始まりのBEAT
音楽は世界を変える!そんな事を言う奴がいた。でもそれは口で言ったでまかせにしか過ぎない。僕はそう思っていた。彼女の歌を聴く時まで…。
運動が得意な訳でもない。勉強が特別出来る訳でもない。普通の高校生。彼の名は枯葉 響輝という。響輝には好きな事が一つだけあった。音楽だ。昔から色んなメロディを聴くことが好きだった。聴いていて落ち着くからだ。ジャズやロック、クラシックを小さい頃からよく聞いていた。最初は母親の影響でクラシックを聴いていた。聴いているうちに心が落ち着いたのか、家にあった大きなコンポの前でよく眠ってしまっていたらしい。しかし、それは子供の頃の話であった。今の彼は変わってしまっていた。
『Skinny Love-Bitdy-』
聴くだけで心が苦しくなる。この曲に僕は攻撃されている気分だ。やめてくれ。僕を中にしてくれ。もう音楽なんて…。
日曜日、人混みの中出掛けていた響輝の耳にメロディが流れてきた。ギターの音がした。レスポールの音だ。ギターの音なんてもうごめんだった。その美しく響き渡る音も彼にとっては嫌な音をかき集めたような音に聴こえていた。しかし彼の足は音の方へ動いた。
嫌いだったはずの音が昔みたいに心地良い、心が落ち着く音に聞こえる。何故だ。早く聴きたい。
音を辿って少し進むと広場に出た。そこには一人の女の子がレスポールを奏でていた。
『Funny Bunny-the pillows-』
彼女は可憐な口で歌い始めた。その美しく、そして力強い歌声に響輝の心は奪われてしまった。いや、その場にいた全ての人が心を奪われてしまったのだろう。彼女はあの有名な大泥棒でもなければ、全ての人間を虜にしてしまう美貌の持ち主でもない。だが皆が彼女に心を奪われてしまうのも仕方がない。彼女はとても綺麗だった。聴いているだけで伝わってくる。彼女の音楽に対する愛が。響輝はボソッと心の声が漏れてしまった。
「彼女と一緒にメロディを奏でたい」
歌が終わると多くの観客が拍手を彼女に送った。だが響輝はそんな観客を無視して彼女の元へ向かった。彼は抑えきれなかった。
「俺とバンドを組んでくれないか?」
周りの目なんか気にせず咄嗟に放ってしまった言葉だった。周りの拍手は止まり、ざわめきが広がった。せっかくの演奏後のムードを響輝はぶち壊したのだ。けど達成感でいっぱいだった。「言ってやった!!」そんな気持ちが罪悪感なんか無視して心を埋めつくした。彼女の顔を見ると少し不思議そうな表情でこちらを見つめた。響輝は少し「ドキッ」とした。彼女を近くで見るととても可憐だった。顔を少し赤くして止まっていると彼女の可憐な口元が緩み、ニコッと笑った。彼女はとても小さな声で一言呟いた。
「いいよ」
これが僕と彼女のメロディの始まりだった。
単純に青春を描きたかった。そんな時にふと思い浮かんだバンドによる演奏を聞いた時のゾクゾク感。これを皆さんにも味わってもらいたい。そして青春を感じてもらいたい。これが描き始めた理由でした。心が熱くなるバンドの物語を作りたい。『BECK』みたいな作品を作りたいと思っています。皆さんに気に入って貰えると嬉しいです。ナルト




