表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/239

未来の私は願う

それから、私とベイルくんは手をつないで、夏祭りに参加した。そこには、今まで食べたことのないもの、見たことのないもの、聞いたことのないもので溢れていた。


私たちは一通り、お祭りを楽しんだ後、馬車に乗り込んで城へ戻ることになった。


「あー、楽しかった。都会のお祭りって凄いんだね。ララバイ村で年に一度開催されたお祭りが何だったんだろう、って思うくらい盛大だったよ」


「次は、僕とエンゲ翁の誕生パーティもあります。これは王城で開催されるので、王族、貴族、武家の人ばかりで窮屈かもしれませんが、かなり豪華ですよ」


「うへぇ! そんなの、私が出席していいの?」


「もちろんです。だって、スイさんは僕のパートナーなんですから」


凄いなぁ。

ベイルくんは本当に王子様なんだなぁ。


でも、嗚呼……。

何だか急に罪悪感。


だって、ベイルくんは私にこれだけ盛大なプレゼントをくれたのにさ……。


「ベイルくん、ごめんね」


「何がですか?」


「私は、ベイルくんに何もあげられない。むしろ、まともに誕生日おめでとう、って言ってあげることすらできてなかったよ」


「色々ありましたから、仕方ないですよ。それに、僕はスイさんといるだけで、しあわ……えっと、凄く楽しいですから!!」


「ほんと、ごめんね。来月からは王族聖女としてお給料もいただけるみたいだから、一緒にご飯でも行こうね! 奢るから!!」


とは言え、王子様のベイルくんが喜んでくれるような豪華な料理って、どこに行けば出してもらえるんだろう。結局はお城の食事になるような……。なのに、ベイルくんは……。


「はい! スイさんと一緒に行けるなら、どこでも!」


めちゃくちゃいい子!

本当に良い子!


途端、目に涙が溢れてきた。私の人生は、この子が変えてくれたのだ、と。やりたいことがあっても、できなかった。きっと夢は叶えられなくて、田舎で不満を言いながら、何となく生きていくんだって。


それなのに、それなのに……!


「す、スイさん??」


私は、思わずベイルくんを抱きしめていた。


「ベイルくん、本当にありがとう。大好きだよう……」


「だ、ダメですよ、スイさん!! もちろん、僕もスイさんのことが大好きですけど、そういうことされると、大人になったとき、凄い反動が来ちゃうんです!! 次、大人になったらスイさんに何をしてしまうか、正直僕も押さえられなくて。だから……!!」


大人になったとき、反動??

なんのことだろう。


まぁ、いいか。

今は私の気持ちを伝えよう。


「そのときは、そのとき。私が全部受け止めるから」


「す、スイさん……。本当、ですか?」


「うん。だからね、今はこれを受け取ってほしいの」


私はポケットにしまっておいたものをベイルくんに渡す。


「これは……バッジですか?」


「うん。さっきお祭りの射的で獲った景品なんだけど。ベイルくんが変身したあと、マントで体を隠すけど、風で飛んで行ったら裸になっちゃうな、って……いつもハラハラしていたんだ。だから、せめてこのバッジでマントを止められたらな、って」


バッジのデザインはシンプル。

大きな星のマークがあるだけで、王子様には似使わない安物ですが……。


それでも、ベイルくんはバッジを手に取ると、宝石でも眺めるように目を輝かすのだった。


「ありがとうございます! 一生大切にします!!」


ベイルくんが良い子で……本当によかった!!


よし、今なら言える。

ちゃんと言わないと。


「……ベイルくん」


「はい」


「誕生日、おめでとう!!」


ベイルくんの笑顔は本当に可愛くて、いつまでも守ってあげたい、って思えるものだった。きっと、この幸せは、もっと大きくなる。そう思っていた。

でも、後々思うと、この瞬間が幸せの絶頂だったのかもしれない。


この日から、ちょっと未来の私は、ずっと願い続けている。

ベイルくん、もういいよ。君にはもっと幸せな未来があるはず。違う人と、違う場所で……幸せになれるんだ。だから、もう傷付かないで。嗚呼、どうか……彼が諦めてくれますように。私のことを忘れてくれますように、と。


それなのに彼は戦い続け、私は彼を守ることもできない。


夢を叶えた代償。それはあまりに大きかった。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


もし、まだブックマーク登録をお済でない方は「ブックマークに追加」のボタンを押していただけると嬉しいです。


他にも下の方にある☆☆☆☆☆のボタンによる応援、感想を投稿いただけると、モチベーションアップにつながります。


「面白かった」「続きが気になる」と思ったら、ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
せっかくいい感じに人気者になれたのに、最後はなんとも不穏な感じに。 一体どんなことになってしまったのか、続きが気になります! スイさんは邪な考えがあってもなぜか高感度下がらないのでいいですね!さすがと…
[良い点] 攻めっけが強くなるのは反動だったんですか!? これは次回が激しそう。 [気になる点] ……あまりにも不穏な引き。 二人には酷い目に遭ってほしくありませんが、この先は苦しい戦いが待っていそう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