2-6 決着! そして更なる戦い(ハーレム)へ。
二話の六です!
これにて二話は完結です!
ありがとうございます!
三話では新キャラも登場しますので、楽しんでください!
よろしくお願いします!
第二話の六
金長ダヌキの攻撃はもはや全てが見切れた。軽くステップを踏むだけで当たりやしない。もう、タヌキも息も絶え絶えだ。
「そんな馬鹿なことがあるのか!?」
あるんだよな。これが。俺も馬鹿らしいと思うけど仕方ないな。なんてったって俺は強いんだからな!
軽く攻撃を決めてやる。金長ダヌキは大声をあげながら、地面を転がる。
「さっきまでのお返しだ!」
「いいぞ! 婿殿!」
アオウの言葉に俺は手を上げて応えた。アオウも九尾ギツネと交戦中だ。
「こっちもさっさと終わらすぞ!」
「馬鹿にしてるのかしら!? アオウ!」
アオウが九尾ギツネに蹴飛ばされ、よろめいた。そのスキをついて、キツネは距離をとった。
「広範囲、高純度のフェロモンだ! 逃げられんぞ!」
マズイな。切り札ってところか。俺は飛びかかろうとしたが、時すでに遅し、駄目だ幻覚が見えやがる。旨そうなステーキだ。奥では風呂も焚かれてる。ああ、腹が減った……。休みてえ。
「婿殿。何してる早く食べないか」
「ああ」
俺はアオウに言われるままに、食卓の席についた。ところで幻覚から覚めた。
「何だ!?」
すぐそこにはアオウもいた。二人して幻覚にやられていたらしい。こいつ、対応済みじゃなかったのかよ?
でも何で解けたんだ?
「どれだけ目に見えなくても、タイミングさえわかれば対応できる」
俺は声のした方を向いた。丁度、敵二人が座っていた高台のところだ。声の主は師匠だった。あら、生きてたのね。かたわらにはアルルも連れている。まだ、意識はハッキリしてないみたいだけど。
「リリーナの小娘があ! 何をした!?」
「キュービとはとんでもない大物がいるものね。別に大したことは。丁度いい大穴があるから、風でスイーってね」
師匠が腕を上げると、洞穴の中を風が巻いた。これで敵の一番の武器は封じられたわけだな。
「二人より三人ってところかしら?」
師匠が得意げに笑っていた。このパーティバランスいいのか? もしかして。属性同じで悪いと思ってたんだけど。でも、一つに特化したほうがいいのかも? ……いけない。いけない。ゲーム好きのさがで真剣に考えてしまった。
「貴様!」
九尾ギツネは完全に頭に血が登ったって感じだった。しかし。
「キュービ!」
金長ダヌキの一喝がそれを抑えた。キツネが冷静さを取り戻すのが分かる。
「キンチョー」
「キュービ。どうやらこのままでは分が悪い! ここは退くぞ!」
へえ。逃げるらしいや。この状態で?
「逃がすとでも!」
俺は構えた。どう動こうととらえる! 逃しはしない! なぜならこいつらも結構な褒賞金に化けるに違いない。なら、それでまた俺の借金は減るってわけだ! さらば、世界征服! こんにちわ、平和な毎日!
「絶対逃さんぞ!」
「ふん! そうはいかん!」
そう言った金長ダヌキは急に空気を吸い込み、大きく膨れ上がった。次の瞬間、信じられないことが起こった!
爆発音クラスの音。凄まじい衝撃。そしてとてつもなく臭い! これはまさか屁か!? こいつこの場面でおならしやがった!
「わしの屁は超高密度のフェロモン入りだ。少しの間は動くこともできんぞ!」
いや、それより臭いだろ!
「うえっ! ゲホっ! ゴホっ!」
辺り中から、むせる声が聞こえる。手下のタヌキやキツネも巻き込まれてえらいことだ。この臭さ。身体のどこか悪いんじゃねぇのか? ワイルドカードって職場は健康診断も受けさせねえのか?
