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【7/29コミカライズ先行配信開始!】こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記  作者: 陰陽


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第156話 食材使いまわし4日目の朝ごはん。無限ツナピーマン、酒のつまみにもなるタケノコの水煮とベーコンとエノキのシャキシャキ炒めと、ワカメと豆腐の味噌汁。

 食材使い回しも4日目を迎えた。俺はピーマン、タケノコの水煮、薄切りベーコン、エノキ、ツナ缶、鶏ガラスープの素、ニンニクチューブ、白いり胡麻、塩、醤油、料理酒、お酢、サラダ油、ごま油、黒胡椒を出した。

 ピーマン10個は縦半分に切ったら、種を取っておいて横に千切りにする。


 耐熱ボウルに切ったピーマン、軽く油を切ったツナ缶2缶分、塩少々、ニンニクチューブ少々、お好みで黒胡椒、鶏がらスープの素大さじ1、ごま油大さじ1.5を加えてさっとあえ、ラップをして電子レンジ700ワットで1分45秒(2分だと多いかな)加熱したら、一度取り出して全体をかきまぜ、再度ラップをして2分加熱して、白いり胡麻大さじ1を加えて混ぜて冷ましたら、無限ツナピーマンの完成だ。ピーマンだけでもうまい。


 続いてタケノコの水煮2袋(240グラムくらい)は1センチ幅に切る。切りにくい穂先は適当に縦に切る。エノキ1袋は石づきを取って半分の大きさに切っておく。薄切りベーコン8枚を縦に1センチ幅に切り、中火にかけたフライパンにサラダ油をしいて、タケノコの水煮と薄切りベーコンを炒める。


 火が通ってきたら、エノキを加えて更に炒め、醤油大さじ2、料理酒小さじ2、お酢大さじ1を加えて、汁気が無くなるまで炒めたら、器に盛り付け、大人はお好みで黒胡椒を振れば、酒のつまみにもなる、タケノコの水煮とベーコンとエノキのシャキシャキ炒めの完成だ。夜作っても良かったんだが、明日も早起きするから、今日は飲めないしな。


 使いまわし食材4日目の朝ご飯は、無限ツナピーマン、酒のつまみにもなるタケノコの水煮とベーコンとエノキのシャキシャキ炒めと、ワカメと豆腐の味噌汁と常備菜だ。

 うーん、朝から飲みたくなってくるな、と思いながら、熱々ご飯をモリモリとかきこんでいく。やっぱりオカズというものは、いかに白飯を美味しく食べられるかだと思う。


 今日からアレシスも保育所に通所することになるのだ。経営者権限ですぐに書類に署名をして、事前に通所許可は取ってある。

 それもあっていつもよりも早起きをした。

 だが、日頃カイアとアエラキをそうしているように、アレシスも抱っこして運ぼうとしたところ、非常に持ちにくくて歩きにくい。


 アレシスはカイアとアエラキと比べると重たいというのもあるが、3人というのは非常に持ちづらかった。

「アエラキ、ちょっと飛んでくれないか?」

 と聞くと、イヤッ!とでも言うように、アエラキがプイッとそっぽを向いてしまう。

 仲間外れになるみたいで、嫌なのかな。


 さてどうしたもんか。乳母車でも用意すべきかも知れないな、と俺が思った時だった。

「ん?アレシス、降りるのか?」

 アレシスが下に降りたがったので降ろしてやると、俺に手を伸ばして来たので繋いでやる。すると俺と手を繋いでヨチヨチと歩き出し、ニコーッと笑った。


 俺が3人は抱え辛いと思っていたのに気が付いて、気を使ってくれたんだろうか。ほんとにアレシスはお姉さんだなあ。

 すると今度はカイアが下に降りたがった。

 降ろしてやると、アレシスの反対側の手を握って、ニコーッとする。アレシスもつられてニコニコとしていた。


 そうなると、今度はアエラキだ。

「──おっと。」

 俺の腕から無理やり抜け出すと、カイアとアレシスの間に入りたがった。カイアとアレシスが、両方からアエラキの手を掴んでやると、早く歩けないアエラキは、風魔法で宙に浮かびながら、2人と一緒に進みだした。


