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プロローグ
「俺が誰かわかる?」
…え…
わからない。
目の前に佇む見知らぬ男は、心配そうな顔をしていた。
その人は…
私の婚約者だと言う…
婚約者…?
ちょっと待ってよ。
…私…この人のことなんて知らない。
知らないよ。
なのに彼は…
心配そうにしながらも、愛おしそうに私のことを見つめていた。
ピンと空気が張り詰めた病室。
きっとその空気は、私がそうさせているのだろう。
彼は私の名を呼ぶ。
だけど私は彼の名を知らない。
彼は優しい表情でゆっくりと近づき、私の手をそっと握る。
彼は…本当に…──




