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第6話〜知らない〜

―――色々あったよなぁ。


大輝は、一通りの過去を思い出し、そう思った。

気づけば、横の美輝はスースー寝息を立てて寝ている。


その美輝の目には・・・隈ができていた。


「大丈夫かよ・・・」


大輝はそう呟き、その隈をそっとなぞる。

美輝は一瞬顔を歪めたが・・・すぐに、元の寝顔に戻って


「・・・ずっと一緒だよ・・・」


・・・彼女もまた、『ヒロ』という言葉を元に同じことを夢の中で思い出しているのだろう。

そして、その約束も・・・憶えている。


そんなことにさえ、堪らない・・・気持ちが溢れ出して。


大輝は、その美輝の華奢な体を強く強く、抱き締めた。


抱き締めたことと同時に、また両親を失った“カナシミ”が押し寄せてくる。

・・・と同時に、美輝がいてくれたことに・・・堪らない・・・言葉では言い表せれないほどの“シアワセ”も押し寄せてくる。


―――そんな経験をして、今、俺がいる。美輝がいる。・・・嬉しいことではないか。


当たり前過ぎて、自覚していなかった・・・


「・・・大輝?どうしたの?」


ほんの少し息苦しさを覚えた美輝は、目を覚ました。

今、大輝が取っている行動に戸惑いつつも、平静を装って―――動悸を隠して、美輝はそう問い質す。


「・・・ゴメン。」


大輝は、謝りつつも・・・抱き締める力を、強めるだけ。


その力や温もり・・・それらを感じて、また美輝も・・・あの日のことを思い出した。

ずっと一緒にいると、約束したあの日・・・


約束したはずの約束は、憶えてたはずなのに・・・果たせれなかった。

その証拠として・・・拓海の存在がある。


ここ数日。美輝は、拓海への懺悔のあまり・・・あまり睡眠を取れていなかった。


―――もう、懺悔なんかしない。大輝がいるから・・・懺悔なんて、必要ない。


そう思っても・・・約束を果たせれなかった自分を・・・大輝を、一瞬でも1人にしてしまった自分を・・・

酷く、憎く、醜く感じ。


数分の沈黙を経て、美輝の目からは涙が零れ落ちた。


カラオケの時はともかく・・・要因も何もなく、美輝がいきなり泣き出すなんて滅多にないこと。

そういうことを、家族として何年も一緒にいたために熟知していた大輝は、「もしかして自分が要因か」と思い、美輝を離した。


「・・・ゴメンね・・・ゴメンね大輝・・・ずっと一緒だって、約束したのに・・・」


美輝は、俯いて涙を拭いながら嗚咽混じりで一生懸命言葉を発する。


「・・・アホ。憶えてくれてるだけでいいし。・・・いずれ、別々んトコに行くだろ?俺等。」


―――そう。幾年か経った時には・・・美輝は美輝、大輝は大輝の道を歩んでいるだろう。

想いを伝え合う瞬間を逃してしまえば・・・格子点は、消える。ずっと平行な・・・平行線を、2人は歩いてゆくことになる。

平行線の彼方には・・・一生を共にする、“誰か”がいる。

そして、またその誰かとのグラフを、対立させる。


・・・原点は、格子点で始まって。


しばらく経ち、美輝は泣き腫らした目で・・・でも、綺麗な目で


「・・・幼い約束って、なんか・・・虚しいね。守れる保障もないのに・・・」


微笑みながら、そう言った。


『たとえ虚しい約束でも、この約束守りたい。』


そんな想いを、この言葉の裏に秘め。公には出さずに。



大輝は、そんな美輝の言葉に「そうだな。」と返事をすると


「つーかスゲェ目。メッチャ腫れてるし。隈も重なって最強だな。」

「!?何最強って!嫌味っ!?」

「さぁ?どっちでしょう?」


反論する美輝を横目にからかうようにそう言うと、大輝は立ち上がり自室へと向かう。


「なっ!バカにしやがってこのヤロ・・・」

「あんま暴れてるといい顔が台無しだぜ?おやっさん。」


留めの一言を発すると、大輝はリビングを出た。


「おやっさんって・・・年齢層はともかく性別すら違うし・・・」


美輝は言葉では激怒を表しつつも・・・内心で、何故かホッとして微笑ましく思う。


―――やっぱ“弟”みたいだからかな〜・・・


その清々しい感情を、“弟”という一言で済ませて、美輝は目を冷やそうと冷凍庫へと向かう。



「えっと、氷氷・・・」


氷は、冷凍庫のいちばん上にある。

そのいちばん上の氷を取ろうと、手を伸ばした瞬間・・・


「痛っ・・・」


肩に、少々鈍い痛みが走った。


・・・大輝が抱き締めたときの力が、まだ美輝の体に残っていたのである。


それを証するかのように、肩には意味深な痣ができていた。


「・・・マジで・・・?」


その痣を手で覆い、美輝は立ち尽くして考える。


―――なんで、いきなり抱き締めたのだろう・・・

なんで、大輝もあの時の約束を憶えていたのだろう・・・


抱き締めた時の大輝の表情。約束の原理を語る表情。


それらは皆・・・美輝が知っているものではなくて。

知らない男のものだと思えて・・・


―――自分が知っている大輝じゃなくて・・・切なかった。

『比例×反比例』裏コント〜子供部屋〜

作者「では、謎の「子供に優しい部屋」をつくってくださった翔一郎さんに、なんでそんな部屋をつくれたかを、説明してもらいましょう!」

翔一郎「・・・作者。なんでそんなコト説明しなきゃなんないわけ?」

作者「だって今回、あんまネタなかったんですもん。」

翔一郎「・・・(このアバウトめ)まぁいいだろう。美輝が、どこの部屋に入ってもその身に危険を及ぼさないよう、全室安全セキュリティを万全にした。まぁデザインは俺なんだけどな。」

作者「・・・新種の親バカですね・・・」

翔一郎「?子供が生まれる前に、全室リフォームするのが神楽の仕来りなのだが・・・」

結果、特に安全セキュリティが整っている部屋のひとつを美輝の部屋、ひとつを大輝の部屋にしたそうです。

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