「夜明けの証明」第101話 ブロック5
現在。任務開始から四か月後。
豪華でありながら陰惨な春日邸の未明の静寂には物理的な重みがあり、部屋の壁を押し潰さんばかりの絶息するほどの密度を持っていた。
忘却の匂いを漂わせる埃っぽい書物や貴族の資料が詰まった棚に囲まれた私的書斎で、シオリは深紅の重厚な木製机の前に座っていた。室内は完璧な半暗闇に沈み、デスクの上のたった一本の蝋燭の死に絶えそうな明かりだけが、そこを照らし出していた。
彼女の前には、暗いオーク材のフレームに収められた、小さく繊細な絵が横たわっていた。シオリはその額縁に凄惨なまでの視線を注ぎ込んでいた。少女の瞳は単に底知れぬ深い悲しみを映しているだけではなかった。それは永遠の後悔、苦い懺悔、そして幾年を重ねても決して癒えることのない刺すような空虚の鏡であった。自らの片割れを絶望的なまでに恋焦がれる者の目――その不在は、毎日沈黙の中で血を流し続けていた。
指先を微かな震えが走り抜ける中、シオリはゆっくりと左手を持ち上げた。関節が冷たい机の表面を掠めた後、親指を額縁の縁へと伸ばした。
自らが抱く壊れやすい記憶を壊してしまうのを恐れるかのように、限りない繊細さをもって、幼少期の妹の姿を護るガラスを撫でた。その肖像画に刻まれた無邪気な笑顔は、シオリの内側を蝕む罪悪感の嵐と残酷なまでの対比をなしていた。
カスガ・シオリ:「――許して……」
少女は声を引き裂くように呟いた。かすかな声の糸は、部屋の影の中に消え去っていった。
カスガ・シオリ:「――私にそれができるか分からない……これ以上進むための強さが自分にあるのか分からないの……」
長い沈黙が訪れた。彼女の呼吸は震え、喉の詰まりが焼きつくように痛んだ。重い責任の重圧が石板のような強さで両肩にのしかかる中、ゆっくりと額縁から目を逸らし、暗い床へと視線を落とした。
カスガ・シオリ:「――私があの子の母親になれるなんて思えないの……あの子にとって良いお母さんになれるなんて思えない。私にはあなたの優しさも、あなたの光もない……あなたの代わりになんてなれないわ。あなたはいつだって、私よりずっと優れていたのに……」
冷たく静かな数滴の涙がまつ毛の堰を破り、深紅の木目へと直接落ちて、抑え込まれた痛みの小さな水たまりを作った。超人的な努力を振り絞り、シオリは再び顔を上げ、涙に濡れた瞳で写真の瞳をもう一度見つめ直した。
カスガ・シオリ:「――あなたがここにいてくれさえすれば、お姉ちゃん……あなたが正当な母親なのよ。唯一の、本当の、決して代わりの効かない……アカリはあなたの愛しい娘なのよ、サユリ。あなたから、持っている美しいもの全てを受け継いだの……私はただ、あなたが残していったものを支えようとしている影に過ぎないの……」
座っていることすら耐えがたいほどの激痛だった。シオリの肩が落ちた。机の上に交差させた腕の上に一気に顔を落とし、幽霊の匂いが立ち込める邸宅の孤独と自らの罪悪感に丸まりながら、長らく抑え込んできた涙がついに自らを呑み込むのを許した。
