クラーケン
魔王とプリヒスはたこ焼きをそれぞれ30個以上たべて、ようやく満足した。
「おやじ、このたこ焼きはどのようにつくるのか?」
魔王は真剣な顔でたこ焼きを大量に出してくれた店主に尋ねた。
最初は厄介な客に渋っていた店主も、魔王の熱意と国王の同伴者ということで、諦めてたこ焼きの作り方を実演を含めて丁寧に教えてくれた。
国王と魔王、プリヒスは満足して店を後にした。
「爺、銭湯のことといい、タコ焼きの事といい、どうしてこんなものを知っているんだ?」
魔王は中世ヨーロッパ風のこの世界で異質な存在の銭湯やたこ焼きを生み出した事に違和感を覚えていた。
「うわっはっはっは! まあ年の功でな!」
国王は豪快に笑い、魔王の質問を軽く流した。
魔王はその後もしつこく国王に問いただしたが、国王は適当にかわすだけだった。そんな国王の態度に魔王はこれ以上の追及を諦めて、プリヒスとともに魔王城に戻った。
「女よ、わが城下町にたこ焼き屋を作るぞ!」
魔王はさっそく温泉予定地の隣に小さな小屋を建てた。
その後、国王に紹介された店の看板をまねた蛸の絵を看板に描いた。
「後は、蛸と、店員だけだな!」
「女よ、誰かいないか?」
魔王はプリヒスに尋ねると、プリヒスは笑顔を見せた。
「魔王様、私に心当たりがあります。 すぐに連れてまいりますので少々こちらでお待ちいただけますか」
プリヒスはそういうと、すうっと消えて、どこかに行ってしまった。
しばらくするとプリヒスは1人の魔族を連れて戻ってきた。
背丈が2メートルほどの大柄の女性であった。彼女はどことなくしっとりと濡れていた。
「私が知る限り、彼女が最適な人材でございます」
プリヒスは自信をもって勧めてきた。
「魔王様、お久しぶりです。クラーケンにございます!」
そう、彼女は海の最強の魔物の1人クラーケンが人化した状態であった。
「タコの調達も私にお任せください」
よく見るとかの彼女は片手に大きな蛸を持っていた。
クラーケンはさっそくたこ焼きを焼き始めた。
初めてとは思えない手つきで、くるくるたこ焼きを回転し、あっという間に出来上がった。
魔王は国王の紹介された店でもらったソースをかけて、たこ焼きを頬張った。
「うまい!」
クラーケンの作るたこ焼きは、その蛸の弾力が圧倒的に素晴らしかった。
「お前に、わが領地でのたこ焼きづくりを任せる! 以後。精進せよ」
魔王はクラーケンのたこ焼きをこの後1週間、毎日食すのであった。
魔王はそのまま隣の温泉予定地を確認した。
ゴーレムたちによって既に500メートル以上の大きな穴が掘られていた。
「魔王様、穴掘りは順調でございます。近く魔王様に温泉のご報告ができるかと」
プリヒスは片膝をついて魔王に話した。
「であるか」
魔王はその大きな穴を見て、満足した表情を浮かべた。
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