逃げた。
??『君…だれ…?』
!?
声のした方を向くとそこには、ツノや翼の生えた少女が怯えていた。
⁇『だ…だれ…?』
今の状況はわからない…が、まずは。
"俺はとっさに武器を置いた"
「落ち着け、俺は危害を加えたりしない」
『…うそ…今まで、ずっとおんなじこと、言われて…傷つけられた。』
「違う。…少なくとも、キミを傷つけることはしない。」
『…本当に…?』
「本当だ。」
『…ちょっとだけ、わかった。』
「ありがとう。
で、いきなりで申し訳ないんだが…ここって何処か分かるか?」
『ここは、獲竜団の収容区。』
「その…カクリュウダンって、なんだ?」
『獲竜団は、竜を捕まえて研究する…酷い奴ら。』
"腕を見ると、針を刺された跡が幾つもある。"
「っ…なら、キミも竜なの?」
『う、うん。私は…炎の竜。エンって言うんだ。』
「エン…か。うん、エン、よろしく。」
『うん…よろしく…』
『あの…さ、貴方は…誰なの…?』
「あぁ、俺はユーシャ。元々、魔王と戦ってた。」
『魔王…ってことは、貴方、勇者様…なのかな…?』
「ま、まぁそうだな。」
勇者って呼ばれるの久しぶりだな。ちょっと嬉しい。
エンは少し迷ってから口を開いた。
『ねぇ勇者様、…助けて、くれない…?』
少し怯える表情のまま、懇願する目で。
「あ、あぁ、もちろん。」
にしても、ここは何処なんだ?魔王の気配を感じない。だが、ひとまずはここからの脱出を考えるべきか。
「なぁエン、何か脱出する手立てとかはあるか?」
『…ない。逃げようとしても、いつも捕まって、痛めつけられたし。』
うーん…どうしようか。…!そうだ、魔法があるじゃないか
"エンの近くに寄って"
『ひっ…』
「ごめんな、ちょっとだけだから。
…魔法発動、エスケープ」
…何も起きない。
「…は?」
急いでステータスを確認する…
「レベル…1⁉︎」
嘘だろ。元々レベル80はあった筈だ。
スキルを確認すると…基本スキルしか見当たらない。
「くっそ…どうするべきだ…?」
そうだ、盗賊スキル、レベル1でも開錠のスキルがあった筈だ。
ダガーがねぇ…
「なぁエン、木片とかあったりしないか?」
『…その、硬いのでいいなら…』
"エンが自分の鱗を1枚剥いだ"
『その…古い鱗だから、大丈夫だよ。』
「ありがとう、よし、剣でここを削って…」
"少し時間が経って"
よし、形は歪だけど、なんとかダガーが出来た。早速装備して、
「スキル、解錠。」
ガチャ…
開かない。
確率低いもんなぁ…まぁ、何度も試すまでだ。
そこから10分後──
"ガチャリ"
「うお!開いた…!」
『…え…!?開いた、開いたの…!?』
「おう、開い──」
警報が鳴り響く。
「まずい、行くぞ。」
エンの手を掴んで走り出す。
『ひっ…!』
後ろから追いかけてくる看守の声、息が上がる。
ゼェ…ゼェ…ゲホッ…
周りを見ず、光に向かって走った。
途中、エンがふらついたが、支えて走った。
そして…
『あれ…!出口…!はぁ…!』
「っ…了解…!」
速度を上げた。もう体力なんてなく、意地で走っていた。
そして、何とか逃げ切った。でも、おそらく警備がある、まだ安心するな、逃げろ。
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あれからどのくらい走っただろうか。
もうあの牢屋は遠く、見えなくなっていた。
エンを見ると、膝が小刻みに震え、息が詰まっている。
「まずは…休息だな…」




