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 NFL内では朝8時頃。


 爽やかな涼しい空気と昇り始めた眩しい朝陽の光が飛び込んでくる。



 シロは噴水の縁に座って溜まっている水を弄っていた。

そのまま飲みに行きそうな雰囲気に、クロは慌てて近寄った。


「お待たせ。そのままそこの水飲むなよ?」


「飲んではダメなの?」


「この間のカフェみたいにコップ使えって事。お前直接顔突っ込みそうだったしな。それにその水も飲めるかもわからんだろ?」


「コップ……そんなものないわ」


「それもそっか。じゃあ外出る前にちょっと揃えてから行こうぜ」


「また、すぐ外行かないのね」


「水筒だけだから!食い物は串焼きあるからそれだけ、な?」



 早く外行きたいのは俺もだけど、飲み物確保も大事だからすぐに近くの露店へ急いだ。幸い、この時間からも住民の店は結構開いていてすぐに1L位の革製水袋と小さいコップのセットが300イェンで手に入った。

 しかも水も買いたいと言ったら、噴水の水は飲み水にも利用されているので、直接そこで入れれば大丈夫と笑われた。それを聞いたシロが、やっぱりあの水は飲めるんじゃないのとドヤ顔された。


 噴水前に戻ってよく見ると、噴水そばでは水を汲んで、その下流では野菜を洗ったりしていた。俺達もそれに倣って水袋に汲んでいく。野菜を洗っている住民の中にシロを知っている人がいたみたいで手を振ってくれていた。




「よし!じゃあ南門から外行くぞ」


 噴水から遠くに見える教会に背を向けて歩けば、10分もしないで検問所に辿り着いた。そこで門番をしている衛兵さんに2人にギルドカードを見せると、愛想のいいおじさん兵から頑張れよと声を掛けてもらえた。

 見た目にもギルドカードにも新人だと言ってるようなものだからかね?もう1人はむすっとした顔のまま俺達から視線を外された。


 手を振りながら門を潜って外に出れば、舗装された砂利道と芝生の様な短い草と1mほどの藪、そして点在する林。さらに遠くには森らしきものが見える。



「チュートリアルを受けた場所に似てるな」


 所々で転身者プレイヤーが数人がかりで大ネズミを相手に奮闘したり、まとまって休んだりしているが、もっと遠くにいる人にマーカーは見えない。表示範囲があるのかもしれない。


「その辺りは、近づいてマーカーが見えたらそこが範囲だって分かるだろ」


「……なに?」


「ああいや、なんでもない。まずは薬草採取とネズミ退治やってみるか」


「あっちに何かいるわ」


 シロがすっと道から外れた奥の藪を指差す。


「え?もう見つけたのか?……まったくわからんぞ」


 シロには探知スキルあるから分かるのか?いや、俺も探知スキル取ってたよな。



 そっと足音を消して藪に近寄る。

すると、シロがそわそわと足踏みをして……



 飛び掛かった!

おい、せめて何がいるか教えてくれよ!


「ヂュゥ!?」


 逃げ遅れたそいつにシロの拳が当たったらしい。

そこで初めて赤いマーカーが表示された。


「これで俺にも認識出来たって事か。えーっと、」


 識別を強く念じて見れば、案の定ジャイアントラットだった。LV1だしそう強くはない初心者向けの魔物だ。HPバーはさっきの1撃で1割以上は減っていた。



「私の獲物よ」


「分かった。でも怪我したら加勢するからな」


 にやっと笑って俺から視線を外す。

おま、それちょっと怖いって!




 じりじりと両者が睨み合いながら間合いを計る。


 今度はネズミが先に仕掛けるが、それを見たシロがしなやかに横へと躱して、通り過ぎたネズミのお尻を引っ掻くように殴った。勢い余ったネズミは地面に叩き付けられるも体を捻ってまたシロに向かって構え、唸り声をあげる。


 それから数度同じことを繰り返し、

ついにネズミのHPバーは赤へと変わった。




 そしてそれは、突然の事だった。



「オラァ!」


 ザン!と大きな剣が突然ネズミを縦割りに、斬るというより叩き潰す形で振り下ろされた。そして、赤黒い光を零しながら消えていく。


 呆然と構えたまま動けないシロが、

その剣を振り下ろした者を見つめている。



「おいなんだよぉ、アイテムこねーじゃん!」


「あ?こいつらがとったんじゃね?」


「んだよそれ!おい、俺達が倒したんだからアイテム寄越せよ!」



 もう1人現れ、大剣を担ぎ直した男に近づいて会話を始めた。しかもクレクレ騒ぎ始める始末だ。見た所ライオンの様な鬣のある大剣使いと額に角のある鬼族らしき両手斧使いの2人。



 あーあー、そう言う事ね。

こいつら、横殴りしてきたってわけか。



 俺が状況を理解した時、獲物を奪われたと気付いたシロの顔が怒りに歪んでいく。あー、だめだ。早くこの場を収めないとまずいな。



 ホントこういうのは面倒だねっと。



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