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2人の贖罪セカイ~命《いきる》を選んだその先は~  作者: 【表現者のタマゴォ】/燿霞乃夜
第1章

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行く先




 踏み固められた土の道。

 辺りには畑や空き地を挟みながら、似たような建築様式の建物がちらほらと建っている。



 オレは今、職探しの講座が開かれている村の中心部に向かっている途中だった。



 トバ食亭は村の中央エリアにギリ入るか入らないかくらいの場所に位置しており、そこから開講場所までは徒歩20分弱くらいだ。

 もうすっかり見慣れてしまった村の風景を眺めながら、仕事について——自分の将来について考えみる。



 特にやりたいことがあるわけではない。これは元からそうだった。

 

 しかしこっちへ来る前から、ただ生き長らえるだけの人生は嫌だ、という考えは強く持っている。

 普通に働いて生きるのは嫌だし、かといって家で食っちゃ寝ニートをしていたいわけでもない...。

 わがままな話だという自覚はあるし、周りの人からもそう言われたことは一度や二度じゃない。

 でも嫌なものは嫌だった。

 どうしても嫌だった。


 

 別世界へ行こうといわくつきスポットを巡る活動を始めたのも、そんな考えが発端だ。


 どうしても現実から逃げたくて、決められたレールを走りたくなくて、オレは自分なりに突破口を求め動いていた。

 そして、もう何度目かもわからない挑戦の末ようやくたどり着いた桃源郷。



 まさか、いざ世界を超えることができても、結局就職活動まがいなことをやる運命だったとは。

 皮肉なものだ。


 “波乱に満ちた冒険の毎日!”みたいなイセカイダイアリーを綴りたかったのだが、そう都合よくはいかないらしい。

 

 愚痴の1つや2つ言いたくはなるが、まあ人生そんなもんだろう。

 とは言っても、心持ちはあっちに居た頃とは全然違う。


 なにせ、ここはあらゆるものが元の世界とは異なる。

 見るもの聞くもの経験するもの、その多くが新鮮なものなのだ!

 たとえ同じ”普通に働いて生きる“でも、中身は別物。そう期待できる。



「ていうか……」



 そもそもこれ以上を求めること自体、傲慢なんじゃないかとさえ思えてきた。

 考えてみれば、今のオレはすごく恵まれている。


 現状を当たり前のように受け入れちゃってはいるが、『異世界へ行きたい!』と願う人は、前の世界にもたくさんいたはずだ。

 理由はそれぞれあるだろう。


 『人生が辛い』『毎日が退屈』など、現実逃避からくる暗く重たい理由もあれば、

 『ヒーローになりたい!』『不思議な力を使いたい!』など、好奇心からくる前向きで明るい理由もある。


 それらに優劣をつけるつもりはないが、どんな想いを持っているかにかかわらず、異世界に行くことなど簡単には叶わないものだ。

 想いの強さは関係ない。

 どれだけ真剣に悩んでいるかも関係ない。

 そんな中で、オレは幸運にも異世界へ行くことを許された人間だ。

 

 それだけじゃない。


 現実から抜け出せたことはもちろん、それに加え、オレはその後の人の縁にも救われた。

 これはトルナおばさんやバルドおじさんのことだけでない。

 今から会う“友人たち”のことも含めたものだ。


 特別な力や武器が与えられなかったことなど、嘆くべきではない。

 むしろ現状にもっと感謝しなければならないくらいだ。



「よし、オレももっと大人にならなきゃな!」



 自分の額を拳で小突き、気合いを入れる。

 そうこうしてるうちに、間もなく目的地に到着するところだった。






 とりあえず今後の方針は見えてきた。



 ――仕事に就いて、自分で食い銭を稼ぐ。



 できれば村内ではなく、近くにあるらしい大都市の方で探したい。

 村の仕事よりも報酬水準が高いからだ。


 ある程度生活資金にも困らなくなれば、稼ぎの一部を2人に回すこともできる。

 有用な知識やスキルを身に着ければ、村に戻ってきてトバ食亭の経営を本格的にサポートできるかもしれない。

 とりあえず恩返しには困らないだろう。

 



 


 今やれることを頑張ろう――!






ちょいと短めになっちゃた。

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