海と水の楽園~ラリマーレ~ 4
それを聞いたウルも驚いたが、自分の考えた可能性に近づき、すぐに顔が険しくなる。
アルヴェールが手を前に出した際、何もないはずの空間に見えない障害物があったのだ。
それは壁の様になっている。
「アル、おそらくどこかに見えない壁の切れ間があるはずです。」
ウルがそう言うと、アルヴェールたちは見えない壁に手を付き、そのまま手をスライドさせていく。
するとシモンがどうやら切れ間を見つけたらしく、ジェスチャーで他の隊員に伝える。
「突入許可を出してくれ」
静かな声で、シモンがウルに許可を求めた。
「構いません。ただし中の規模が500メートル以上と分かった場合と、万が一中に人がいて4人では交戦が難しいと判断した場合は直ちに戻ってきてください。」
代表して、シモンが了解と答えてくれた。
4人が見えない壁を調べた結果、壁と壁の隙間がおおよそ人一人が通れる分の隙間があった。ハンドサインで言葉を交わし、先頭はアルヴェールが担うこととなった。
いつもこういった場合は基本、アルヴェールが先頭を担うらしいと飛行機の中でシモンが教えてくれていた。
アルヴェールが瞬時に壁の隙間へと突入しすぐさま銃を構え、辺りを見回すと誰もいないのを確認しハンドサインを出した。
3人も続けざまに入り辺りを警戒し始める。
戦闘員4人全員の防弾スーツの鎖骨あたりに小型のカメラが設置されている為、
ウルたちは4人のカメラをモニターに映し、固唾を飲んで見守っていたが、侵入に成功した4人の内、アルヴェールがすぐさま異変に気付いて、ある方へ体を向けると、それをモニター越しで見ていたアウレウスの中の4人も言葉を失った。
「…どういうことだよ…」
フラが訳が分からないといった表情で呟いた。
アルヴェールの表情の異変に戦闘員の他の3人も異変がある方を向く。
今まで見えない壁だったはずが、こちら側からは見える壁になっていたのだ。
アルヴェールたちが入ってきた”見えない壁”は人一人が通れる入り口を入ったすぐ目の前にドア一枚分のジャングルが映し出された壁が一枚あり、その奥は広場になっていた。
その広場の約100メートル先に一つ建物がある。
そして振り返ったら、”見えない壁”だと思っていたところにちゃんと壁があったのだ。
「おそらく、特殊ガラスを用いた壁です。特殊なフィルムをガラスに貼っているかもしれません。外側からは屈折を利用し反射させ、周りと同化するようになっていて、見えない壁となっていたと思われます。壁の正面に立っても、ガラスの表面に角度など付けて映らない構造になっているのでしょうか…
そして内側には壁紙のようなフィルムを張っているだけかも。ひとまず建物に警戒してください。」
ウルの説明を聞いても理解できないようで、ジャンはすぐさま建物の方の警戒を強めた。
壁はあるものの、中は外と変わらない木なども生い茂っている場所なのだが、中央にはそれらを取り払い広場のようになっている。見晴らしがいいため、すぐさま壁と広場の間に囲うようにある木や茂みにアルヴェールたちは身を潜めることができた。
先にある建物は石造りの一軒家サイズのものと、隣に木でできた小さな小屋が1つあるだけ。
中に人がいるかは、ここからでは確認できない。
「ウル、建物への突入許可を出してくれ。」
木の陰に隠れたアルヴェールがウルに問うが、ウルはそれを拒否する。
「戦闘員は直ちにそこから出てください。今日はあくまでも現地調査です。」
確かに今日は現地調査だ。しかし、目の前に敵がいるかもしれない状況で一度撤収するのは得策ではない気がする。こちら側が現在4人というリスクもあるか…少し考えアルヴェールはウルの指示に従うことにした。
すぐさま他の3人にハンドサインを出そうとした瞬間、広場の先の建物から2人の敵らしき人物が出てきてしまった。
出てきた2人は手に拳銃を構え、アルヴェールたちが入ってきた入り口方向へ足を進め始めた。
「おい!いるのはわかってんだっ!!出てこいっ!!」
2人のうちの髭面の男がアルヴェールたちの方向へ怒鳴る。
こうなってしまったら交戦は避けられない。
アルヴェールはシモンと目を合わせると、敵の男へ向けて走りながら銃を撃ち始めた。
バンッバンッバンッ
バンッバンッ
その音に建物内にいた他の敵が何人も出てきた為、ジャンとロランもすぐさま同じ方向へ走り出した。