外では、公爵領の広大な地平線で、夜が目に見えない速さで降伏を始めていた。
冷たい楽観主義に染まった淡い金色――新しい日の最初の光の糸が、邸宅の高い窓をすり抜けて差し込み始めた。昇る太陽の光は、静まり返った庭園、石畳の通り、そして書斎の暗い隅々を優しく撫で、外の世界の目覚めを告げていた。
疲労が罪悪感に打ち勝った。深紅の木製デスクの表面に交差させた腕の上に額を預けたまま、太陽が地平線を染め始める中、シオリは深い眠りへと落ちていった。邸宅は絶対的な静寂に包まれたが、彼女の精神の内側では、休息は安らぎをもたらすのではなく、死を拒む幽霊たちの圧倒的な重みをもたらした。
再び目を開けた時、彼女はもう書斎にはいなかった。
空気は古いワックス、磨かれた木材、そしてかつての我が家の廊下を特徴づけていた冷たい孤独の匂いがした。シオリは、幼少期の記憶と全く同じ春日邸のメイン回廊の真ん中に立っていた。数メートル離れた場所から、皮膚を逆立たせるような低く切り捨てる声が響いた。
「――いつまでそこに立っているつもりだ、役立たずが」
後ろで反響した。
シオリはゆっくりと顔を入口の扉へと向けた。そこにいたのは、苗字の重みに押し潰される前に着ていたシンプルな制服を身にまとい、短いボサボサの髪をした九歳の少女――自分自身であった。
ほぼ同時に、厨房の方角から冷酷で軽蔑に満ちた別の声が噴き出した。
「――何のために生んだのかすら分からんわ……お前の成績も魔法の欠如も、誰も気にかけやしない。お前はこの血統の汚点だ」
時間が歪むかのようだった。シオリは記憶の廊下を歩き始め、あらゆる角に自分の幼少期の複数のバージョンが現れるのを目にした。全員が同じ拷問に苦しみ、家族の神聖な本質である炎の属性を操ることができない唯一の存在として、両親の絶え間ない軽蔑の前に全員が頭を下げていた。自分を護る術を知らなかったあの少女に対する痛みと冷たい哀れみが入り混じた感情を抱きながら、彼女は確かな足取りで前進した。
そして、非常に特定の廊下――姉妹の部屋がある、深紅の橙色の絨毯と木彫りの細工が施された回廊へとたどり着いた。
半開きの扉の前を通り過ぎようとした時、一つの声が彼女をピタリと立ち止めさせた。それは彼女が完璧に知っている声であり、幼少期から頭の中に住み着き、現在でも反響し続けているエコーだった。首を巡らせると、部屋の床に座り込み、抑え込んだ涙を目に溜めて自分をじっと見つめる幼い自分自身の姿が見えた。
「――ずいぶん遠くまで来ちゃったね……もう大人になったんでしょ?」
震える声で少女が尋ねた。
シオリは敷居へと一歩踏み出し、扉をくぐって過去の自分の反射の前にひざまずいた。
カスガ・シオリ:「――ええ、そうよ」
シオリは囁くように答えた。
「――ねえ……大人になった今、お姉ちゃんは幸せ?」
圧倒的な誠実さをもって、少女は彼女を問い詰めた。
幸せ? その質問は、金槌のようにシオリの心に響いた。魂をズタズタに引き裂かれ、手が後悔で汚れた状態で、自分を幸せだと呼ぶことなどできるだろうか?