それでも少しずつうすまり、冷静に辺りを確認したときには、もう奴らの姿はなかった。
「追いかければ間に合うかな?」
俺の言葉に、高台から下りてきた師匠が首を振った。
「無理だろうな。森の中は奴らの庭だろうしな。もう追いつけまい」
そうだよなあ。ちくしょう借金返せると思ったのになあ。
「でも、よく頑張ったぞ。婿殿。あんな手練がいるとは思わなかったのじゃ」
「ああ、ポンポコとコンコンとやらは殺されたらしいぞ」
「何と酷いことじゃ」
「あの……皆さん」
話しかけてきたのは、タヌキとキツネの残党たちだった。
「なんじゃ?」
「まだやられ足りないか?」
アオウと師匠は凄んだが、残党たちは一斉に土下座した。
「ありがとうございました!」
「なんだ? ボスがやっつけられたのに?」
「連中には我々も困っていたんです。前の長たちは殺され。それも暇つぶしなどという酷い理由で。我々も逆らえばいつでも殺されるような状況で。本当に助かりました」
ホントとんでもない連中だな。テロリストなんだから当たり前か。
「何かお礼をさせてもらいます」
「そうか。モテムどうする?」
師匠が俺に話を振ってくる。
「俺?」
「お前が倒したようなものだからな。お前が決めてやれ」
急にそんなことを言われてもな。そうだな……。
「別にいいや。お礼なんて。盗ったもの返して貰えればさ。後はもう人間喰わないでくれよ。それでいいや」
俺がそういうと連中はまた深々と土下座した。
「ありがとうございます! 盗ったものはお返しします。誓って人間はもう襲いません」
まあ、良しとしようか。それにしても疲れたな。
「風呂に入りてえ」
「風呂でございますか? これは気が付きませんでした。今日はもう遅うございます。ここにお泊りになってください。風呂も食事も用意します」
願ってもない申し出だ。師匠もアオウも首を縦に振っている。
「そうさせてもらおう。アルルもまだもうろうとしているからな」
「そうじゃの。それがいいの」
俺たちはタヌキとキツネにもてなされ、一晩を明かした。食事中はにぎやかだった。祭ばやしにのって踊りが舞われていた。風呂も気持ちよかったし、寝床も柔らかくて悪くない。
終わりよければすべてよしかな?
……
太陽も高く上り、心地よい陽気の一日になった。
「世話になったな」
師匠がそういうと、タヌキとキツネたちは一斉に頭を下げた。
「いえ。こちらこそありがとうございました。まだまだお礼し足りないほどです。近くに来た際にはまたお寄りください」
「ああ、分かったよ」
「達者でのう」
俺たちは洞穴を後にした。目指すは山の向こうの街。そこに師匠の友達と俺と同じ境遇の女騎士がいるらしい。
「あの。モテム様」
アルルが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、またモテム様に助けて頂いたんですね。私、記憶が無くてすいません」
なんか申し訳なさそうだ。
「いいよ。無事で良かったよ」
「ありがとうございます。私、嬉しいです。モテム様に助けて頂いて」
なにを言ってんだろと思ってみてみると、何か顔赤くしてうつむいてんじゃん。なにを照れてんの?
「アルル! 婿殿はわらわのじゃ! 手を出したら容赦しないぞお」
アオウもなにを言ってんだよ。って、えええ!?
「無いでしょ。それは」
俺の言葉にアオウがため息をついた。
「婿殿は女心が分からな過ぎじゃ」
「こいつはこんなもんだ。馬鹿だからな」
酷い言われようだが、ホントモテるのな。こいつは。いや、俺か? いやあ、まさかな。側が別もんだしな。
「モテム様」
「はい?」
アルルはキラキラした目で俺を見つめて言った。
「今度は私がモテム様のお役に立ちます。なんでもお申し付けくださいね」
……まあいいか。好かれるのはいいことだよな。仲間だしな。……どうなんだろ?
「仲も深まったところで急ぐぞ。今日中には着きたいからな」
「がんばるのじゃあ」
ああ、そうだな。急ごう。俺も早く会いたい。同じ境遇のレイ・トランプに。
……今度こそ常識人だといいな。
第二話終わり
第三話に続く
ありがとうございました!
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一日で上げれるかな? ってとこです!
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