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ウルミラージェのスキル

 「な、なんのことでしょう…笑」

ウルは苦笑いをしながらごまかすが、向かいの相手はさっきの凄みのある顔を変えてくれない。


「君のスキルのおかげで今回の敵を殲滅できたんだ。別に怒ってはいない。が、明らかに君の体力は消耗している。ニコラからも報告を受けているぞ。で、何を何度使った?」

凄みの顔は直してくれたが、真剣なまなざしでジッとこちらを見つめてくる。


アルヴェールは異動が決まった日、基ウルと対面した日に人事ファイルを確認し、ウルのスキルを把握している。


ウルはスキル持ちの中でも特殊で複数スキルを保有しているが、これは帝国の中でもかなりの機密事項の為、知っている者は限られるが、カミラの部隊からアルヴェールの部隊に異動の際にアルヴェールにも知られることとなった。


「そんなに使用していませんっ!」

ウルは別に大したことではないと慌てて答えた。


「質問の答えになっていない。明らかにスキルを使わないと敵の潜伏場所の位置、地下室の有無なんかは特定できない。もしかしてすでに、今回の敵がどこの奴らなのかまで導き出してないよな?」


ギクッ

ウルは図星をつかれ明後日の方向を見るしかない。

すると、アルヴェールが立ち上がりウルの方へと歩いてきてウルの両脇を持った。


「あっあの!何を?」


「白状するまで俺の膝の上で食事してもらおうかと思って。」

アルヴェールが両手でウルの脇を抱え、高い高いの位置から自身の顔に近づけようと両腕をゆっくり曲げながら悪魔の笑顔を向けた。


そんな拷問は無理!!


「わかりました!白状しますから降ろしてください!!」

悪魔的にいい顔でそんな笑顔を向けられては心臓が持たない!とウルは観念するしかなかった。


いい子だ。とアルヴェールはすぐにウルをテーブルへ戻してくれほっとしたが、アルヴェールはすぐに自席に戻り、で?と催促をしてきた。


もうこれは素直に話すほかない…

「今日使用したスキルは…算出のスキルのみです。回数は4回ほど…」


ウルの1つ目のスキルは今まで見てきた物や聞いてきたものがすべて脳にインプットされ、それらの記憶から天文学的な数字や数値などを計算し、答えを導き出す能力。

それは帝国一のコンピューターの性能よりもはるかに上回る能力と処理速度。

普通の人なら、ロランが言っていた”脳が焼け死ぬ”ことをウルは瞬時にそれがこなせてしまう。

今回、スキルで敵の潜伏場所をポポレ島のどのあたりの位置にあるかなど、スキルを使い導き出したというわけだ。


「はぁ…今の体の大きさで4度もスキルを使って問題ないわけないよな?」

そう、普段の人間の姿ならスキルを4回使っても特に支障はないが、今の猫姿の大きさではスキルへの負担が大きいことはわかっていた。

アルヴェールもカミラからそのことを注意してあげてと忠告されていたのだ。


「はい…でも!休めば体力は回復しますし、今日中に事件も解決できたので、明日からはしばらく使わないので問題ありません!」


「…敵の検討も付いているんだろ?」

不服そうにアルヴェールが行儀悪くテーブルに肘を付きながら問う。


「あー…はい。おそらく今回の敵は、ドワーデンから来た組織だと思います。ドワーデンの政府とは関わりはなく、民衆の一部が作った組織の可能性が高いです。」


「なぜそう思う?」


「事前にドワーデンで襲われた消えた犯人事件の被害者が魔跡関連の企業に勤めている人ばかりで、共通点はありました。

被害者のどの企業も魔跡の恩恵で物の加工が主だったんです。特にガラス製品の加工を得意とする企業の人が襲われていたのもあって。

ドワーデンはガラスの生産量が世界一ということもあり、特殊なガラスを裏で作らせていた、もしくは取引をしていたと導き出しました。」


「ということは、ラリマーレ行きが決まってからスキルを何度も使っていたと?」

アルヴェールが一層睨みを利かせてくる。


あっそうですよね。頭のいいアルなら気づきますよね…?


「すみません…」

ウルはもう何も反論できず、首を垂れた。


アルヴェールが一度大きなため息をつき、すぐにショウカを呼ぶ。


するとショウカはすぐにウルを抱きかかえ、バスルームへと移動を始めた。

あっという間に体をきれいに洗われ、乾かされ、歯磨きもし、猫パジャマ姿へと変えられたのだ。

ものすごい早業に、ウルも何が何だかわからない状態となった。

気づいたら寝室のベッドまで運ばれ、寝る準備完了。


ウルはベッドの上で体を丸め、目を閉じる。

さすがに猫の姿で負担は多いが倒れるほど体力は消耗していないと思うが…。

アルヴェールは少し心配症なのだろうか?と考えていると、風呂を終えたであろうアルヴェールが寝室に入ってきた。

静かにベッドに腰を下ろすと、丸まってたウルを優しく撫でた。


ウルは触られるとは思っておらず、反射的に頭を上げる。


「明日は一日休め。いいな。」


「え?しかし、先ほど話した事を報告しなくては…」


「俺が代わりに報告する。どちらにせよ、君は顔を出せないだろ。明日は体を休ませろ。」

ウルを撫でながら少し優しい顔で告げた。


「わかりました。ありがとう…ございま…」


アルヴェールに撫でられているのもあり、ウルは電池が切れたように眠ってしまった。



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