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僕が、家に帰ると、
藤崎さんが来ていた。
藤崎さんは、今日まで、
入院のハズ・・・
つまり、今日、退院する。
『なるほど』
などと、思っているが、
そんな場合では無い。
僕は、ワクワクしていた。
僕は、藤崎さんが嫌いである。
僕は、美人が苦手なのだ。
しかし、そんな場合では無い。
僕は、将来、
東大に合格出来る勉強方法。
それを考案した天才なのだ。
そして、今、その天才的な方法を、
藤崎さんに伝授する時が来た。
だから、僕は、
手を洗って、うがいを終えると、
藤崎さんを、僕の部屋へと、
連れ込んだ。
現在、昼の3時、
本当なら、下校したら、
お爺ちゃん体操を始めるのだが、
そんな場合では無い。
藤崎さんは、僕の事を、
どの程度、覚えているのか?
場合によっては、
今後、学校でのグイグイが、
無くなるのでは?
つまり、ここで、不親切にすれば、
藤崎さんは、学校で、友達を作り、
僕とは、距離をとるのでは?
などと、考える事も出来る。
しかし、そんな場合では無い。
僕は、我慢出来なかった。
だから、僕は、
まず、英語の授業から始めた。
その後、数学、理科、社会、
それらも、一生懸命に教えた。
気付いたら、夕方の6時に成っていた。
すでに、ママは帰って来ていて、
藤崎さんの家には、
電話をしてくれていた。
で現在、僕は、
藤崎さんと、夕飯を食べている。
本当なら、僕は、
お爺ちゃん体操をして、
その後、鶏胸肉と、オートミールを、
食べるのだが、
状況的に、それは、無理である。
結果、カレーライスを食べる事に成った。
その後、お爺ちゃんが、
タクシーを呼び、
藤崎さんを、タクシーに乗せ、
お婆ちゃんが、
ネコ太郎との別れで、涙を流し、
そんな、こんなで、
帰って行った。
で、僕は、ネコ太郎の、
血液検査表を見せてもらう。
もちろん、意味など解らないが、
病気などの、問題は無い様である。
そして、ママの雰囲気から、
ネコ太郎は、普通の猫として、
認識されている。
これ以上は、考えても、
仕方がない。
現在、夜の7時、僕は、
お爺ちゃん体操を行った。
本当なら、今日は、
逆立ち腕立て伏せの、日なのだが、
なぜなのか?
昨日、僕は、藤崎さんの、お父さんに、
病院から、僕の家まで、
送ってもらい・・・
なぜ、お爺ちゃん体操を、しなかった?
何か、納得出来ないが、
今日は、昨日出来なかった懸垂を、
する事にした。
懸垂の必要なのは、
丁寧に行う事である。
これは、別の筋トレでも、
同じ事だが、
無理はいけない。
限界まで行い、
それでも、もう1回、もう1回。
そんな馬鹿な意地で、
多くの人が、関節や、
筋肉を痛めている。
そして、問題なのが、
その痛みが、成長を生む。
その様に、勘違いしてしまう事である。
事実、伝説的なボディービルダーは、
その様な無茶なトレーニングで、
実績を出している。
その為、それが、正しいと、
限界まで、行わないのは、甘え。
そんな風潮が、存在する。
しかし、人には、骨格の違いがある。
通称・骨太。
その結果、手首が太い。
その様な生まれ持った素質。
筋トレを行う時、
それは、安定感を生む。
その為、関節を痛めにくい。
しかし、そんな人は、
少数である。
そして、海外の有名な、
ボディービルダーの多くは、
ステロイド。
つまり、筋肉増強剤を使っている。
結果、常人とは、違う。
ちなみに、筋肉増強剤を使っても、
それだけで、筋肉が、大きく成る訳では無い。
筋トレを行う必要がある。
では、ステロイドには、
どの様な効果があるのか?
筋トレ中の、筋肉の疲労を、
短時間で軽減させる。
本当なら、
4分の休憩が、必要なのに、
1分後には、筋トレを再開出来る。
この差は、非常に大きい、
4分の休憩で10セット。
その場合、休憩だけで、
40分使う事に成る。
ところが、1分の休憩で良いなら、
10セット行っても、
その休憩時間は、10分で済む。
つまり、
今までの、トレーニング時間で、
4倍のトレーニングが、可能に成る。
もちろん、人間なので、
その通りには出来ない。
しかし、
その差によって、
筋肉質の身体に成れる。
ところが、ステロイドを使うと、
夜泣きをする。
鼻血が出る。
寿命が縮むなど、
精神と、健康面に、
問題が発生する。
それでも、全米の大会で、
チャンピオンに成って、
スポンサーから、契約金を得られれば、
それ成りの生活が出来る。
しかし、日本の場合、
そこまで評価は、得られない。
ところが、そんな日本人でも、
無理をして、そんな自分に酔ってしまう。
そもそも、
ボディービルダーは、
筋肉で、身体を、巨大化させる為に、
トレーニングをしている。
ナルシストなのだから、
自分に酔うのは、当然の事である。
良く言われるのが、
ボディービルの筋肉は、
使えない筋肉である。
実際には、ボディービルという競技で、
使う為の筋肉なのだから、
ボディービルの大会では、
充分に使えている。
それは、事実なのだが、
大工さんの筋肉が、
実用的であるのに対して、
ボディービルダーは、
作業には、適していない。
その為、見世物。
その様な印象が強く。
侮辱的な言葉を、受ける事が多い。
では、僕の場合は?
僕は、万が一に備え、
身体能力を向上させる事が、
目的なので、
ステロイドなど、全く不要なのだ。
では、そんな僕が、
懸垂をしている理由。
それは何か?




