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選挙の戦場
アイドルグループの総選挙の季節がやって来た。ファンによる投票で人気順位が決まるこのイベントは、表向きは輝かしい祭りだが、裏では政治と資本が交錯する戦場である。澪はステージ上で笑顔を保ちながらも、誰が票を操作しているかを知ってしまった今、その光景を素直に楽しむことができなかった。
投票期間中、企業がスポンサーとして提供する特典付き商品には、ERS関連のデータ収集装置が仕込まれていた。購入数に比例してデータが吸い上げられ、ファンの感情が数値化されていく。研究者派はそのデータを分析して技術改善に役立てようとするが、資本家たちはそれを株価操作の材料にした。
総選挙当日、澪は控室のモニターでリアルタイムの順位変動を見守った。自分の名前が上位に浮かぶたびに歓声が上がるが、同時にハンドラーから別の指示が届く。「投票システムに潜入し、不正アクセスの証拠を掴め」。澪は選挙の戦場において、二重の役割を果たすことになった。
夕方、結果発表の瞬間が訪れる。センターに選ばれたのは、彼女ではなく、資本側が推した新人だった。観客の歓声の裏で、澪は手に入れたログデータを確認し、不正なアルゴリズムが使われたことを突き止めた。戦場はまだ終わっていない。彼女は握り締めたマイクを少しだけ強く握りしめ、心の中で次の戦いを誓った。




