4話「価値」
エルベールという女性について、定晴は多くは知らない。流れる青の長髪。メガネをかけ、知的な彼女は慧王の騎士。その中でも優秀な文官でいつも何か分厚い本をもっている、ということくらい。
まだ一月くらいしか交流はないが、定晴に対して、何か嫌悪感を抱いたりなどはせず一人の見習いとして公平に扱ってくれた。
「いい?書物を整理して計算することだけが文官の仕事ではないわ。騎士という名を持っている私達は戦場に出ることも珍しくない。その時に求められるのは培った知識と情報力よ」
「つまり、軍師して、戦に出るということですか?」
「そうね、大抵武官は隊を率いて前線。私達は後方で指示を出したり発案したりするのが役目。本来なら貴方にはせんそうにおけるいろはを教えこまなければいけないのだけれども……。そうね、まず貴方はこの世界の常識を覚えなさい」
そうして渡される資料の数々。
この世界の紙の生産力は現代並とはいかないものの、それなりにあるらしく、本やらが大量においてある。
だからか、こんな分厚い本がどこからかたくさん。エルベールの講義は分かりやすいものだが、こうして彼女だけの知識だけではなく、実際に本を読んで理解させようとする。
本を読むのは得意でも不得意でもないが、こんな辞書みたいな書物を読むのは中々気合がいる。
「全てを理解しなさい。本は知識の宝よ。無駄なことは一つも書いてないから」
「い、いやでも、さすがに間違った情報も一つや二つあるのでは……」
そう言うと、彼女はメガネ越しに睨んでくる。
「それもまた宝の一つなの。理解しなさい」
最初の講義の際、わかるまで何度も本を読まされたのは良い思い出だった。その言葉を理解するのに1週間もかかってしまった。
つまり、どう間違っているかという情報を本から読み取れということだった。
彼女の言葉通りに、本には無駄なことは一つもない。それが間違っていると正しく理解するためには間違ったものがどういうものであるかを理解しないといけない。
そのために、間違った情報すら無駄ではない。
それは一つの本を読むことによってわかるものではない。多くの書物。多くの情報を頭の中で整理しているからこそわかるものだった。
その得た情報を基礎にして彼女はあらゆる部分の補足を定晴にする。得た知識が間違いであれば修正し、逆に定晴が分からなかった部分を補う。それが彼女の講義であった。
少々“癖”のある彼女であったが、とても充実している講義であると思う。
どうせ、この世界にはゲームなどの暇つぶしのアイテムなどないのだ。今まで余った時間はゲームなどに費やしてきたが、それがないのであれば、この世界を生き抜くための努力に費やす。
自然と学習意欲が湧いてきて、気がつけば相当に勉強していた。この世界に来る前の定晴からしてみれば、考えられないことだった。
「こら!根性が足りんぞ!もっと足を動かせ!」
昼下がりである。定晴は後ろから響く罵声に耳を傷ませていた。
さっきから頭が痛くてしょうがない。腕なんかさっきからプルプルと震えているし、足もおぼつかなくなってきた。定晴だって、好きでこんな生まれたての子鹿みたいな足をしているわけではない。
根性でどうにかなるなら最初からそうしている。
「その程度の騎士になるなど、100年かかっても無理だぞ!」
うるさい。頭痛がするんだ。やめてくれ。
耳元に口を寄せられて大声で声を荒らげているように、感じる。やけに頭の中に響く声に定晴は苛立ちを隠せない。
「この、鬼軍曹め……!」
気合を込めて足を動かし、恨みを込めて目の前に立ちはだかる奴に対して剣を振りぬいた。なんてことのない、弱い一撃。やはり、それは防がれて気がつけば地面と熱い接吻を交わしていた。
「どうした!もう終わりか!」
勘弁して下さい。
先ほどの熱もどこへいったのか、地面から伝わるほんのりと冷たい感覚が体の芯から伝わる。思わず天を仰いで見ると、快晴の空が目の前に広がっていた。打たれた所、あらゆる体の節々が熱を帯びて痛みを訴えているが、地面から伝わる冷気がそれを癒してくれる。
ちょっと気持ちいい。
ずっとこうしていたいと思うのはつかの間。
