3-1 第一人称なんてどうでも良くない? 登場! レイ・トランプ!
三話始めました!
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三話は説明長めになるかもです!
読みやすくなるように努力します!
第三話の一
もう間もなく二つ目の山のふもとに下りる。もう直ぐ、目的地の街、ウィルークらしい。
ところで俺は、さっきから本当に歩きにくい。その原因は二人いる。話は少しさかのぼる。あれは山の丁度、頂上を越えた頃。
「モテム様。私にして欲しいことはないですか? どうですか?」
アルルは今朝からずっとこんな調子だ。俺が、凶悪な金長ダヌキと九尾ギツネから助けてやったからではあるが、そんなにずっと恩を感じなくてもいいのになあ。何かして欲しいって、しいていうなら少し剣士らしくして欲しい。いや、今この瞬間で言うなら少し黙って欲しい。
「どうですか?」
「えっ? いや別にね。ほら、これといってさ。いつも通りにしておいてくれればいいよ」
そう言うと、アルルは何が嬉しかったのか知らないが、目を輝かせているように見えた。
「優しいですねっ! モテム様は!」
そう言って、アルルは俺の左腕にしがみついてきた。何やってんのこの子は? 俺は、俺は色仕掛けなんかには屈しない。そりゃまあ、下心がない男なんていないさ。でも、今はなんかもう女疲れだよ。怖い人達もいるしね。
「こりゃ! 何やっとるか!? アルル、そこはわらわの場所じゃ! わらわの婿殿に着易く触れるでないぞ!」
お前はお前で何を言ってんだ? 俺の左腕は俺のもんだよ。アオウにそう言われたアルルだったが、軽く舌を出して言った。
「嫌です」
「この女狐めがあ」
そう言って、アオウは右腕にしがみついてきた。
「じゃあ、わらわはこっちじゃ!」
やめてくれよ。
「あっ、駄目ですよ! アオウさん!」
「何で駄目なんじゃあ!?」
どっちも駄目だよ。それにしてもお二人さん本当に仲が良いよね。仇同士じゃなかったっけ? アルルさんはアオウを見張る為について来たんじゃなかったっけ? こんなところで色ボケしてる場合じゃないんじゃないの?
「離れて下さい!」
「嫌じゃ! お主こそ離れんか!」
二人共が更に強く、俺の両腕にしがみつく。ああ、ダメダメ。二人ともお胸がね。ほら。あれ? これ、やっぱり柔らかいなあ。
といった感じで、いまだに俺は二人から両脇を抑えられている訳だ。
「あのさ。もう離れてくれない?」
「嫌です」
「嫌じゃ」
ずっとこの調子だ。
「ははは。大変だな。色男は」
師匠が茶々を入れてくる。
「少し助けてやろうか」
「是非、お願いしますよ」
師匠はにやりと笑った。
「二人とも、モテムから離れて少し私の話を聞いてくれ」
ようやく二人は俺の腕から離れた。やれやれ、めちゃくちゃ歩きやすいや。
「どうしたんじゃ?」
「時に。アオウ。お前は自分の事をわらわと呼ぶよな」
アオウは首をかしげる。
「そうじゃが。どうかしたかの?」
「いや。それならいいんだ。アオウは問題ない」
アオウは更に首をかしげていた。
「問題はアルルだ。アルルは自分の事を私と呼ぶな?」
「そうですけど。それが?」
アルルも分けわかってないって感じだ。もちろん、俺も分からん。
「かぶってると思わないか?」
「かぶってる?」
「そう、私とだ。私も私を私と呼ぶからな」
私、私言い過ぎてわけ分からないね。
「キャラクターが被ってると、書き分けが難しいんだ。アルルはもっと個性を出すべきだ」
メタいよ。発言がメタいの。この人は。
「リリーナ様。私にどうしろと?」
「そうだな。アルル。自分の事は名前で呼びなさい。それで、私と差別化できる」
「名前で……つまり」
アルルは少しとまどっている様子だった。
「アルルはアルルの事をアルルと?」
本当にややこしい。
「そうだ」
「嫌ですよ。恥ずかしいですよ」
師匠は首を横に振った。
「駄目だ。言うことを聞かないなら、パーティ追放だぞ。もうついて来ることは許さん。ウィルークの街に置いていく」
「そんなあ。分かりましたよお」
俺に言わせても、どうでもいいことだ。多分それは師匠が一番分かっていることだ。何か、ニヤついてるから。しかし、何のつもりなんだろうな? ただの嫌がらせか? 本当に俺を助けてくれたのかな? まあ、そう思っておくか。
「さあ、皆。見えてきたぞ。ウィルークの街だ」
「へえ」
「いつ見てもデカいのう」
「そうですね」
なんだ? この二人は来たことあるのか? じゃあ、始めては俺だけね。でも、本当に広い街だ。山の上から一望できるが、アルルの村とは比べ物にならない。
「着いたらまずはどうするんじゃ?」
「友人に会いに行きたいところだが、先に近衛隊に行こうと思う。そこにも会いたいやつがいるんだ」
レイ・トランプ。俺と同じ境遇の方ね。俺もどんなもんか会ってみたいや。
「レイ姉様ですね。アルルも久しぶりに会うので楽しみです」
もう名前呼び馴染んでんじゃん。適応速いね。てか、レイ姉様?