カスガ・シオリ:「――分からないわ……完全にはそうじゃないと思う」
声を引き裂かれながら、シオリは認めた。
少女は苦い笑みを浮かべ、頭を下げた。
「――じゃあ、お姉ちゃんは? 家族の問題で死にそうなんだ……」
カスガ・シオリ:「――ええ、知ってるわ。痛いほど分かってるの」
無限の悲しみをもって見つめながら、シオリは答えた。
カスガ・シオリ:「――だって今でも、大人になった今でも、私たちはそれを抱え続けているんだから」
突然、彼女の背後に二つの威圧的な気配が具現化した。男と女の重なり合った声が、冷たく威圧的に空気を切り裂いた。
「――そしてこれからも永遠に抱え続けるのだ。カスガの重みに耐えられぬ、不快な役立たずめが」
シオリは荒々しく立ち上がり、彼らと対峙するために身を翻した。そこには彼女の両親の精神的投影が存在し、昔と同じ恐怖と軽蔑を放っていた。彼女を子供の頃に打ち砕いたのと同じ侮辱、同じ責め苦を浴びせ始めた。
だが今回、シオリの中で何かが弾けた。
黙り込んでいた全ての瞬間、自らの血の権威への恐怖から踏みにじられるがままにしていた全ての瞬間が、目の前を駆け巡った。何年も否定してきた内なる炎、現実の打撃によって鍛え上げられた揺るぎない意志を感じた。彼女はもう、視線を落とすだけの怯えた少女ではなかった。
カスガ・シオリ:「――ちがうっ!!!!」
記憶の壁が揺らぐほどの強烈さで、シオリは叫んだ。
カスガ・シオリ:「――あんたたちの言うことなんて、何一つ正しくない! もう終わりよ!」
彼女の声のトーンが落ち、抑え込まれた何千年の怒りを孕んだ詰問へと変わった。
カスガ・シオリ:「――答えてよ……なんで? なんで私たちにあんな風に接したの!? なんで存在し得る最悪の両親でい続けたのよ!? あんたたちはたくさんの過ちを犯したわ……」
父親の幻影が一歩前へ踏み出し、変わらぬ威圧的な硬直さを保っていた。
「――我々は家族を、一族を選んだのだ……いかになされるべきかは、血の純度に厳格に依存して……」
カスガ・シオリ:「――間違いだったのよ!」
数十年間、彼女の心が抱え続けてきた絶対の真実をもって、父親の顔に向かって叫び散らした。
カスガ・シオリ:「――あんたたち全員が間違っていたの! 全てを台無しにしたのよ! 権力とステータスを失う恐怖に目が眩んで、たかが苗字のために自分の娘たちに背を向けた! 自分たちの野心のせいで、人として……親として良くなることすらできなかったんじゃないの!」
短く息を整えながら、両親が空虚な驚きで見つめる中、彼女は激しく息を吐いた。彼女の幼少期のバージョンは、目を大きく見開いたまま、完全な沈黙の中でその光景を見つめていた。
カスガ・シオリ:「――もう十分よ」
一生自分を恐れ widowed(苦しめて)きた幽霊たちに対し、絶対的な権威を課しながら言った。
カスガ・シオリ:「――あんたたちの鎖を抱え続けるつもりはないわ。私が全ての過ちを正し、完全なコントロールを握り、あんたたちが決してできなかったことを成し遂げてみせる……だから、二度と墓場から出てこないで」
その言葉とともに、あたかも勅令であるかのように、両親の姿と彼女の幼少期の反射は空気中で薄れ始め、部屋の隙間から黒い煙となって溶けて消えていった。
過去が完全に消え去った時、窓の光の中にカットされた最後の一つの姿だけが静止していた。白いドレスを身にまとった女性のシルエットであったが、その顔は完全に目に見えず、エーテルの輝きに包まれていた。
シオリは胸を締め付けられ、目に tears(涙)を溜めながらそれを見つめた。それが誰であるかを完璧に知っていたからだ。
カスガ・シオリ:「――いいえ……まだよ」
喉の詰まりとともにシオリは呟いた。
カスガ・シオリ:「――あの子が全ての真実を知るまでは。あの子を幸せにして、恐怖を消し去るまでは。これ全てが終わるまでは……まだあなたの顔を見るわけにはいかないの、お姉ちゃん」
そのまさに瞬間、一心の衝撃がシオリの身体を揺さぶった。
カスガ・シオリ:「――あぐっ……!」
押し殺した悲鳴を上げ、彼女は書斎の机の上で跳ね起きるように目を覚ました。
身体を震わせ、過呼吸気味に荒い息を吐きながら、暗闇の中で空気を求め、胸を激しく上下させていた。
外では、朝の太陽の光が邸宅の窓から力強く差し込み始め、廊下を照らし、新しい日の始まりを告げていた。隣の部屋で、アカリがゆっくりと目を開けた。夜明けの明かりに向かってまばたきする彼女のまつ毛の向こうから、かつてサユリとシオリのものであったのと同じ、深く見紛うことのない青い瞳が現れた。彼女のピンク色の髪は枕の上で柔らかく輝き、運命に挑んだ二人の姉妹の生き生きた反射となっていた。