明らかな、殺気と空気を切り裂く金属音を感じ取ったのは、偶然だったのか。それは生存本能だったのだろう。
体が突如あらぬ方向へと動いて、転がるようにしてそれを回避する。
ちっ。
そんな舌打ちが聞こえたのは幻聴だと思いたい。
「ちょ、おま殺す気か!?」
「誰が寝て良いと言った!たかが100合打ち合っただけで情けない」
「鬼だ……鬼がおる……」
アレン・ハーバー。桃色の銀色騎士。最初あった時には聖女のような方だと勝手に想像した定晴が悪いのだが、定晴を見つけてくれた慧王の騎士はドン引きするくらい鬼軍曹だった。
定晴は見習い騎士である。
騎士とはすなわち、王の臣下であり、国を支える役職だ。騎士にも文官があり、武官があり、国と王を支えているのだ。
文官であるエルベールから指導を受けている定晴がなぜ、武官であるアレンからも指導を受けているのか。
定晴がアレンにボコボコにされている姿を面白可笑しく笑うドS女。慧王ことシキ・エルヴァーンのせいである。
定晴は未知数な人間だった。この世界の理は女が強く出ている。氣だけではなく、才能もそうだ。すべてに置いて女は男に勝る。しかしながら、定晴はこの世界の人間ではない。それがどのように作用するのかはまったくの未知数。
慧王の慧眼でさえ見抜けなかった、可能性をシキは探ったのだ。
つまり、武官としての才能もあるかどうか。
その結果が鬼軍曹アレンの地獄のような訓練だった。
「あの、少しは休ませてくださいよ……!ほら、人間水分補給を怠るとえらい目に……」
「大丈夫だ。人間は案外頑丈にできている」
「……」
慈悲はなかった。
あぁ、何故か彼女の頭に二本の角が見える気がした。
一閃の剣筋がやってきて、音が遅れてくる。
「くっ……!」
慌ててそれを回避しつつ、定晴は間合いをとった。それを剣で受け止めるのは不可能だからだ。
最初はわからず、ただ右に左に。繰り広げられる剣戟を受けて地面を転がっていたのだが、さすがに学習する。受ければそれだけで体が開ける。体制を崩されて地面に崩れ落ち、激痛が手のひらから頭の芯に向けて走る。
それが嫌で自然と体が回避行動を行っていた。
今度は右から。同じ軌道を描いてやってくる。
半月を描く剣筋を大きく仰け反って躱して、後悔する。この後は突きが飛んでくる筈だ。
「ぐぅ……!」
吐きそうなくらい強い衝撃が腹部を襲った。防具越しからも伝わる痛みを定晴は耐えしのいだ。わかっていたからこそ、逆らわず、後ろへ。
これが本物の剣なら死んでいたとか、そういうのはナシだ。自分でもそれはわかっている。
何十回と受けた剣戟。彼女の動作がどう出るかはわかっていても避けられるものなんかじゃない。剣の握り方さえ分からない素人が彼女の剣戟を躱すなんてできるわけがない。それはアレンもわかっている筈だ。
「いつつ……!」
「どうした!反撃しなければ訓練にならないだろう!」
だからこそ、こうしてわずかな休息を与えて体制を整わせる。反撃しろと、打ち込めとアレンは言うがそれができるのなら最初からそうしている。
剣なんて、今日はじめて握った。剣の振り方も知らないのだから、どうしようもない。
「ほら、いくぞ!」
でも、やられっぱなしだというのは、なんだか癪に触った。
アレンは手加減している。それはそうだろう。相手はズブの素人。“戦い”も知らない男だから。その証拠に一定のパターンが組み込まれた単純な攻撃かしてこない。
右に左に、躱されたら突き。
上段を織り交ぜるのは偶に。下段からの攻撃など殆ど無い。きっと戦場を知るものなら、逆にそれが誘いこむような罠だと思うほどだ。
そう、隙がある。
きちんと撃ちこみやすいように出来ているのだ。ただの憂さ晴らしで打ち込んでいるのではなく、これは訓練であるから。
「わちゃちゃちゃ!」
「へ、変な声を上げるな……」
痛みに舌を噛みそうになった。
再び地面とキスしてぐったりと倒れながらも、考えた。
さっきからその隙を突こうと頑張ってみているが、無理だ。どうにも体が付いていかない。疲れとかそういうものではなく、足が合わない。
間合い、歩幅。上半身の動きに下半身がついていかない。ただ闇雲に剣を振るだけでつけるような隙ではないのだ。
いっそうのこと――やるか?
