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無駄な会議はもうやめようぜ?

詳しいことは分からないけど、ニアちゃんの仮説は国の偉い人たちを驚かせたそうだ。偉い人たちは黒霧とテロ行為に関する対策に頭を悩ませたらしく、毎日のように会議を開くようになったそうで……。


「スイ様、トランドスト騎士団の対策会議にぜひ出てください」


レックスさんにこんなことを頼まれてしまった。


「わ、私ですか? 会議って何をすれば……」


「王都西部黒霧発生事件から、スイ様は黒霧対策の第一人者と認識されています。そのせいで、大聖女と呼ばれるスイ様の意見を聞きたいと、皆からの要望が殺到し、私でも抑えきれない状況になってしまったのです。座っているだけでいいので、どうか出席いただけないでしょうか」


「もちろんです! お任せください!!」


で、実際に出席したのだけれど……。


「まずは緊急時のマニュアルを用意すべきではないでしょうか」


「それより、黒霧とテロが同時に発生した際、騎士団がどう動くか、その方針を……」


「我々はあくまで王族と貴族を守護する存在。霧とテロリストの対処は無関係では?」


とにかく難しい話で、眠たくて仕方がない……。何度も頭がガクンッ、ってなったけど、そのたびにレックスさんに肘でぐいぐいされ、目を覚ますというパターンを繰り返したのだった。


「では、大聖女様のご意見は??」


おそらくは会議も終わるだろうタイミングで、どこからかそんな声が上がり、全員の視線が私に集まった。なので、私は二度頷いた後、立ち上がり宣言する。


「大丈夫! 私に任せてください!!」


「おおおぉぉぉ……!!」


そして、拍手が起こったので、悪い気はしなかった。


「スイちゃーん!」


それから一時間後、今度は将軍が訪ねてきた。

……あれ? 髭剃った?


「今からサムライたちの会議なんだけど、一緒にきてくれんか?」


「なんで私が??」


「これから、サムライたちはフォグ・スイーパたちと連携して戦う必要があるから、聖女代表としてスイちゃんの意見を聞きたいって要望が殺到したんだ。基本は私の横に座っているだけで良いから、出てくれんか?」


「オッケー、任せなさい!」


で、次は武家の人たちの会議に出席したんだけど……。


「まずはポリスと連携する方が先なのでは?」


「テロリストたちのアジト捜索に人員を割くべきだ」


「鍛錬だ。鍛錬あるのみだ!」


どうでもいい話ばかりで、眠たくて仕方がない……。何度も頭がガクンッ、ってなったけど、そのたびに将軍が「ほら、肩に頭乗せていいからね」とか「毛布いる? もらってこようか?」と話しかけてくるので、眠れなかった。


「では、大聖女様のご意見は??」


おそらくは会議も終わるだろうタイミングで、どこからかそんな声が上がり、全員の視線が私に集まった。なので、私は二度頷いた後、立ち上がり宣言する。


「大丈夫! 私に任せてください!!」


「おおおぉぉぉ……!!」


そして、拍手が起こったので、悪い気はしなかった。


それから一時間後、今度はニアちゃんが訪ねてきた。


「あ、あのスイさん……」


「会議でしょ?? オッケーオッケー!」


別の日もこんなことが続き、私は引っ張りだこ。さらには、王都に霧が出れば、駆け付けなければならないし、とにかく忙しかった。




「ベイルくん、もうダメかもぉ……」


ある日、またも王都に霧が発生したので、現場に向かっていたのだけれど、何だか疲れが溜まってしまい、ベイルくんに弱音を吐いてしまった。


「最近のスイさん、大忙しですもんね。でも、また霧が出てしまったので、頑張りましょう」


「分かってるよぉ。でもさぁ、大聖女になれば、なんかこう……楽しいのかなって思ってたけど、ただただ忙しくて、もう休みたいよぉ」


「そろそろ各組織の中で対策方針が決まるそうなので、もう少しで落ち着くはずです。もうひと頑張りですよ!」


「本当ー? あー、美味しいものでも食べて、ゆっくりお風呂に入りたいよ」


溜め息を吐くと、なぜかベイルくんが目をキラキラと輝かせた。


「スイさん、そういえば明日はパーティですよ!」


「パーティ?」


「ほら、少し前に話した、エンゲ翁の誕生パーティです」


「ああ、偉い人だけが出席するってやつ?」


「そうです。たぶん美味しいものも山ほど出てくると思います!」


「美味しいものかぁ」


王族と貴族、武家の偉い人だけが出席するパーティとか言ってたなぁ。だったら、かなり美味しいものが出てくるのかも。


「よーし! じゃあ、もう一頑張りするかな!」


「はい!」


何だかんだ、ベイルくんと一緒が一番落ち着くなぁ。そう実感した私は彼を抱きしめる。


「わっ、ななな、なんですか??」


「終わったら、一緒にお風呂入ろうね。で、明日は一緒に昼まで眠ろうよ」


「そ、それは……!!」


今日を乗り越えれば、明日は楽しいことが待っている。そう思っていたのに……


その明日こそ、とんでもない大事件に巻き込まれてしまうのだった。

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