舞踏会
夫人と話していると後ろから話しかけられた。
「メルケルブルク伯爵夫人。もうそこらへんでよろしいでしょう?」
「ルーラー公爵夫人様…」
「貴方に未練があるかもしれないけれど、もうあなたも30、
大人になりなさい。…アブラハム様。私の派閥のものが申し訳ございません」
「ふむ、まぁよかろう。ルーラー公爵夫人。このあと時間はあるかな?」
「えぇ、ありますが…」
「ではあけておいてくれ」
「…わかりましたわ」
公爵夫人と話し終える舞踏会が始まろうとする。
「皆のもの。今日はよくぞ朕が主催した舞踏会に参加してくれた。今日は外務卿であるケント男爵も急がしながら参加してくれた。これを機に北方民族との融和の知恵にしようではないか」
国王が挨拶をし終わると早速舞踏会の社交ダンスが始まった。が、アブラハムはそばにある飯をつまんでいた。
「アブラハム様。一曲、私と踊ってくれますか?」
ルーラー公爵夫人が誘ってきた。
「ふむ、では踊ろうか」
「ふふふっ、はいっ」
ルーラ公爵夫人が笑っている声を聴き何事かと思ったらメルケルブルク伯爵夫人がハンカチを噛みながらこちらを見ていた。
公爵夫人と踊り終わると国王陛下から最後の挨拶が始まった。
「ここで皆に報告したいことがある。前々からサフラン公爵が内務卿の役を辞したいと聞いて今日、朕は決意した。サフラン公爵の願いを聞き入れ受け付ける。だが新たな内務卿を選ばなければならない。ここで私の跡継ぎである王太子ベルカーンに内務卿の役を与えることにした。皆はベルカーンを支えてやってくれ。以上だ」
サフラン公から王太子ベルカーンが内務卿になることが伝えられた。
サフラン公は実に優秀な内務卿であった。内務卿として国の治安維持に努めた人物と言っていいだろう。集団的な放棄などの例が減ったことを理由に。
だがサフラン公は公爵領の経済的不況を理由に内務卿の役を辞した。そこで新たに内務卿となる王太子ベルカーン。こいつは非常に黒い。
ケント中央情報府がベルカーンについて調べた結果、王都の市民に対する婦女暴行、金銭の強奪・強盗そして彼の現在の職場である王宮内政部での横領。
それに関してはアブラハムに害がないためいいのだが、厄介なことがある。
それは派閥の拡大だ。
貴族の中で一番厄介なのが派閥。
ただでさえケント男爵は広大な土地にたくさんの貴族や国の国境に触れている。
其処の対策として壁の建設だ。
壁を建設したら警備兵の生死の判断が分かりやすくなり不法移民も検問所でしか入れない。
壁を捩り上ろうとしても警備兵によって突き落とされる。
もし軍が攻めてきても壁があることで常備兵が上から一方的に屋の雨を降らせたり熱い油をたらしたりすることができる。
とにかくケント男爵領の平和安全法制の一部が矛盾することになる。そして内務卿も外務卿と同じ権力を持っているため危険だ。
「そして、ケント男爵。男爵には今年定年退職した地方警察組織長官の後任として任命する。引継ぎがあるため、明日の朝、執務室で引き継ぐように」
そして地方警察組織長官の後任も発表された。
平和安全法制:国境の警備防衛基準、そして国境警備部隊に攻撃が行われた際の対応と専守防衛の放棄をまとめたもの。
地方警察組織:王都以外の治安維持、法律に基づいた任務を行う実力組織。