一瞬の思考が過る。だが、それはあまりにも愚かな行為な気がする。剣を持った相手に打ち込んだことなど、人生の中で一度もない。ないからこそ、苦悩する。
まぁ、でも。やって見る価値はあるかもしれない。
再び立ち上がって、定晴は剣を構えた。“左足”を前にだして。
「……?」
見れば結構不細工な構えなのだろう。右手が上手――つまり右利きである定晴は本来なら左足を引いて右足を前に出す形になる筈だ。だが、左足が完全に前に出ている。
これでは剣を振る際に力が入らず上半身だけで剣を振ることになってしまう。
剣をもったことがない素人とはいえ、定晴は先ほどまできちんと右足を前に出していた。
何かがある。アレンはすぐにそう感じ取る。どうやら、ただ流れるだけの男ではなさそうだ。
100合近くまで打ち合ってようやくの反撃の兆し。すぐにまともな打ち合いを見せるようにはならないと思うが、それでもようやく訓練稽古らしくなってきた。
「――ふっ!」
先程と同じように、右足を踏み込み、なぎ払いの一閃。全力ではないにしろ、それなりの斬撃を定晴に打ち込んだ。
何かを起こすなら今。このタイミグしかない。
(さぁ、何を――!?)
鈍い金属音が響いた。そして、遅れてやってくる打撃音。低い音を立てて、どよめきが起きた。
「き、貴様!何をして――」
定晴の手から剣が消えた。正確にはその手にもった剣を地面に落としたのだ。剣を持つ相手には自殺行為。いや、訓練の中で己を剣を捨てるなどあってはならない出来事。
勿論、そんな行為の中で驚きつつもアレンの剣戟は止まらない。そのまま吸い込まれるようにして剣が定晴の脇腹に直撃する。一体、どういうことだと文句を口にしようとしてアレンは、一瞬だけ、目の前の男から何かを感じ取った。
それは、騎士として、戦場で感じ取るような気迫のようなもの。
しまった、と思ってからでは遅かった。
右腕一つで薙ぎ払った腕を彼の左腕で絡みとられる。そしてとても素人は思えない早さと技で彼の右足が動いてアレンの足外に入り込んだ。
振り解こうと左腕を動かそうとした時、目の前が白く濁る。衝撃がアレンを襲ったが自分が殴られたのだと、気づくのは後になってから。
――とった。
クロスするような形。完全に拳の間合いだ。アレンの顎先に正拳が入り、上体が浮いてる。そのまま腰をいれて右足を内に引く。
この形から、地面に投げ出すのは驚く程簡単だった。
アレンからしてみればわけがわからないまま地面に横たわっているように感じただろう。
「……」
「はぁ……はぁ……ようやく、1本……!」
一瞬の静寂の後にざめきが再び起こった。
「い、今のは……」
地面に投げ出されたアレンは信じられないと言った表情を浮かべて口にした。
「大丈夫?」
痛む脇腹を抑えながら、定晴はアレンに手を差し伸べた。暫く唖然とした様子を見た彼女だが、差し伸べられた手を見ると、顔を歪めて払った。
男に倒されてその上手を借りるなど、アレンにとっては考えられないことだった。
「お、男に借りる手などない!」
彼女のプライドに払われると、少し苦笑いした定晴であったが、すぐに慌ててアレンの体を抱えた。彼女が、立ち上がろうとしてバランスを崩して倒れそうになったからだ。
(すんげー華奢な体……)
防具越しでも伝わる女性の柔らかい体。氣によってその体の精練な動きと力、技を見せるのが、この世界の女性だからか、筋肉はあまり必要ないようだ。
だからか、先程まで打ち合い、定晴を一方的にボコボコにした彼女の体を抱えてみるとその柔らかさに驚く。
