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家庭教師の1年間起承転結あらすじ

【起】

 本作『家庭教師の一年間』は、『九年差の同じ別れ』『二十八歳の私』へと続く三部構成の私小説の第一作である。二〇二六年、二十八歳を迎えようとしている私は、三十歳を目前にして自分の人生を振り返るようになった。最初は、思春期に出会った「彼」と成人期に出会った「彼女」との十一年間を記録するつもりだった。しかし過去をたどるうちに、二人よりも前に思い出す人物がいた。中学三年の春、高校進学への不安を抱えていた私を一年間支えてくれた家庭教師である。


【承】

 当時の私は、幼稚園から通い続けた中高一貫校に在籍していた。高校へ進学するには評定三・〇以上が必要だったが、私は基準ぎりぎりの位置にいた。さらに小学校五年生から通っていた塾を辞め、家庭教師に切り替えることになる。突然日常が変わることに戸惑いながらも、二〇一三年四月、私は一人の女性家庭教師と出会う。英語、数学、国語の授業が始まり、やがて高校進学のために英検三級の取得を目指すことになった。英語は苦手で、単語を忘れたり同じ間違いを繰り返したりしたが、家庭教師は私を責めず、一つずつ確認しながら支えてくれた。


【転】

 英検三級に合格したものの、三者面談で告げられた評定は二・九だった。推薦基準の三・〇に届かず、私は一般受験を覚悟する。親からの厳しい言葉に落ち込み、自分自身にも失望した。それでも家庭教師と国語、数学、英語の受験対策を続ける。そんな中、英検三級の取得などを含めた総合評価により、推薦受験の可能性が出てくる。私は面接練習に取り組み、志望理由や将来の目標を何度も言葉にした。家庭教師は私の考えを整理し、焦らず答える方法を一緒に考えてくれた。


【結】

 推薦入試本番、私は緊張しながらも家庭教師との練習を思い出し、自分なりに質問へ答えた。そして合格発表の日、無事に高校進学を決めることができた。受験が終わると、家庭教師との一年間も終わりを迎える。当時の私は、それを受験が終われば自然に終わる関係だと思っていた。しかし二〇二六年の今、振り返ると、その一年間は単なる受験の記録ではなかった。人に支えられること、自分の言葉で未来を考えること、不安の中でも前へ進むことを最初に教えてくれた時間だったのである。本作は、後に続く『九年差の同じ別れ』と『二十八歳の私』の原点として、十五歳の私と家庭教師との一年間を記録した私小説である。



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