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spell killer game  作者: 群青
1/3

† はじまり

言葉は時には刃物となり、時には優しさともなる。

言葉は何にでも形を成すことが可能。言葉には不思議な力が存在する。




―――――― spell killear game ~スペル キラー ゲーム~ のルール


・直接的な死を意味する言葉は無効となる。

・spellの量が多いほど効果は発揮される。

 また、相手の言葉を脳内でイメージするまたはイメージされることでも効果が発揮される。

 しかし、相手が自分の発したspellの意味を知らなければ、脳内でイメージされることがないので無効となる。


・相手の心をいかに崩すかが勝敗を決める。

・精神面での強さが要求される。

・豊かな想像力が要求される。


・spellの力が強い、または発した者の力が強い場合、その言葉が具現化することがある。

 具現化により相手の体を直接傷つけることも可能。


・相手の発した言葉に対し、素早く自分の言葉で上乗せした場合、それは自分の攻撃となる。


・このゲームでは言葉の意味を何も知らない者は最強の存在であり、また最弱の存在でもある。

 なぜならば、相手側の言葉の意味を脳内でイメージされないので、相手からの攻撃を受けることもない。

 しかし、自分自身も言葉を知らないので攻撃もできないからである。


・ゲームでの最終勝者には、「 死神」の称号が与えられる。

・ゲーム内で発生した金(医療費など)はすべて自己負担となる。


※これはオンラインゲームなどではなく、実際に現実で行われるゲームである。




―――――― 以上がこのゲーム内での今現在でのルールである。

これからいろいろと追記をしていくと思いますのでその際はお知らせします。

 今の社会は腐っている。経済不況や就職難で生きにくい社会へとなっている。

そんな社会に生き残っていくには学歴が必要となり、また社会で生きてくための知識や礼儀といったものもまた必要なものである。いい大学へと進学し、いい就職先・大手企業などへと行かなければならない。

では、学歴がないものはどうしたらいいのだろうか。いい大学、いい就職先へと行っていないものどうしたらいいのだろうか。そもそも、いい大学、いい就職先の基準はなんだろうか。なにを基準としているのだろうか。単に給料なのだろうか。周りの大人たちはいい大学、いい就職先へと行くように言ってくる。人は学歴により人を判断する。外見により判断する。そんな社会の人間の思いが濃ければ濃くなるほど、ますます生き残っていくには不利になる。



「社会のゴミになるのか・・・俺は」


ベッドで一人、横になった状態で参考書を顔の上に伏せている少年がいた。

こげ茶色の髪は生まれつきだ。別に染めてはいない。

服装はブレザーでシャツをズボンの中には入れているが、はみ出している部分もあり、服装は乱れていた。ネクタイもゆるめになっている。


俺の名前は群青グンジョウ 十夜トオヤ

普通の高校に行き、普通科にいる、どこにでもいる高校三年生。


そんな俺は今のこの社会にうんざりしていた。腐っているとも思えた。

大人たちは俺にいい大学に行き、いい就職先へと行くように言う。

俺はそれが大嫌いだ。俺の人生は俺が決める。周りがどうこう口出しするんじゃねぇよ。

今、まさにこれでも勉強している方だ。でも俺は大学にも行こうとは思っていない。どちらかといえば、就職の方に興味がある。でもだからといって別に就職したい企業があるわけでもない。