「な、ば、馬鹿者!離さんか!」
異性に抱きつかれ、支えられる。そんな行為を生まれてこの方経験がないアレンは、いきなりの定晴の行動に顔を真っ赤にして暴れる。
「い、いでぇ!あばれんな!脇!脇!」
定晴も満身創痍であるために、結局2人して地面に投げ出されてしまった。
「君たちは何をやってるんだ……」
そんな2人を呆れ顔でやってくるシキに、アレンはますます顔を赤くした。主の前でこんな屈辱的なものを見せてしまっては騎士の名に恥じる。
「も、申し訳ありません!シキ様……!」
慌てて立ち上がろうとして、またもや体が揺れる。思ったように膝に力が入らずまるで世界が回るような感覚に思わず膝をついた。
「あー。思ったより入ってるなこりゃ」
一体、何故かと顔に汗を浮かべたアレンだったが、そんな間抜け声が聞こえて定晴を睨む。
「暫くは、大人しくしたほうがいいかもしれないよ」
「貴様……!一体何をした!?」
「い、いや、ただ顎を殴っただけだけど……」
定晴の言葉に、アレンは顔をしかめる。
あの目の前が白く濁った現象は、殴られたからか。
「サダハル。先程の身のこなし……。何かやっていたのかい?」
「えぇ、小さい頃から親の趣味で空手を少々」
定晴は小学生から高校生にかけて空手をやっていた。所謂、喧嘩空手とも言われた、極真空手を実に長い歳月にかけてやっていた。
定晴の友達は極真空手をかっこいいと褒める奴もいるが、実際すごく厳しく辛いものでいつもやめたいと思っていた。
大学生になってからは二月に1度くらいは道場に通ってはいたが、何も役に立たない無駄な事だと思ってばかりいた。
極真空手は実戦を中心とした空手で実際に相手を殴ったり蹴ったりする。だからすごく痛いし、殴る方も相当痛い。
根性と筋肉はついたが、空手を使って喧嘩なんかしたこともないし、小さい頃からやっていたためか大会ではそれなりのところまでいったが、優勝できるほどの強さは持ちあわせていなかった。せいぜい地方大会準優勝程度である。
まさか、これが役に立つ日が来ようとは、定晴にしてみれば思ってもないことだ。
それに、先程の攻防も自分でもびっくりするくらい会心の出来だ。正直完璧にできるとは思ってなかったし、今のをもう一度やれと言われても出来ないだろう。
「驚いた。君には戦闘の心得があるんだね」
「いや、正直、今のは自分でも出来過ぎだと思います。もう一度やれと言われてもできません」
それに、あんなのは反則技に近いものだ。
目の前で剣を落とせば誰だって集中力が途切れる。思ったような一撃が出るわけでもなしに、さらにいえば本物の剣であるなら今頃定晴は真っ二つ。
そして、見たことがない技だからこその初見殺し。
実際に戦場出てこれができるか?できるわけがない。
「君の国ではそうやって自分を低く見せる風潮でもあるのかい?」
背中をパン、と叩かれた。すごく痛い。脇腹が。
「君はボクの騎士に一度だけでも倒したんだ、誇りに思っていいと思う」
果たして何を勝ったとするのか。
100合近く打ち合って、わずか1本。数字で表せば勝率1%。
でも、0でないだけマシなのかな、と思えたりもした。
その夜。城の中で行われた会議に王と騎士は集まった。
文官のエルベールや武官のアレンを始めとする騎士は総勢4名。城内で王を直接補佐する騎士の全てが王の元へと集まり、会議が開かれる。会議の内容は経済や戦争の状況や国民の対応であったり、様々であるが、今回の内容は主に相良定晴についての会議だ。
