第8話 フレイヤとオッタル。
二人の人物が僕の前に立つ。
「僕たちに何か用かな?」
質問を投げかけると、大柄の男の方は微動だにしない。
だが、その隣にいた美しい女性が答えた。
「ねえ……私、この隣の人の事良く知らないの……助けて貰える?」
「えっ?」
いきなり助けてと言われても困る。
それに、この女性の方も焦っている様子もないし、なんだか状況がよく分からない。
「あの……お二人は知り合いじゃないんですか?」
アイシスが僕の抱いた疑問を変わりに聞いてくれる。
「この方は我が主君。 何人たりとも指一本触れさせん!」
「こんな事言ってるけど、本当に知らない人なの……私、怖いわ……」
どういう状況なんだろう?
それに、なんで僕達の前に来たんだ?
「あの……さっきみたいに、この人の事やっつけて追い払ってくれませんか?」
「ええっと……流石に、僕達が何かされたわけじゃないし、助ける義理もないから……」
「はぁ……そうよね……。そうなるわよね。 どうせ、どうせ私なんて……」
「我が主君よ、そう悲観的になるな。 必ず俺があなたを守り通してみせる」
「ちょっと、わけがわからないわよ。 何なのよあんた達?」
ファフが僕の気持ちを代弁するかのように口を開いてくれた。
「ごめんなさい、私はフレイヤ。 運命に抗う者」
「俺はオッタルだ。 フレイヤ様を守護する最強の戦士!」
「僕はスート。 ムンスペルス族の勇者スートだ!」
「勇者? 勇者ってなに?」
「運命を切り開く勇気ある者!」
「まあ、素敵! 私を連れて行ってくれる? その見返りに私の体を自由に使ってくれていいから」
「えっ? なんで……?」
「そうよそうよ! いきなり声掛けて来て何様のつもりよ!」
「ソート様はあなたなどには興味ありません!」
「二人共落ち着いて……。 フレイヤ、僕からも言わせて貰うよ。
残念だけど、君とは一緒に行けない」
「はぁ……そうよね。 どうせ私なんて、スポットライトを当て続けらえる脇役でしかないんだもの……。
欲しいわぁ……あなたが欲しい……」
彼女がそう呟くと、オッタルが突然、背負っていた大剣を抜いた。




