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小学生に成って初めての夏休み・・・
『学校とは、何と無駄な場所なのか・・・』
『誰も、気付かないのか・・・?』
僕は、夏休みの宿題を見て、そう思った。
学校に行かなくても、勉強が出来る。
つまり、学校は、必要ない。
その証拠が、ココにある。
『宿題で済むなら、先生など不要ではないか・・・!』
『なぜ、誰も、気付かない・・・?』
これは、僕の、幼稚な発想であった。
しかし、幼稚な人間は、自分を正しいと信じている。
その結果、幼稚な僕は、結論を出した。
頭を使うのは、算数だけ。
それ以外は、覚えるだけ。
ある意味、それは正しかった。
そして、その後は、簡単だった。
母に、勉強をしても良いかと、確認する。
当然、許可が出る。
では、スタートである。
ラムネを食べる。
まずは、国語、
やるべき事は、漢字を覚える事・・・
小学校で習う、漢字の一覧表があるので、
それを使って、まず、最初の5個を覚える。
以前、平仮名を覚えた時に、教えてもらった様に、
単語帳を作る。
平仮名の時は、
「あ」の場合は、表には、赤鉛筆で○を書き、
「い」の場合は、犬の絵を描いていた。
そして今回は、漢字を覚えるので、
表に平仮名、裏に漢字を書いた。
そして完成後、単語帳の平仮名を見て、
漢字テストを行う。
今、作ったばかりの5枚なので、当然、覚えている。
それを確認すると、
次の5個を覚える。
単語帳を作る。
そして、テスト・・・
小学校1年生の漢字なので、当然、覚えている。
『では、最初に覚えた漢字は、覚えているか・・・?』
単語帳を使い、最初の5個をテストする。
後は、これの繰り返し・・・
新しく覚え、その後、これまでのテストを行う、
これを、脳が疲労するまで続ける。
目的は、疲れる事である。
だから手抜きはしない。
脳が疲労したら、外に遊びに行く。
実際には、近所の神社まで、走って行く。
学校帰りの神社とは違い、石段は無いが、
今回の目的は、勉強疲れを消す事なので、
問題は無い。
僕は、神社で手を合わせ、
神様に祈る芝居をしながら・・・
立ったまま寝る事に挑戦し、疲労回復を行う。
帰ったら、これまでのテストを行う。
そして次を覚えて行く。
これを繰り返す。
ちなみに、午前中、母は家にいない。
僕が小学校に入ると、豆腐工場で、働く事に成った。
近所の付き合いで、断れなかったのだ。
その豆腐工場は、周辺のホテルや旅館用に、
豆腐を作っていた。
そして、母は、夕食用の豆腐作り担当だった。
その為、母の仕事は、
朝9時から始まり、昼1時で終了する。
非常に恵まれた仕事であった。
しかし、母は困っていた。
家に、豆腐を持って帰る事に成るのだ。
ホテルでは、突然のキャンセルが発生する。
その上、突然の客に対応する為に、
予備の豆腐も購入している。
結果、豆腐が余るのだ。
その豆腐は、ホテルが購入したモノである。
ホテルの従業員が、食べれば良いのである。
実際、食べる人もいる。
しかし、 それでも、余った豆腐は、
翌日、豆腐工場が引き取る。
それが、毎日、15個ほど出る。
信用の問題で、これを転売する事は出来ない。
そこで、豆腐工場の従業員が、家に持って帰る。
ところが、豆腐工場の従業員は3人・・・
毎日、15個の豆腐を、3人で分けて、
持ち帰るのだ。
そして、その事で、我が家が、困っていた。
家族全員、豆腐が嫌いだったのだ。
立場上、近所に配る事も出来ない。
『仕方が無い・・・』
僕は、我慢強いので食べた。
祖父母が飼っている柴犬のシロは、
豆腐が好きである。
結果、僕とシロが、豆腐を食べる事に成った。
その為、この時期の僕には、
ご飯を食べた記憶が無い。
豆腐にカレー、豆腐にミートソース、
トンカツに豆腐、焼肉に豆腐・・・
毎日が豆腐だった。




