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【7/29コミカライズ先行配信開始!】こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記  作者: 陰陽


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第152話 食材使いまわし2日目の朝ごはん。 キュウリとゴボウのサラダ、しめじとエノキのみぞれ蒸し豆腐、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁

 俺は朝ごはんの支度にいそしんでいた。

 ゴボウは土を洗い落として、皮を軽くこそいで薄く切り、耐熱ボウルの中でしばらく水にさらしたら、ざっと水気を切る。このとき水気を切りすぎてしまうと電子レンジで加熱後に、乾いた状態になるので、耐熱ボウルの底に少し水を残すくらいにしておく。

 キュウリは塩を少々をふって、まな板の上で数回ころがし、さっと洗って斜めに薄切りにしてから、さらに細切りにする。


 塩と砂糖をひとつまみずつ加えて混ぜ、ゴボウの入った耐熱ボウルを電子レンジに移して、700ワットで1分40秒加熱したら、上下を入れ替えるように混ぜ、さらに700ワットで1分10秒ほど加熱する。

 火が通っていないようなら、10秒ずつくらい追加で加熱して調節していく。ラップはあってもなくても構わない。


 必ずごぼうが熱いうちに、下味づけ用に、砂糖、醤油、酢を各小さじ1加えて混ぜ、そのまま粗熱を取ってやる。ごぼうが人肌以下になったら、耐熱ボウルの底にたまった汁気を捨てて、マヨネーズ大さじ1と半分、すった白いり胡麻小さじ1、こしょう少々を加えて混ぜ合わせていく。これだけでキュウリとゴボウのサラダの完成だ。


 しめじとエノキ1袋分の石づきを切り、小房に分け、大根3分の1をおろしておく。

 木綿豆腐を3等分に切り、耐熱皿に分けて盛り、皿に盛った木綿豆腐の上に、えのきとシメジと、軽く水分を切った大根おろしを乗せ、700ワットの電子レンジで4分温め、具材に火が通ったら、ポン酢をかけて、しめじとエノキのみぞれ蒸し豆腐の完成だ。


 お好みで小ネギを振りかけても見た目がきれいになるな。別に絹豆腐でもいいんだが、食いごたえが弱いのと、俺が木綿豆腐のほうが好きなので、基本木綿豆腐で作っている。

 ちょっとした酒のツマミにもなるので、簡単な割にサッと作って出してやると、割合人に喜ばれる料理のひとつだ。


 和食は手間と材料費がかかるものが多いから、それだけで豪華そうに見えるんだよな。

 ジャガイモと玉ねぎの味噌汁を作って、だし巻き卵を添えて、今朝の朝ご飯の完成だ。

 食材使いまわし2日目の朝ごはん。

 キュウリとゴボウのサラダ、しめじとエノキのみぞれ蒸し豆腐、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁、それとだし巻き卵と常備菜だ。


 みんなで美味しく朝ご飯をいただく。

 保育所にカイアとアエラキをおくっていくと、既についていた子どもたちが、何やら楽しげに歌いながら遊んでいる。子どもたちの親御さんは、うちのハンバーグ工房や移動販売なんかで働いてくれているので、特にハンバーグ工房組はいつも朝が早いんだよな。


 ……しかし全員がピョルピョルと、カイアのように歌っているのはなぜだ。

 しかも節回しがどう聞いても、大きな愛でもてなしてって歌っているんだが。

 おそらく円璃花だな。彼女が歌っていたのをカイアが聞いて覚えたんだろう。


 カイアは人間の言葉を話せないから、それを聞いて覚えた子どもたちが、ピョピョピョピョピョピョと歌っているというわけだ。

 子どもにも歌いやすい歌なんだろうな。

 どうせなら自分の推しのグループの歌を教えたらいいのに。それとも教えたけど覚えられなかったんだろうか。まあいい。


 まさか異世界でこの歌が流行るとは思わなかったが。全員が子どもの頃から歌唱力が高くて、ダンスもかっこいい女の子たちのグループだったのだが、アイドルとしてテレビに出る機会が少なくて、一般層にはあまり認知されていないが、円璃花いわく伝説のアイドルグループで、評価はとても高いらしい。


 俺もどちらかというとバラエティーでメンバーを見る機会のほうが多かったしな。円璃花がハマっていなかったら、知ることはなかったかも知れない。異世界で歌い継がれていることを知ったら、その子たちも喜ぶかも知れないな。まあ、知らせる機会がないが。


 カイアとアエラキを保育所におくり届けたあとで、俺は朝からルピラス商会副長のエドモンドさんに呼び出されて王都の倉庫街にいた。エドモンドさん依頼の商品を出す為だ。

「うまくいっているらしいな、移動販売。」

「ええ、ありがたいことに。」


 ここに出してくれ、と言われた空っぽの倉庫の中に、インスタントコーヒー、豆乳、桃缶、トマト缶、インスタントラーメン、粉ミルク等を出していく。移動販売で人気の商品を、自分たちのところでも取り扱いたいと言われたのだ。コーヒーはまだまだ高くて、一般層に浸透していなかったが、存在を知っていた人たちや冒険者たちにかなりの人気だ。