 3人と並んで歩くのはいいんだが、当然かなり小さな3人のこと、進みは遅々として遅い。こりゃ、今日は保育所に遅刻かもな。

 だが、歩きたがる子どもたちを、無理やり抱っこするわけにもいかない。自転車や車で送り迎えするなら、無理矢理にでも乗せちまうんだがな。こりゃあ、明日からだいぶ早起きしないとだなあ……と思うのだった。


「あら!カイアちゃん、アエラキちゃん!

 今日はお父さんと歩いて来たのね!

 それと、えーっと……。」

「アレシスです。

 今日からお世話になります。」

「そうそう!アレシスちゃんね!はいはい、聞いてますよ。私は所長のマルグリットよ。

 よろしくね、アレシスちゃん。」


 所長先生がニコニコとアレシスに挨拶をしてくれる。アレシスはモジモジしながらも、とっても嬉しそうだ。優しい大人に慣れていないんだろうな。今まで森で1人だったし。

「カイアちゃん、あそぼ……。」

 アーリーちゃんが、さっそくカイアを迎えに来た。

「アエラキ!あそぼうぜ!」

 アエラキにもお友だちが迎えに来る。


 まだお友だちのいないアレシスは、1人ポツンとして、モジモジしていた。それを見たカイアとアーリーちゃんが、2人してアレシスにちっちゃなお手々を伸ばす。

「ピョルッ!」

「あ、あそぼ。おすなば……。」

 人見知りのアーリーちゃんは、かなり勇気を出してくれたんだろうな。


「ア……ソブ……。イッショ……。」

 アレシスはとっても嬉しそうた。やっぱりアレシスも保育所に入れて正解だったな。

 3人でお砂場で遊びだしたのを確認して、俺はマルグリット所長に挨拶をして、保育所をあとにした。


 ちなみに保育所の時間割は、午前中は庭で全年齢が遊んで、お昼ご飯を食べたら、字の読める先生たちによる絵本の読み聞かせ、それが終わったらお昼寝、起きたら保育所内での各年齢ごとの室内遊びだ。雨の日はホールで駆け回ることになるな。


 2階は2歳までの子どもたちと、病児保育の部屋だ。子どもが病気でも出勤出来るように、一応病児保育を取り入れてみた。

 これが親御さんたちに大好評で、特に一人親家庭の人たちには、休まなくて済むと感謝されている。何かあれば併設の病院で、聖魔法使いかつ薬師のアントンさんが見てくれるし、住民は保険がきくからな。


 何せ現代人だもんで、労災と健康保険だけは必須だと思うんだ。売上から領地の税金が支払われるので、それを健康保険に当てている。聖魔法使いに診て貰うのは高いんだが、それがあるから、村の人たちもアントンさんの病院に通うようになったらしい。


 それが村の高齢者組にかなり好評だ。

 大きな病気になる寸前だった人もいたりして、寿命が伸びたと感謝してくれている。

 あれだな。聖魔法使いってのは凄いな。

 CTスキャンやMRIみたいなことを、機械を使わずに出来るんだからな。


 俺は新たな拠点を作りに行く前に、ハンバーグ工房へと立ち寄った。みんなの成果を伝える為だ。工房の中に入るには、専用の制服に着替えてマスクをする必要がある。菌は食品を作るにあたって大敵だからな。制服に着替えて滅菌室で滅菌シャワーを浴び(生活魔法で消し去っているので、実質光を浴びているだけだが)たら、工房の中へと入る。


