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【7/29コミカライズ先行配信開始!】こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記  作者: 陰陽


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第158話 食材使いまわし5日目の朝ごはん。鶏肉とゴボウと人参の炊き込みご飯、人参とピーマンの豚肉薄切り巻きケチャップソースあえ、ワカメと大根の味噌汁。

 使いまわし食材も5日目を迎えた。

 俺は鶏肉、豚肉薄切り、人参、ピーマン、ゴボウ、生姜、料理酒、醤油、砂糖、塩、コショウ、ケチャップ、みりん、サラダ油、胡麻油、顆粒だしの素を出した。


 分量は4人前で考えて欲しい。

 無洗米2合をといだあとザルにあけて、20分(普通の米なら30分)おいて水けをきる。炊飯器の内釜に入れ、目盛りに合わせて水を注ぎ、顆粒だしの素を1つまみ加えて混ぜたら、そのまま更に20分間浸しておく。

 人参1/2本は皮をむいて細切りに、生姜1片は皮をむいて千切りにする。ゴボウ1/2本は皮をこそげ落としてささがきにし、水に5分ほどさらして水気を切っておく。


 無洗米の水切りをしている間に、鶏もも肉150グラムを2センチ角に切って、料理酒大さじ1、醤油大さじ1で軽く揉む、または混ぜたら、胡麻油大さじ1を入れて中火で炒める。鶏もも肉の色が白く変わったら、ゴボウ、人参を加えて、軽く炒める。

 全体に油が回ったら、料理酒大さじ2、砂糖大さじ1(みりんなら大さじ2)、醤油大さじ3を加えて混ぜて蓋をし、弱火よりの中火で5分ほど煮る。


 煮た具材を煮汁と具にわけて容器に移しておき、粗熱がとれるまでおいておく。

 炊飯器の内釜に入れておいた米に、煮汁を加えてさっくり混ぜ合わせたら、上に具材、生姜を加えて通常炊飯する。器に盛りつけたら、鶏肉とゴボウと人参の炊き込みご飯の完成だ。生姜はなくてもいい。うちの子は食べられるが、苦手な子どももいるからな。


 分量は4人前と考えて欲しい。人参1/2本(小さめなら1本か2/3本)は5センチくらいの長さの千切りにし、切った人参を耐熱容器に入れ、大さじ1杯ほどの水を全体にかけてからふんわりとラップをしたら、700ワットの電子レンジで30秒加熱する。

 人参よりもピーマンのほうが火が通りやすいからだが、面倒ならしなくてもいい。


 ピーマン2個はヘタと種を取って細切りにし、人参とピーマンを豚肉薄切り200グラムの枚数分に、目分量で等分し、豚薄切り肉に人参とピーマンを巻く。豚肉は豚コマでもいいが、火の通りを考えて、その場合は必ず事前に人参に加熱が必要だ。

 フライパンにサラダ油を熱して、巻き終わりを下にして豚巻きを並べ、初めはとじ目が定着するまで、そのまま動かさずに焼いたら転がしながら炒める。


 豚肉に火が通ったら塩コショウをふり、ケチャップ、みりん、水をそれぞれ小さじ2、醤油少々を混ぜたものを回しかけ、豚巻きに絡めながら少し煮詰め、照りが出たら火を止める。皿に盛り付けたら、人参とピーマンの豚肉薄切り巻きケチャップソースあえの完成だ。お弁当のおかずにも入れられるし、子どもが人参を食べてくれる料理だな。うちのカイアもこれならモリモリ食べてくれるんだ。


 使いまわし食材5日目の朝ご飯は、鶏肉とゴボウと人参の炊き込みご飯、人参とピーマンの豚肉薄切り巻きケチャップソースあえ、ワカメと大根の味噌汁、常備菜だ。

 カイアがちゃんと人参を食べてくれるのを見つつ、人間の食器に慣れないアレシスの手助けをしながらご飯を食べて、子どもたちを保育所へと送って行った。


「アレシスちゃん、遊ぼう!」

 年長さんクラスと思わしき女の子が、元気にアレシスを出迎えてくれる。アレシスにもお友だちが出来たんだな。良かった。

 アレシスは嬉しそうにニコニコしながら、女の子と手を繋いで保育所の庭へと小走りに駆けて行った。


 どうやらブランコで一緒に遊ぶらしい。

 女の子がブランコに乗ったアレシスの背中を押してくれて、かわりばんこね!なんて言っている。まだ遊具に慣れないアレシスに先を譲ってくれるなんて、とっても優しい女の子だなあ。俺はそれを見て、安心して保育所をあとにした。


