で、こうして外の世界に触れてみることにしてな。その第一歩として冒険者になろうと考えたわけだ。その魔石は、魔法の試し打ちで倒した魔物からとったものだ」

「な、なるほど……。そういうことだったんですかぁ…」


 アイラさんはどうやら納得してくれたようだ。ま、僕の言葉に信憑性があろうがなかろうが、それを確かめる手段はないわけで……。



「へ、そんな見え見えの嘘ついてんじゃねーぞ、この詐欺師野郎」



 と、いきなり背後から、そんな声が聞こえた。振り返ってみると、そこには鎧甲冑すがたの男が。年齢は二十歳くらいだろうか?大剣を背負っているところからして、前衛の剣士だと思う。


 だけどこいつ……。弱くないか?いや、比べる対象がノルンなのがいけないのかもしれないけど、足運びとかぐちゃぐちゃだし…。こうして目の前に立って無防備にしていても、まるで恐怖を感じない。


「お前は?」

「ちょっと、イートさん!そうやって他の冒険者にからむのはやめてくださいと、何度も注意してるではありませんか!」

「うるせぇ!受付嬢は黙ってろよ。オレが用があるのは、そこの詐欺師野郎だけだ」


 そういって、イートと呼ばれた男は僕のほうに近づいてくる。


「てめぇ、なにがランク9の魔物を狩っただぁ?今から冒険者になろうってやつに、そんなことできるわけないだろうが」

「話を聞いていなかったのか、お前は。それに、証拠だってある」

「はん!それだってどうせ金で買ったもんなんだろ?見栄張るためになぁ!」

「言いがかりはよしてくれ。それと、息が臭いから離れろ」

「な、……てめぇ!オレが『赤竜の咆哮』所属のDランク冒険者、イート・シャクだと知ってそんななめた口きいてんのか!」

「知らん」


 ばっさり切り捨ててやったら、絶句しているこの男。たしかイートとか言ったか?僕はこいつを見て……。


 すごく感動していた。


 これぞまさしく冒険者ギルドで起こるテンプレの代表格。登録の時にからまれるあれである。少し期待していたとはいえ、まさか本当に起こるとは……。


 いやはや、いいものを見ましたよ、イートくん。


「くそ!なめやがって……。殺すぞっ!」

「ひぅ……ネクロぉ…怖いよ……」


 そういって抱き着いてきて顔を僕の胸にうずめるナルア。怖がっているように見えるけど、これじゃれついてるだけだね。


「……へ、なんだぁ、その女は。ずいぶんときれいじゃねえか。お前のこれか?」


 そういって小指を立てるイート。古いぞ、それ。


「そうだ、お前のさっきまでのなめた態度。その女をオレに貸すってんなら許してやっても……」

「いい加減にしなさい、イートさん!それ以上は、冒険者ギルドが黙っていませんよ!」

「うるせぇ!引っ込んでろっていっただろ!」


 …………ああ、イート。それを言っちゃうか。そうかそうか。



 殺すよ?



「ショックインパクト」


「ほら、さっさとその女をこっちにぶぺぇらぁ!!」


 奇声を上げて崩れ落ちるイート。その体は宙で何度か、何かに跳ね返るような動作をして、床に投げ捨てられた。


「ひっ、い、イートさん!?」


 アイラさんが息をのむ音が聞こえた。


 

イートくんは噛ませ犬にすらなれない負け犬さんです。



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