目覚め
サキュバスの追撃をなんとか退けた魔王は、やっとひとりでゆっくりと床に入った。織田信長の時代でも見たことのないような巨大な寝室で、その高い天井を眺めながら、いつの間にか眠りについていた。
「ん-っ、朝か!」
魔王は目を覚ました。
「おおおお!」
魔王は隣にいつの間にかサキュバスの女が同じベッドで眠っていることに驚いて大声を出した。
「あら。魔王様おはようございます」
女は何事もなかったように魔王にしなだれかかった。
「何故、お前はここにいるのだ」
魔王は慌ててベッドから飛び出た。
「????」
「私は毎晩このベッドで寝てますが????」
女は不思議そうな顔をしている。
「であるか」
魔王はあわてて平静を装った。
「ごほん、本日は街を見てみたい!」
魔王は、信長時代に楽市楽座制等、城下町の整備に力を入れていた。この世界の町づくりにも興味があった。
「街ですか?」
女はきょとんとした顔をした?
「人族の調査をということでしょうか?」
そもそも魔族領に街等存在していなかった。
「わが城に、城下町はないのか」
魔王は驚いたように質問した。
「????」
女はまたまた不思議な顔をした。
「魔王様もご存じだと思いますが、魔族はそもそも町などつくりません。皆それぞれ勝手に人間の町や村を襲って食料や物品を調達しますので」
女は様当然のことのように答えた。
「なんだ、その生活は! まるで盗賊ではないか!」
「そんな生活を我が配下がしているようでは、この世界のほとんどが人間界というのも当たり前であろう」
魔王は強大な力がありながら、1割以下の支配しかしていないことの答えを知ったのであった。
「はあ、そうでしょうか」
女は、全く危機感がなかった。
「ええい、おれが魔族を変える。今後はしっかりとした生活設計を立てて、魔族領を豊かにするのだ!」
魔王は自分のやるべきことが見えてきた気がした。
「素敵ですわ、魔王様」
女は魔王に抱き着いた。
「ええい、だからよるなと言っているだろう」
魔王は朝から、なんだか大変疲れたのであった。




