食った。
『ケホッ…大丈夫…竜人は丈夫だから…平気…』
「…動くなよ。」
エンを抱き抱えた。
『っ──!?』
一気に顔を赤くした。
『ちょ、ちょっと下ろして!歩けるからっ!』
「怪我人は静かにしてろ」
そのまま川辺までエンを運んだ。
『もう、自分で歩けたのに…』
言葉が最後になるにつれて声量がどんどん小さくなっていた。
「ま、ちょっと待ってろ。モス・ピッグを持ってくるからよ。」
そして俺は駆け出した。その少しの焦りは、エンがどこかへ行ってしまわないか、と言う思いからだったのかも知れない。
そして数分後、モス・ピッグを肩に担ぎ、息を切らしながら戻る。
「よし、持って来たぞ…って、寝てる…」
『んぁ…?ぁあ、おかえり…』
「今焼くから、ちょっと起きててくれないか…?」
「え、焼くの?」
「…肉も生で食うのか…?」
水をそのままはまだしも、肉をそのままは衝撃的だった。
「…肉食獣と考えれば、自然なのか…?」
『肉食獣じゃない!』
「生で食おうとする時点で説得力無いだろ…」
とりあえずエンの鱗のダガーで肉を切り分けて渡す
「ほら。…本当に生で大丈夫なのか?」
『うん!』
エンは目をキラキラさせて、もう待ちきれないとでも言うように涎を垂らしている。
「はい、どうなっても知らんぞ。」
『あぐっ…もぐもぐ…おいひい!!』
そんなに旨いのか、この肉。
肉を一切れ切って、魔法で焼く。
炎魔法の調節に苦労したせいで、外側は真っ黒になっていた。
でも、外側の焦げた部分はカリッとしていて、炭火焼きみたいに香ばしい。
そのうえ、中の肉は驚くほど柔らかかった。
イノシシみたいな獣臭さは無い。代わりに、ハーブのような爽やかな香りが鼻を抜けていく。
噛むたび、脂の甘みが広がった。
「……これ、いけるな。いや、めちゃくちゃ美味い」
『でしょ!?』
肉の旨みが、走ったり戦ったりした体に染み渡る。
急にグンと眠気が来た。当たり前だ。こんなに疲れたら身体に飯を入れたんだ。
「エン…おやすみ…」
『え!?早くない!?…まぁ、おやすみ。』
そこから俺はグーグー寝た。




