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こんな出会いありですか?神様  作者: なつこっこ。
10/10

次の日、朝からスミンさんがきた。

どうやら今日はお休みらしい。日曜日的なものかしら。

それでどうしたのかと聞くと、なんといつもいろいろもらって悪いから、何か手伝ったり贈り物をさせてほしいというものだ。

なんて紳士。素敵です。



「うーん、でも特にないです。」



やっぱりしゅんと垂れ下がる尻尾と耳。かわいすぎか!!

いつも素敵な笑顔もらってますからね!!



「あ!スミンさん、新しいお菓子の味見してくださいよ。」


「それは構わないが、また俺がいい思いしてしまうだろう」


「いいんです!美味しく食べてくれる人がいれば私もしあわせですし!」



というわけで。

バナナを発見したのでバナナケーキです。

これも簡単。バターを白っぽくなるまで練って、砂糖追加、混ぜる。

そして卵追加して混ぜて、つぶしたバナナをいれてまた混ぜて。

粉と重曹入れて、型に流して180度余熱完了している釜にいれて30分。


バナナは本当にバナナでした。



「あぁ、いいにおいだな」


「でしょう?簡単なんですけどね、美味しいと思いますよ」



結局スミンさんは何かしたい!と建てつけの悪かったドアを直してくれたり、家周りに柵をつけたりとしてくれた。

腕まくりしたことによって露わになる筋肉がたまりませんね。本当に。ごちそうさまです。


生クリームがあれば尚良しなんだけど仕方ない。


焼きたてのふわふわを切ってお皿に入れる。

横でスミンさんは紅茶を淹れてくれている。

新婚みたいでしあわせです。



「はい、どうぞ」


「いただきます」



ふわふわでバナナの甘い匂いのケーキをパクリ。

あぁーやっぱり全力で尻尾振ってますね!

見てるこっちが嬉しくなってしまいますね!



「ふふふ」


「ん?なんだ?」


「いえ、しあわせだなーと。美味しそうに食べていただけるので、嬉しくて」



それ見てたらわかりますし、と尻尾を指差せば、バッと押さえつけている。あれ?そんな驚くこと?



「…いつから」


「え?マドレーヌ食べた時もそんなんでしたね」


「…すまない」



あれー、またなんか地雷踏み抜きました?私。

ちょっとこれはなにがダメだったの!?



「その、気持ち悪いだろう。」



ぎゅっと自分の尻尾を押さえつけてるスミンさん。



「え?なにが?」


「だから、その、俺たちの尻尾や耳を気持ち悪いという人はたくさんいるからな。」


「え?なんで?いつも美味しいときとか全力で振ってくれるから嬉しくて!叶うなら、もふもふしたい!…は!すみません願望が!」



いらんこと言いましたー!!もふもふしたいけど!したいけどー!!ただの痴女じゃねぇか私!

しまったー!とちらっとスミンさんを見ると、ぽかーんとしている。

あれ?なんで?いやよっぽどきもかった?わぁお嫌われちゃう!?いやでも部下の方々も目を背けること多いしこれは嫌われてるフラグ!?

あかーん!つらー!!



「本当に、気持ち悪くないのか?」


「えあ?あの、本当にすみません。もふもふしたい願望がつい口からぽろっと。でも本当にその耳も尻尾も可愛くてついつい…。いや、もう本当にすみません。部下の方々も背を向けるぐらいに嫌われてるのに調子乗って連日職場に押しかけちゃって迷惑しかなかったですよね、ごめんなさい。」


「いや、あー…部下は夕月が美人すぎて直視できないだけだ。前にも言っただろう。それに迷惑なんかない、来てくれて俺は嬉しかった。」



どこまでも紳士!

だけどやっぱり納得できない私が美人説。

前にも言われたけどお世辞だと思ってたし。

でも!でも!!来てくれて嬉しかった!と言われたのなら、とりあえずこれで充分です!

いや欲を言うなら彼氏になってほしいけど!



「本気か?」



あれ?なにに対しての言葉かな?このスミンさんのセリフ。

え?とスミンさんを見れば真っ赤な顔で口元を手で隠してる。

おっと…破壊力…じゃなくて!?



「あの、」


「彼氏になってほしいっていうのは、本気か?」



口から出てたぁぁあああ!!

ちょ!ばか!私のばか!!なんで!?言ってるの!?

恥ずか死するわ!!

あっつい!あついよ顔!



「夕月?」


「ほ、ほんきです…」


「…俺は獣人だぞ?」


「それがなんだっていうんですか!素敵です!」


「…夕月ほどの美人な引く手数多だろう?」


「彼氏いない歴イコール年齢ですけど!?」


「そんな冗談を」


「本当です!もてないんです!スミンさんが好きなんです!!」



言ってやったわぁぁああ!!

彼氏なんてできたことないって暴露も流れでさせられたけど!

どうにでもなれい!!



「…なら、夕月、俺を彼氏にしてくれるか?」



うん、やっぱフラれ…てない!!



「私でいいんですか?」


「俺は夕月が彼女になるならしあわせだし、今すぐ嫁にきてほしいぐらいだが?」


「~~すき!」



思わず立ち上がって抱きついたら、スマートに膝の上に横抱きされました。

かっこいい!!



「スミンさん、手馴れてる」


「まさか。俺も夕月が初めての彼女だぞ。獣人は嫌われてると言っただろう?」



いやいや、横抱きからの髪の毛を撫でたりしてる仕草は手馴れたもんじゃないですか?

これは嫉妬が終わらないパターン!


でもしあわせ!



この世界に来て1ヶ月、彼氏できました。

しあわせ謳歌してもいいよね?神様。


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