 この商品を登録する為に、開始するまでに時間がかかったんだよな。商品の品質に変化がないことをギルドが確認出来ないと、保存食として販売することが出来ないからだ。

 この世界には保存食が少ないから、それはもう飛ぶように売れている。常温で保存出来るというのが特に決め手だな。マジックバッグも冷蔵庫も、一般家庭にはないからな。


 移動販売を始めてからというもの、日頃討伐に来ない冒険者たちの数が、村に来ることがかなり増えたという話を聞いた。人の住むところの近くには、そんなに強い魔物が出ないことと、そもそもの数が少ないことから、討伐依頼がないので、冒険者たちがあまり来ないのだという。まあ、稼げないものな。


 まあ、討伐依頼以外にも素材の買い取りはあるから、討伐依頼ほどは稼げないというだけなんだが。移動販売目当てに村に来るついでに、近隣の魔物を狩っていくらしい。

 討伐依頼を出せるほどのお金はないが、畑を荒らされたり、人が襲われることもあるので、村としては手を焼いていたのだそうだ。


 だが冒険者たちが立ち寄るようになってからというもの、安全に出歩けるようになって助かっているとのこと。思わぬ副産物だな。

 冒険者相手の商売を新たに始める人が増えて、食べ物屋なんかも出来てましたよ、と従業員が教えてくれた。村が潤うのであればいいことだな。独身の従業員たちは、村人たちに娘をどうかとすすめられて大変らしい。


 冒険者なんて危険な商売だから、すすんで嫁に出したがる親なんていないのに……、と驚きつつも、何人かは話しが進んでいるようだ。まあ、今は安定した雇われ仕事だし、危険はあるとはいえ少ないからな。

 せいぜい盗賊が出るか、移動の道で弱い魔物に遭遇するくらいのものだからな。


 エレインさんのパン屋で、ハンバーグに合うバンズを開発してくれたことから、町に新たにハンバーガーの店を出すことになった。

 もともと歩き食べの習慣がある世界だからか、珍しいからか、その両方だと思うが、ハンバーガー屋がまあ人気で大変だ。

 今のところ近隣の町にしか出せないでいるが、いずれ全国展開の予定でいる。


「ジョージの希望通り、これらは裕福な海外に売ることになっているよ。値段を上げちまったら、ジョージの販売したい価格で、移動販売で売れなくなっちまうだろうからな。」

「ありがとうございます。せめてこの国の一般層には、安価で届けたかったので……。」


 この国はまだまだ食べるものに困るような人たちがたくさんいるというから、少しでも安価に食材を届けられるようにしたかったんだよな。村人たちが育てている穀物や野菜なんかを、ルピラス商会で運営しているレストランで買い取れるようにもしてくれた。


 そこで手に入れたお金で、また移動販売で商品を買ってくれている。その結果売るように野菜を作る人たちが増えて、国内自給率がもともと高かったのに、更にその率が上がったらしい。そのことには先代勇者のランチェスター公がひと役かってくれた。


 異世界転生者特典で、万能種を生み出すスキルを授かっていたらしい。子どもの頃は食べるものに苦労していたからのう、が理由らしい。遺伝子組み換えでもないのに、丈夫で育ちやすい種を、スキルで生み出すことが出来るのだ。それを過去に使ったことで、小豆がこの世界にはあるわけだ。以前ナナリーさんの店で食べた小豆がそれにあたる。


 作り手がいなくてあまり広まらなかったそうだが。豆ってのは気候の影響を強く受けるからな。昔は北海道といえば小豆で、北海道以外でもたくさん作られていて、どこどこの地方の小豆がよい、とかあったのだが、今は日本国内でろくな小豆が取れなくなっていることは、以外と知られていない事実だ。


 そのぶん北海道では、乳製品や肉が発展しているのだからいいじゃない、と、まるでパンがなければお菓子を食べればいいじゃないの、みたいなことを言う人もいるが、そういうことじゃあないんだ。代々続けていた甘納豆専門店が、後継者不足以外が理由で、すべて廃業するくらいに酷い状況だってのにな。


 売り物になる豆が入らないんだから、それはもうどうしょうもない。ただでさえそんなにもうかる商売じゃないっていうのに。

 俺の子どもの頃から国内自給率が低いってのに、日本の政治家は本当に目先のことしか見ないからな。出生率低下だって、俺の子どもの頃から言われていたことなんだが。


 俺が中学生の頃、あまりの原発の多さに教科書を見て驚愕したものだが、それと同じくらい国内自給率の低さにも驚愕した。

 何か起きた時どうするのだろうという、今後のことをまるで考えていない国作りで、チェルノブイリや、過去の戦争のこともあるのに……と、子どもながらに思っていた。


 実際その危惧は当たって、原発は大事故をおこしてしまった。それにどこかの国が戦争をおこしたら、自国のことに必死で、こちらの国まで食料が回らなくなった時、通常よりも高い金額で、それでも頭を下げて、食料をかき集めなくてはならなくなるというのに。


