組織
コージュ先生のおかげで俺たちは無罪、解放された。
「ありがとうございます、コージュ先生」
俺は言う。
「まぁ、これに関しては俺の方からも話しておくべきだったな。すまん」
申し訳なさそうにコージュ先生は言う。そしてアリスがしゃべりだした。
「そういえば、あれからトーイスの町へ向かったのですが...トーイスの町が」
「あぁ、壊滅していたな」
コージュ先生は知っていたようだ。
「あれは...」
アルベルトはコージュにきく。
「あれは、討伐隊の調べでは魔物がやったとみられている。何が原因かわからないが魔物の活動が最近活発になってきている。で、お前たちに頼みたいんだが、今、バラモンド城に魔物が大量に出現している。お前たちもそこに向かってくれ。もちろん、ここからバラモンド城まで遠い。壊滅したトーイスの町にあった宿を今、討伐隊で経営している。そこに泊まれいいか?」
「了解です」
三人揃って返事をする。
そして俺たちの新たな旅立ちとなった。
トーイスの町まで行く間は特になにもなかった。一度とおったような道だったからだろうか。
トーイスの町では討伐隊の人たちがたくさんいた。全国各地の討伐隊のうちの半分が集まっているという。町に収まりきらないほどのこの人数。これの二倍も討伐隊がいると考えると討伐隊の組織の大きさがよくわかる。
とりあえず、宿の受付を探すことにした。
「宿の受付はこちらでしょうか?」
強面の椅子に座っていた男に聞く。
「あぁ、そうだ。名前は?」
「ザック、アリス、アルベルトです」
「あー、おまえらか。お前らはまだ新人だから今日は夜警だ。町によってくる魔物を倒すんだ」
「了解です」
受付を済ませたところでナイトたちに出会った。
「おぉ、ザック。久しぶりだな。お前らもバラモンド城の魔物討伐作戦に参加するのか?」
「あぁ、そうだ」
「お互い頑張ろうな」
「ナイト、お前たちの班も夜警か?」
「夜警?なんだそれ?」
「おれたち、受付で新人だから夜警って言われたんだ」
「そ、そうなのか、俺たちはなんも言われなかったなぁ……まぁ、頑張ってくれよ!」
ふと周りに意識を配ってみるとたくさんの視線を感じた。
周りの人間が自分達をまるで馬鹿にしているようだった。
「ザック、ちょっと耳を貸せ」
ナイトにそういわれ、耳をちかづける。小声でナイトが話す。
「お前たち三人は討伐隊のなかじゃ有名だ。出生不明の人間。王族の娘。怪盗の息子。異質な人間として見られてる。気を付けろ。」
ナイトからの忠告を聞いて、ナイトたちと別れた。
そして、夜の警備に備えて俺たちは準備を始めた。
夜に出る魔物は昼間のそれよりも少し強い。魔物は全体的に夜行性なのだろうか?
夜警の担当はおれたちの三人だけだった。今日はおそらく徹夜だ。これはたぶん、ナイトの話と合わせて考えれば嫌がらせなのだろう。
流石に三人だけでは厳しい。しかしやるしかない。
午前3時くらいになって流石に限界を迎えていた。
そこにナイトが現れた。
「黙ってみてらんねぇもんな」
そういってナイトも夜警に参加してくれた。
そして、朝を迎え、俺たち討伐隊はバラモンド城へ向かった。