「みんな、手を止めてくれ。ジョージからみんなに報告があるそうだ。」

 工房長のラズロさんが、みんなの注目を集めてくれる。ハンバーグを作っていたみんなが、手を止めてこちらを向いた。

「お疲れ様です。皆さんの作業量の先月との比較を報告に来ました。」

 みんな真剣に聞いてくれる。


「先月比112%も作業量が向上しており、これは素晴らしい成果です。」

 特に男性たちに目線を合わせてそう告げると、おおっという声が漏れた。

「もとからいた皆さんたちは、積極的に新しい方たちに技術を伝授して下さいましたね。

 根気よく教えてくれていたと聞いています。そのおかげだと思っています。人数が増えただけではこうはなりませんでした。

 本当にありがとうございます。」


 これは特に女性たちに目線を合わせて言った。これは単純に、男性は結果のほうを重視して、女性は過程を気にするという、性別の違いに合わせただけだ。評価されたい部分が違うのだから、正しく評価していることを伝えたいと思ったらこうなった。女性たちもニコニコして、嬉しそうに誇らしそうにしている。感謝は伝わったようだ。


 俺が与えるばかりでなく、みんなからも与えて貰っているのだということは、やっぱりちゃんと伝えないとな。評価されたくてやっていることでなくとも、やっぱりいい評価をされると嬉しいものだからな。

 みんなに結果を報告すると、誰ともなくパチパチと拍手が起きた。お辞儀をしてハンバーグ工房をあとにする。


 さあ、仕事に戻ってくれ、というラズロさんの声が後ろから聞こえた。

 今日はツィーレという街に拠点をこしらえる予定だ。既にキシンとマンバには拠点を作ってあるので、転送魔法陣で飛ぶことが出来る。俺はマンバまで転送魔法陣で飛ぶと、そこから馬車でツィーレの街へと向かった。


 ここツィーレの街は、万年雪のあるキシン程ではないが、少し肌寒い地域で、じゃがいもに似たゴロロラという作物が特産品の地域なんだそうだ。俺は地産地消の為に、ハンバーグ工房だけでなく、ここでポテトチップスとフライドポテトの工房も作って、町に店を作って販売するつもりでいるんだ。


 だからここに建てる工房は、ハンバーグ工房とポテトチップス&フライドポテト工房の2箇所になるし、その分雇う人数も多くなるな。まあ、雇用が増えるのはいいことだ。

 馬車が町へ到着し、能力で目当ての場所に建物をすべて出して、手続きの為に役場に向かおうとした時だった。何人かの若いハンサムな男性が、派手な外観の建物の中から、怒鳴りながら出て来たところにぶつかった。


「あ、申し訳ない。」

「あ。すみません。」

 ぶつかっていない男性が、申し訳なさそうに代わりに謝ってくれる。ぶつかったほうの男性は、建物の奥に立っていた中年の男性に向けて、まだ怒鳴り続けていた。


「ふざけるな!俺たちは体を売らずにここまで来たんだ!こんなとこだと知ってたら、そもそも来なかったさ!それが目的の店なら、劇場だなんて看板はおろすんだな!!」

 なんだ?俺が店を見上げると、コロアド劇場と看板には書かれている。この人たちは劇団に参加したい役者さんとかだろうか?

 それならこの見た目なのも納得だな。


「ふん!ライドショーはどこも、客に選んで貰う為に劇をやっているんだ。今どき純粋に劇だけを見に来るお客なんていないんだよ!

 甘ったれたことを抜かすな。舞台に立ちたきゃ、客を取る覚悟をするんだな!」

「俺たちは自分たちの演技だけで客を呼べるんだ!こんなとこ、こっちからお断りだ!」


 ようするに、このライドショーという舞台を見せている劇場は、昔の歌舞伎みたいなところということなのか。歌舞伎の初期の初期は、外で見せていた大衆演劇みたいなものから始まって、その後蔭間茶屋みたくなっていったんだよな。役者は舞台だけだと食べていかれなくて、蔭間を兼ねるようになったが、それ目的の舞台も増えていったんだ。


 コロアド劇場の支配人らしき人は、外に立っていた俺をチラリと見た瞬間目を輝かせ、

「出演希望者か!?ああ、なんてことだ、こんな逸材が俺の店に来てくれるなんて!!

