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現在、登校直後、
朝のホームルームまでの、
自由な時間。
藤崎さんと、僕は、
互いに協力して、
英単語の覚え方に関して、
話し合っていた。
結果、周囲からは、
困惑の感情・・・
しかし、そんな中、
「防御魔法発動!呪術無効化」と、
小さな声が聞こえた。
小声の主は、
田渕である。
田渕とは、小学校が違ったので、
どんなヤツだったのかは、解らない。
しかし「へなちょこ」が、
自分を、カッコイイと勘違いしている。
その事は、充分に理解出来た。
事実として、多くの人間は、
ナルシストである。
例えば、モテる為に、
ギターを始める。
ダンスの練習をする。
もし、自分の容姿に、
全く自信が無いのなら、
そんな発想は、生まれない。
つまり、
アピール系の努力、
それを始める人間は、
自意識過剰なのだ。
事実、僕も自分の事を、
可愛いと思っている。
しかし、世の中、
多くの人は、現実も理解している。
ある意味、自分が見えている。
だから、僕は、
自分が可愛いなど、
人には、絶対に言わない。
では、田渕は?
田渕は、小声だが、
「呪術無効化!」などと、
声を出し、若干、手も動かしている。
つまり、僕よりも、
自意識過剰が、強いのだ。
ナルシストなのだ。
そこで、僕は、
田渕の所へ行って、
「放課後、話があるから、
もし、早退したら、家まで行くから」
その様に伝えた。
田渕からは、
恐怖の感情が、溢れ出す。
土下座をする様な、感情まで、
出ては消えを、繰り返している。
多少、かわいそうだが、
今後の為には、必要なのだ。
こうして、1時間目が始まり、
僕は、予習によって、
丸分かりの授業を、
楽しく、聞く事が出来た。
所詮、
平凡な中1の、授業である。
難しい訳が、無いのだ。
問題があるとすれば、
教え方の問題である。
ネットの先生は、
広告費を稼ぐ為に、
一生懸命に工夫をしている。
その中には、
予備校の、名物講師の、
真似なのか?
空回りしている人も居るが、
それでも、印象に残る。
そういう意味では、
学校の授業よりは、
記憶に残る。
大切なのは、教える事では無く、
記憶に残す事なのだ。
そんな訳で、2時間目前の、
休み時間。
藤崎さんと、僕は、
次の社会の授業に向けて、
プレゼンテーションごっこを、
行っていた。
イメージするのは、
池上彰さん。
出来る限り、
落ち着いて、
丁寧に、
しかし、無駄無く説明する。
僕たちは、
その事の重要性を、理解していた。
ネット動画で、
イキリ倒しながら、
先生気取りで、解説しているヤツ。
それを真似た場合、
僕たちは、それ以下。
つまり、そんなヤツの、
劣化版に成ってしまう。
所詮は、
真似なので、レベルが下がるのだ。
つまり、
説明が下手で、勢いだけで、
オラオラしている。
そんなイヤなヤツに成る。
おまけに、そんなヤツに、
影響を受けた場合。
この説明で解らないのは、
馬鹿な、お前が悪い。
そんな発想に成ってしまう。
名物講師の、真似をしている人が、
まさに、それである。
だから、真似をするなら、
出来る限り、穏やかで、
物事を、簡潔に、
説明出来る人物。
その真似を、するベキなのだ。
つまり、
池上彰さんの、劣化版に成る方が、
得るモノが大きいのだ。
そんな訳で、先生気分で、
藤崎さんに、社会の解説を行い、
その後、藤崎さんが、
僕に、解説を行う。
一方、田渕は、
お腹が痛い様である。
僕の事が、怖くて、
絶望を感じ、神様に祈っている。
そこで、授業の前に、
もう1度、田渕の所に行って、
「怖い話じゃないから、心配するな」
と、一応、説明した。
以前、僕に恐怖を感じ、
授業中に吐いた木戸さんが、
そんな僕を、心配そうに見ている。
だから、
「大丈夫です。もし良ければ、
木戸さんも、放課後、
僕の話を聞いてください」
その様に伝え、
僕は、自分の席に戻った。
そんな訳で、放課後・・・
田渕のヒザは震えている。
木戸さんも残っていた。
多少、緊張している様である。
そして、周囲も、
僕が、何を話すのか?
とても、気に成る様で、友達と、
世間話を、している芝居をして、
僕の発言を待っている。
だから、僕は、
田渕の所に行って、
みんなにも、
聞かれている事を前提で、
話を始めた。
「田渕、お前は厨二病だ。
しかも、声に出したり、
振り付けまである。
つまり、お前は、重度の厨二病だ」
この段階では、田渕には、
僕に、しばかれる。
その様な、不安があった。
そこで、僕は本題に入った。
「結論から言う。
田渕、明日から、僕と一緒に勉強しろ、
木戸さんも、良ければ、参加して欲しい」
この間も、田渕は、挙動不審である。
顔が不自然に動き、
カッコ悪い。
すっとぼけた表情。
それを、連射している様で、
見ていて辛い。
これを、撮影して田渕に見せれば、
改善出来るのだろうか?
などと考えていると、
女子の背葉さんが、
スマホで、僕たちを撮影していた。
僕には、その感情が解るので、
撮影されている事は、事実である。
そこで、僕は、木戸さんにだけ、
聞こえる様に、
「今から、芝居をします。
心配しないで」
と言った瞬間、僕は、
背葉さんの方を向き、
気が狂った様に、
「うぁああああああ!」
と叫んだ。