ただ進学はしたくないだけ。ただそれだけ。

勉強は嫌いだ。しかし、このままではいけないと思い、なにもしないよりかは勉強した方がいいと思ってしていた。


「あー・・・ぜんぜんわかんねぇ。なんで勉強なんかしなきゃなんねーんだよ」


全部の教科がわからないわけではない。


「めんどくせ。・・・セブンにでもいくか」


財布をズボンのポケットに突っ込み、階段を下りて行く。

その時、見つかった。


「十夜、どこ行くの」


母さんに。


「セブンに行ってくる」

「勉強は?」

「後でやる」

「またそうやって勉強をしないんだからアンタは。自分が高三ってわかってる?」

「顔を合わせるたびに言うんだな、そういうの。マジ腹たつんだけど」

「! 親になんていってるの! 母さんはアンタのことを思ってね」

「それも聞き飽きた。耳にたこできる」

「十夜も雅夜マサヤを見習いなさい。大学でがんばってるのよ」

「兄貴と比べんじゃねぇよ。兄貴は夢があって大学に行っている。ただそれだけ」

「またそうやって・・」

「行ってくる」

「ちょっと、まだ話の途中でしょ、十夜!」


十夜は家を出た。


「だから嫌なんだよ。兄貴と比べやがって・・・」


兄貴ができると弟がなんとかって言うよな。

顔をしかめたまま、近所のセブンへと足を進める。


セブンに着いて、少し雑誌を立ち読みする。しかし、あまり長居はしない。

菓子と味の違うおにぎり三つと飲みものを購入。

そしてセブンを後にし、通りを歩いていた。


相変わらずなにも変わらないな、ここも。

何も変化がない。そんな毎日にも退屈していた。


「なにか変ったことでも起きねぇかなー」


暇さえあれば友達の家へと行っていたが、これからの一年は同じ年のやつらは進学やら就職活動で忙しくなる。なおさら遊べない。


「ったく・・・なんなんだよ。進学? 就職活動? 馬鹿じゃねぇの?」


イライラが増すばかりだ。

今日は月曜日。明日からまた嫌な日々が続く・・・。


こんな退屈な日々を暮らしていく俺にとって神の救いでもあるもの。

それがオンラインゲーム。


家に着いた十夜はまっすぐ階段を上がり、部屋へと入った。

下の階では母がまたなにか言っている。しかし、聞く耳を持つ気にもなれない。

机に買ってきたものを置き、PCを開く。これからが俺の唯一の楽しみの時間だ。


ほぼオンラインゲームづけの毎日。

そうでもしなきゃこんな生活、やってられない。


母さんが夕食を知らせるまでしている。

家族と夕食なんて本当は嫌だけど、そうでもしなきゃ俺の食事がない。

夕食は基本、家族と食べる俺。


「十夜ー、ご飯よー」


さっそく夕食を知らせる母さん声。

しかたなく、台所に行き、さっさと夕食を済ませる。

そんな時。


「十夜、勉強はかどってるの?」


また同じことの繰り返しだ。


「やってる」

「遊んでないでしょうね?」

「してねーよ。別にいいだろ、俺が何やっても。いちいち言うなよ」

「またそんなこと言って。あなたからもなにか言ってあげて。十夜はまだ三年生になったばっかで自覚がないのよ」

「十夜。父さんも母さんみたいにあまり口うるさくは言いたくないが、がんばるんだぞ」

「あなた! 口うるさいとはなによ」

「十夜は十夜なりにがんばってるんだ。私たちは黙って応援していたらいいんだ。

十夜は私たちの息子でもあり、雅夜の弟なんだ。がんばるのは当たり前だ」


そう・・・。父さんは母さんよりかは理解してくれているが、皆同じことを言う。

必ず名前を出して比べたがる。兄貴と・・・。


「雅夜、勉強の方はどうだ」

「今のところ順調だよ。まだ学校生活に慣れてないけど、そのうち慣れるさ」

「そうか」


兄貴は昔から優秀だ。兄貴ができるとその下のものは被害を受ける。

俺みたいに。


「ごちそうさま」


さっさと食べ終わった食器を流し台に持っていき、二階へと行く。

風呂も早く済ませて、ゲームの続きだ。


「十夜・・・なんであんなにも変わったのかしら。昔はあんな風じゃなかったのに・・・」


下の階では話が続いていた。


「十夜が変わったのは高校受験に失敗してからじゃない?」

「十夜にとっては初めての人生で障害を受けたものだったからな」

「そうね・・・。でもそれだったら、もっと勉強しようって気にもなるんじゃないの?」

「それは人それぞれ違うだろう」

「そうかしら・・・。雅夜、あとで十夜に勉強でも教えてあげたら?」

「俺は別にいいけど、あいつが嫌がるんだよ。言ったところで拒否られるのは目に見えてる」


黙々と食事を口に運ぶ雅夜。


兄貴は別に俺に特別に興味があるわけでもない。俺ら兄弟は日ごろから仲のいい兄弟でもない。

俺自身が兄貴を避けているところもあるからだ。兄貴はそのことについて気づいているかは知らないが。


***


脱衣所で服を脱ぎ、十夜は湯船につかった。


風呂の時間は好きだ。気持ちが少し落ち着く。


俺も昔と比べると変わった。

すべての発端は高校受験。昔の俺は兄貴を越そうと必死で勉強した。いい大学に行くために。

一番に受かりたかった高校は地元から少し離れた高校で兄貴のいる学科があった。

俺はそこだけを目指していた。

しかし、受験の二日前に俺はあるものに出会った。それがオンラインゲーム。

最初は気休め程度にしていたが、ハマった俺は受験勉強のことも忘れるほどゲームに没頭した。

気づくと試験当日。俺はそれでも自信があった。受かる自信があった。


その結果、見事に受験に失敗した。


周りからはいろいろと言われた。

まさか落ちるとは思っていなかったらしい。俺自身もそのダメージは大きかった。

俺と同じようにその高校を受験した友達は皆受かっていた。俺だけが落ちた。

そして友達はいなくなった。俺らは離ればなれになった。


その後、滑り止めに受けていた私立の高校に通うことになった。

落ちるとは思っていなかったため、普通科を受けていた俺。

当然、受験失敗から俺の人生の歯車は完全に止まってしまったまたは狂ってしまっていた。

だから高校生活最初の段階で俺にとっては無気力な学生生活が幕開けをして、今の今まで生きてきた。

もちろん、高校に入ってからはオンラインゲームづけの毎日。勉強なんてクソくらえ。

バリバリ頑張っていた中学の時と比べると学力は少し下がった。でも、まあまあ上の順位にはいる。

俺にはゲームさえあればいいんだよ・・・。



風呂から上がり、部屋へ戻るとさっそく机に座り、PCをまた開く。


さあ、ゲームの続きだ。






※主人公の名字の「群青」と原作者の名前の「群青」は直接的な関係はありませんので、ご了承ください。

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