あんたならすぐにスターになれるぞ!さあ、来てくれ!1番高い給料を保証しよう!!」

 と、俺の腕をいきなり掴んで、グイグイと店に連れ込もうとしてきた。


「──触らないでください。

 俺は自分の店をいくつも持っています。

 こんなところで働くつもりはありません。

 たまたま通りかかっただけですので。」

 と、その腕を無理やり振りほどいた。

「その年で店だと?嘘をつけ。

 それにこの地域で力を持つ俺に逆らって、ここで店をやれる人間などいるものか。」


 なるほど?ライドショーの支配人は、ツィーレの町で力を持てるんだな。ふうん。

「そうですか。なら、俺もこの町でライドショーとやらをはじめましょう。どうやらあなたのような人に権力を握らせるのは、このあたりの人たちの為になりませんのでね。」

「なんだと!?」

「あなたがた、俺について来てもらえませんか?ライドショーについて知りたいので。」


 俺は若者たちに声をかけた。若者たちは困惑しながら互いに顔を見合わせながらも、舞台に立てるかもしれないという、一縷の望みをかけて、俺に素直について来てくれた。

 俺は役場で新しく工房を建てたので、測量に来て欲しいことを伝え、申請を出すと、ルピラス商会の支店へと立ち寄った。

「すみません、副長のエドモンド・ルーファスさんにつないでいただけませんか。」


 ルピラス商会には、通信具が常に置いてあるんだ。すぐにエドモンドさんにつながる。

 ルピラス商会に入ったことで、後ろについて来ていた若者たちが驚いていた。

「なんだジョージ、うちから連絡してくるなんて、珍しいな。何かあったのか?」

「はい。実はツィーレの町で劇場を作りたく思っていまして。協力してくれる人を探しています。俺は詳しくないので……。」


「劇場?ツィーレでか?というと、……ライドショーを始めるのか?」

 さすがやりての商人。情報に明るいな。

「ええ。まあ。純粋に演技だけでお客を呼べる劇場にしたいと思っているんです。」

「それは構わんが……。演者のあてはあるのか?出てくれる人間がいなければ、箱物だけ作ったところで、どうしようもないぞ?」


「そっちは逆にあるんです。客を呼べると言っている若者たちが数名。」

「演技だけで客を呼べる?ツィーレでそれを出来るのは、恐らくラックル・ノイズが率いる劇団くらいだぞ?……と言っても、劇場の支配人が劇場を取られて、公演は実質不可能になっちまってるみたいだがな。」

「──取られた?何があったんですか?」


「なんでも孫娘が悪い男に引っかかって、借金を背負わされちまったらしい。それで劇場を売り払ったんだ。場所だけは広くていい立地にあるからな。建て替えて店を出そうと思ってうちが買ったんだが、ジョージが劇場をやりたいと言うのなら、そのまま売っても構わんが。まだ手を付けていないからそのままだ。改装してついでに綺麗にするといい。」


「ありがとうございます!

 ぜひそこを買わせていただきます!」

「なに、気にするな。また新しく商品があったら、優先的にうちに流してくれよな?」

「もちろんですよ!」

 これで劇場のあては出来た。あとは彼らだけでなく、新しく役者を探さないとな。

 そう思っていると、さっき激昂していた若いハンサムから肩を叩かれた。


「あの……、俺、話に出ていた、ラックル・ノイズといいます……。」

 と、殊勝な態度で名乗ったのだった。

 なるほど、唯一普通の公演をさせてくれていた場所がなくなって、やらせてくれる場所を新たに探していたということか。劇場ばっかりは役者に用意出来ないものな。今あるところのいずれかを借りるしかないが、今この町にある劇場は、客を取らないとやらせてくれなくて困っていたというわけだ。

かなり間あきまして申し訳ありません。

また時間を見つけて書いていきたいと思っております。

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