「ここ数ヶ月。彼をそれなりに見てきて、どう思ったか聞かせてほしい。特に、エルベールとアレン。君たちが一番彼と接触している。君たちの目から見て彼はどう思う?」
「そうですね、一言で言えば、できる。でしょうか」
エルベールがメガネを一つ整えてから発言する。
「確かに我々からしてみれば平凡でありますが、しかし、彼は男性。それを考えればむしろおかしいくらい“できる”と判断してよろしいかと」
「それは才能の話かい?実力の話かい?」
「そのどちらとも取れます。教育を受けていると言うのは間違いなく、計算もできますし……なによりよく頭が回るようで――少なくとも馬鹿ではない。そういう印象です」
提出されている資料も良く出来ている。要領よく簡潔でわかりやすい、と他の騎士からも声が上がる。
「アレンはどう思う?」
「わ、私としては……その、男にしてはできるな、と」
少しどもったような言葉にしてアレンは苦々しく口にした。
「この前の件もそうですが……。正直私が油断したからこそのただの偶然かと。しかしながら訓練を重ねていくうちに徐々に動きが細かくなっています」
シキも正直あれは驚いた。
アレンはこの騎士の中で――いや、この世界の中でかなり上位に食い込むような強さを持つ。それをどんな形とはいえ、地につかせるというのは中々できない。それも男が、だ。
「あれは覇国の騎士が使っていた――たしか拳法だったかい?拳で戦う技術のようだったね」
実際に彼の国ではそのような拳法があるらしい。
「剣を持たせて試合させてみましたが――おそらく、あれは剣の才能がまったくないのでしょう。無手で戦ったほうが善戦してみせました」
それでも、多少マシ程度でありますが、と言葉を繋げた。
「……戦では使えるかい?」
「それは無理でしょうね。刃を潰した剣ですら一般兵士に苦戦してますし。まぁ、ある程度の防衛術は心得ているようなので、一般兵士なら自分の身くらいなら守れるでしょう。あくまで推測に過ぎませんが」
まったく使えないわけではないようだった。
彼は……使えそうだね。
少しつぶやく。
慧眼で見えない彼に対して、何かあるとは思ったが、どうやら慧眼ナシでもシキの目に狂いはなさそうだった。
この国に何かもたらせてくれる。その可能性が近づいた。
「彼を……騎士に迎える気ですか?」
アレンが恐る恐る伺った。
「不満かい?」
「シ、シキ様。お言葉ですが、彼は男で――」
「そう、彼は男だ。だからこそ、おかしいとは思わないのかい?」
彼は男である。なのに、一回だけとは言え、アレンを地に伏せてみせた。そして、文官としての才能も見せ始めてみせる。
それがどれだけ異常なことか。ここにいる全てのものが理解している筈だ。
「彼からは一切氣を感じられない。なのに、あの身のこなし。彼には何か特別なものがある」
その一つが魔法。未だ彼の自身ではそれを自由に制御することはできないが、傷が一瞬にして癒える特異があれば、戦争において有利に立てることがある。
「彼は“使える”」
静かにシキはつぶやいた。
「他の国に彼の情報が漏れないように徹底させてくれ。あの覇王なんかに目を付けられたらたまったものじゃないからね」
そして、いち早く定晴を戦でも使えるようにうすること。定晴の育成に尽力するように命じて会議を終えた。
「サダハル、サガラ。君にはこの国のために全ての力を尽くしてもらうよ」
慧王の目が薄く青く煌めいた。