 今日はニゴヒという町に工房を建てる予定なのだ。ツィーレの町のハンバーグ工房の俺の執務室まで、転送魔法陣で移動して、そこから馬車に揺られて行く。ニゴヒの町は海産物で有名な町だそうだ。ニニガというウニのような生き物が巨大になった、ゲルウニガという魔物が出るそうなのだが、これが巨大なのに大味にならず、かつ可食部が多くて美味しいらしい。俺はあまりウニが好きではないのだが、そこまで言うのなら食べてみたい。


 お安いウニしか食べたことがないから、美味いと感じないだけで、いいやつなら美味いかも知れないからな。俺は子どもの頃はあまり牛肉が好きではなかったんだが、お安い肉と料理の下手な母のせいで、不味いと感じていただけだということが、祖母の家で初めて食べたしゃぶしゃぶにより気が付いたのだ。


 それからというもの、唯一しゃぶしゃぶだと肉が食べられるようになった。今でも牛肉料理というと、しゃぶしゃぶが1番好きかも知れない。食わず嫌いという言葉があるが、食べてなお、いいものじゃないと美味しくないなんてことはよくある。うちの妹も野菜がとにかく嫌いなんだが、父が作った無農薬野菜だけはモリモリ食べていたしな。


 まあ、木で熟す前にもがれたトマトが、流通過程で赤くなったものは、モソモソしていて酸っぱくて、俺もあまり好きじゃない。

 キュウリだってそうだ。真緑で皮がかたくてトゲトゲがなくてモソモソしてる。

 あんなものを食べさせたら、子どもが野菜嫌いになって当たり前だ。野菜好きの子どもだった俺ですら嫌いなのだから。


 父の作る無農薬野菜は、木で赤く熟したのを朝採りして、冷やして食べるから、まあ甘くて美味いんだ。

 キュウリは先端に黄色い花が萎れてついてる、細くてトゲトゲしたのが1番美味い。

 夏休みの朝ご飯は、いっつも朝採りのトマトとキュウリを冷やしたものだったな。


 水分をタップリと含んで、噛んだ時にシャクッシャクッと音が聞こえる程の歯ごたえ。

 昔のアニメ映画に、母親の療養の為に田舎に引っ越した子どもたちが、近所の農家で採れた野菜を川で冷やして、美味そうに丸かぶりしていたシーンがあったが、あれは誇張じゃない。ほんとにそれだけで食って美味い。

 あの美味さを知らずに死ぬと損をする。


 よく酒の美味さがわからないと、人生を半分損したようなものと言うが、俺は野菜の美味さがわからないと、人生損してると思う。

 ニゴヒの町でハンバーグ工房とクリーニング工房を建て、役場から測量担当が到着するのを待つ間に、ゲルウニガ料理店に入ってみることにした。今日の昼ご飯はゲルウニガ料理だ。入る店は店名で決めた。


 その名もゲルウニガ中毒。中毒になるほど美味いという自信があるのだろう。ゲルウニガのコース料理を出してくれる店だそうだ。

 前菜はゲルウニガとニニガの食べ比べ。海鮮とゲルウニガをふんだんに使った、レモンドレッシングのカルパッチョのようなもの。

 この世界にレモンはないから、俺のレモンをルピラス商会から仕入れた物だろうな。


 ゲルウニガのパスタ。ミノタウロス肉とゲルウニガのしゃぶしゃぶ。デザートまでゲルウニガのジュレ仕立てと、まさにゲルウニガ尽くしのコースだ。ゲルウニガ自体に甘みがあってクリーミーに感じる。それが舌の上でとろけていく。それでいて磯の香りがする。


 コクってのはこのことか、という濃厚なゲルウニガが、サッパリと食べられてしつこく感じない。形がキレイなのに、ミョウバン処理してないからか、苦みを感じない。

 採れたてを出してくれているんだろうな。

 ……うん。美味いじゃないか、ウニ。

 やっぱり大勢の人に好かれているだけあって、いいものはちゃんと美味いんだな。

 今日俺は嫌いな食べ物がひとつ減った。


 測量を終えたら面接だ。クリーニング工房は俺の経営ではないので、メッペンさんが幹部候補として雇った人が、店長兼工房長として来てくれている。地元の人で、家族もニゴヒに住んでいる。研修だけメッペンさんの王都近くの工房で受けていた人の1人だ。


