19/25
追跡者
都市の夜を、澪は一人走っていた。後ろには足音が追いかけてくる。政府の特殊部隊が彼女を捕まえようとしていた。駐車場の失敗と暴露された記録により、彼女は組織にとって危険な存在になったのだ。ネオンの光が滲み、雨がアスファルトを打つ中、彼女は路地を曲がり、暗い市場に身を潜めた。
五年前の握手会で、澪はある男性ファンの視線がいつも自分を追っていることに気づいていた。その男がその後、政府の諜報員であることを知ったとき、彼女は背筋が凍った。ファンと追跡者の境目は紙一重だ。現在、その男の影がビルの屋上に見え隠れしていた。
逃走中、澪は偶然にも研究者派の隠れ家にたどり着いた。そこには、かつての仲間が傷を癒やしていた。彼らは彼女を匿い、追跡者を撒くためのルートを教えた。再び夜の街に飛び出す前、彼らの一人は言った。「君は独りじゃない」。その言葉に澪は支えられた。
追跡者の影がようやく遠のいたとき、澪は息を整えながら空を見上げた。巨大スクリーンには相変わらず自分の笑顔が映っている。逃げる自分と追われる自分、舞台上の自分。そのギャップに少しだけ笑みがこぼれた。彼女はさらに強くなる必要がある、と心に刻んだ。