「何だ? アルルはレイを知っているのか?」
「はい。私は元々ウィルークの出身なんです。レイ姉様とは一緒にギルドの近衛隊で戦っていました。レイ姉様には何度も助けて頂いて。姉様は凄いんです。S級ですから、私も一緒に戦っているうちにA級に上がったんです」
なるほどな。クソ雑魚A級の謎がとけたね。レイってS級の手柄を分けて貰ってた訳だ。
「そんな中、先の村で人手が足りないというので。私、使命感に駆られて、村に行ったんですけど。力及ばずでした」
「そうだったんじゃな。漁夫の利じゃな」
「通りでA級にしては弱すぎると思ったぞ。しかし、それは都合が良い……」
女どもの方がよっぽど酷いや。口に出してやらなくてもいいじゃん? 師匠は良からぬことを考えてるみたいだし。
「早く会いたいな。レイ姉様、サイクロプスに殺されかけたと聞いて心配してたんです」
故郷に帰って、友人と会う。楽しいだろうな。俺も前に戻って、軽田に会いたいぜ。もうそれも、叶わないことなんだろうけど。
「さあ、街に入るぞ」
俺達は遂に山を下り切り、ウィルークの街へと入った。向かうはギルドの近衛隊駐屯地。
「レイ・トランプはいるかな?」
師匠が尋ねると、レイ・トランプは直ぐに出て来た。美形で身長も高くすらっとしている。長髪のパツ金美女だ。
でも、まてよ? 師匠はこの子も仲間に加えるつもりなら、この子も私と自分の事を呼ぶのでは?
「僕に用事ですか?」
良かった。僕だ。被り無し。
「レイ姉様」
アルルが出て来たレイの胸元に飛び込んだ。中々の号泣ぶりだ。
「レイ姉様。アルルは心配しておりました。よくぞ。ご無事で」
レイは、アルルの頭を軽くなでた。
「アルル。心配をかけたね。私は大丈夫だ。泣かないでくれ」
アルルは嬉しそうにうなずきながら、胸に抱かれて泣いていた。
「感動の御対面だな?」
師匠がニヤつきながらそう言った。
「少しばかりそっとしておいてやるか。なあ、晩飯を食えるところはないか?」
「夕食ですか? なら、どうぞご一緒に。今、丁度準備をしています」
「そうか。悪いな」
俺達はギルドの男くさい中で晩飯を食べた。にぎやかで悪くなかった。飯も豪快で旨い。
「女はレイだけなの?」
「ああそうだ」
「おまけに最近じゃ一番強いときやがる。男の面子丸つぶれだぜ」
そんな会話をしていると、レイが近付いて来た。
「少し良いか?」
外に出るように促される。俺は席を立って外に出た。
「すまないな。君たちの中では一番君が話しやすそうだったから」
それは間違いない。人を見る目があるね。
「アルルは?」
「ああ、泣き疲れて寝ているよ。話というのはあの子のことなんだ」
「アルルの?」
レイは首をかしげて、困り果てた顔をしていた。
「あの子は、いったいどんな子なんだろう? というのも僕には昔の記憶がすっかり抜けてしまっていてね。凄くしたってくれているみたいだから。忘れたというのも、忍びなくてね。知ってることを教えてくれないか?」
やっぱりそうなるよね。俺と同じなんだもんな。それが分かってたから、師匠はニヤついてた訳だ。性格悪いよなあ。
この人も大変だよな。これから……。
二に続く。
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