 移動販売の面接もおこなうので、希望者は冒険者たちもいるし、ハンバーグ工房は一般の地元の人たちだ。どちらも給与が高く安定しているので、かなりの人数がやって来る。

 工房長候補にかなり良い人が見つかった。

 明日の面接次第だが、もうこの人に決めてもいい気がする。保育所だけは遊具を大工さんたちに作って貰わなくちゃならない。


 俺の能力では出すだけになるので、地面にそのままデン、と置くだけになるから、それだと固定されなくて危ないからな。

 ハンバーグ工房の内装や、保育所の脱出用滑り台なんかは、いつものように魔法建築家のエンデヴァーさんに頼んである。


 ニゴヒのハンバーグ工房の俺の執務室内にも、移動用の転送魔法陣をしいて、王都近くのハンバーグ工房まで戻った。

 保育所まで子どもたちのお迎えに行こうとした時、なにやら工房の敷地の外で、警備兵と女性が揉めていた。


 ハンバーグ工房と、従業員の社宅と、保育所は同じ敷地内にあり、外部の人間が入って来られないようになっている。

 それでも念の為警備兵を入口の詰め所に置いているのだが、大金を稼げるようになったうちの従業員の、親戚やら元配偶者やらが、たまに押しかけてくることがあるのだ。


 まあ、ようは生活が苦しいから助けてくれってことだな。離婚した相手にどうして助けて貰えると思うのか不思議なんだが、金に困るとなりふり構っていられないのか、もともと図々しいかのどちらかなんだろう。

 平民が稼ぐ手段が限られた世界で、なおかつ稼げても月に中金貨1枚、現代のお金にして10万稼げればいいほうなところに、月に20万以上稼げる職場はエリートコースだ。


 冒険者ならCランク以上になれば、そのくらい稼いでても不思議じゃないそうだが、王宮や貴族の家に勤めてない限り稼げる金額じゃないそうだ。まあ、ルピラス商会なら、そのくらい給料を払ってるみたいだが。

「あの子は私の子どもなのよ!?どうして渡せないのよ!さっさとここを通しなさいよ!

 コーリー!お母さんよ!

 迎えに来たから一緒に帰るのよ!」


 ……コーリー?

 コーリー君はうちの経理を担当して貰っている、ニールさんのお子さんだ。確か結婚相手の連れ子を、母親が虐待していたとかで、離婚と同時にコーリー君を引き取った筈だ。

 そのせいで未だにコーリー君は、若い女性が苦手なんだ。最近少しだけ若い保育士さんたちにも懐いてきたと聞いているが……。


 つまりこの人がニールさんの元奥さんで、コーリー君を虐待していた母親ということなのか。可愛らしいコーリー君に似て、見た目だけは少しキレイな人だったが、その顔をおっかなく歪めている。今更なんの用なんだ?

 2人いた警備兵のうちの1人が呼びに行ったのだろう。ニールさんが慌てた様子でこちらにやって来るのが見えた。


「カリーナ……。なぜここが分かったんだ。

 今更なにしに来た。」

 カリーナさんは、ふん、と鼻を鳴らして、

「奪われた子どもを取り返しに来たのよ。

 あの子はあたしの子どもだもの。

 取り返しに来て当たり前でしょう。」


「コーリーは君に怯えてる。

 君について行きたがるわけがないだろう。

 君は自分がなにをしたのか忘れたのか?

 コーリーに食事を与えず、お腹をすかせて泣いたら叩いて。魔物が出る時間に、あんな小さな子どもを家の外に放り出すなんて!!

 僕がたまたま早く出稼ぎから戻らなかったら、あの子は死んでいたんだぞ!!」


 ニールさんは肩で息をしながら叫んだ。

「うるさいわね!自分の子どもをどうしようと、あたしの勝手でしょう!?

 法律でも子どもは親の持ち物と決まっているのよ!あんたが口を出す権利はないわ!」

 残念ながらこの国の法律は、カリーナさんの言う通りなのだ。子どもは成人するまで、生殺与奪の権利を親が握っている。


 だが子どもと5年以上ともに暮らしていれば、結婚相手の連れ子と血がつながっていなくとも、親権を主張することが出来るのだ。

 ただし血がつながっていない場合は、養親が定職についている必要がある。ニールさんは出稼ぎに出ていた関係で、一緒に暮らしていた期間が短かった為、必要な5年を満たす為、ともに暮らして仕事をする必要があり、それをうちで達成しようとしていたのだ。

 

「あたしがちょっと捕まってる間に、コーリーを連れて逃げたあんたに、主張出来る権利なんてないのよ。

 あたしから逃げ回って、その間に5年間の養育実績をつもうと思ったんでしょうけど、おあいにくさま。

 さっさとコーリーを返しなさいよ。」

 意地悪く笑うカリーナさん。


「なんでコーリーに執着するんだ!

 そんなに大切に出来ない子どもなら、君にとっていないほうがいいだろう!

 世話が面倒くさいんだろう?

 コーリーが泣くと鬱陶しいんだろう?

 君は僕にそう言ったよな。

 だったらコーリーを、もう自由にしてやったらどうなんだ!」

一応明日も更新あります。

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