 それでいて結局馴染みのある食べ物しか受け付けないから、せっかく支援して貰ったとしても、米不足の時みたく、まずいだなんだと言うことになるのにな。まあ結局、選挙の為にそういう目先の耳障りのいいことだけを並べ立てる政治家を、選んでいるのは国民なのだから、政治家だけの問題でもないが。


 俺が今回領地の管理をするにあたって、同じようにするのは無理でも、せめて近付けたいと思って参考にしたのが、明石市と千代田区だ。すぐには結果が出なくても、子どもを安心して産んで育てられる環境には人が増える。その結果、町が発展するからだ。


 今は従業員分しか受け入れない保育所もいずれ増やしていきたいし、従業員以外も住めるようにしていきたい。

 倉庫に商品を出し終わったら、コボルトのアンテナショップの様子を見に行く。

 あれからすっかり町は様変わりした。


 貴族街の店全部を、お化け屋敷に参加出来る購入対象の店舗にしてあったのだが、それによりまず貴族街の店舗の人たちの対応が変わった。王家御用達という敷居の高い看板を掲げているが、一緒にこの王都を盛り上げようとしている店だとして、コボルトのアンテナショップを受け入れてくれたのだ。


「あら、ジョージ。」

「お久しぶりです。」

 店に入ると、セレスさまがクスカを手に施されながら、俺を振り返って微笑む。

 セレスさまはパーティクル公爵夫人なのだから、自宅に呼びつけて施術して貰うことも可能だろうが、こうして毎回店に足を運んでくれている。


 王妹であったセレスさまは、貴族婦人の中でも流行発信の中心人物だ。そのセレスさまが自ら足を運び、日々オンバ茶で美しく若返るさまを目の当たりにした貴族たちから、俄然注目を集めだし、今ではクスカの予約待ちが生まれている。コボルトに触れられることを嫌がる人間は、この王都にはもういない。


 クスカは精霊魔法のかかった魔宝石を装飾するコボルトのネイルだ。そこにネイルアーティストの円璃花のデザインを加えたことで女性に爆発的な人気が出た。

 ネイルなんて文化がなかったから、外国から旅行に来たらクスカをしたい、というのが旅行の目的のひとつとなっているらしい。


 特にアシュリーさん、ララさん、オンスリーさんは、すっかり町の人気者だ。美しいアフガンハウンドの見た目に、サッパリした性格のアシュリーさん、愛らしいパピヨンの見た目に加えて、ネイルのセンスのあるララさん、おっかないブルドッグの見た目ながら、子どもに優しいオンスリーさんだからな。


 自分たちが、よく分からないまま、なんとなくコボルトを嫌っていたことが、よく分かったのだと思う。

 楽しげにお客さんたちと会話をしながら給仕をしている、コボルトのみんなの姿を眺めて、みんなに挨拶をしてから、だいじょうぶそうだと思い、店をあとにした。


 今日はマンバという町に、新しい拠点を建てに行く予定なのだ。自宅まで戻ると、キシンの町まで魔法陣で移動する。

 キシンの町の従業員たちに挨拶をすると、そこからマンバまで馬車で移動するんだ。

 転送魔法陣のおかげで、かなり移動時間が稼げて有り難いな。


 マンバの町まで移動すると、冒険者ギルドに顔を出した。そこにアスターさんたちが紹介してくれた、ヤンガスさんが待っていてくれた。ヤンガスさんはマンバ出身のCランク冒険者で、ニモピンで弟さんが冒険者をしているらしい。ニモピンの移動販売はいずれヤンガスさんの弟さんに任せるつもりでいる。


 長らく出稼ぎをしていたが、地元で働けるとあって、喜んで就職してくれたのだ。

「お待ちしてましたぜ、ジョージさん。」

「今日はよろしくお願いいたします。

 それでは、さっそく行きましょうか。」

「はい、それはいいんですが、……本当に2人だけで行くんですかい?ジョージさんはAランクとは聞いてやすが、本来パーティーを組んで倒すのものですぜ。」


 ヤンガスさんが心配そうに眉を下げる。

「はい。俺は普段は1人なので。」

「そうなんですかい!?

 えらいこっちゃな……。」

 ヤンガスさんは不安げに体を震わせた。

 エドモンドさんが見つけてくれたマンバの拠点にする予定の土地。そこにはとある魔物が巣を作っていて、人が近付けないらしい。

更新かなりあきまして申し訳ありません汗

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