意思
その頃、アリスは。
王城、王室にて。
「お前はまだ、王女としての自覚が足りん。いずれはこの国を治めていく存在なんだぞ」
「私はそんなつもりはないわ。私は私の意思で自由に生きてくの」
「それはいかんのだ。お前が自由に動き回っていて悪いやつにでも捕まったらどうする?それこそこの国の危機だぞ」
「お父さんは私たち家族よりも国の方が大事なのよ」
「そうに決まってるだろ。俺はこの国の王だ。いつだって国民を一番に考えている」
「違うわ。お父さんは自分のことを一番に考えているのよ。自分を崇め奉ってくれる国民がいてほしいだけなのよ」
「黙れ」
王はアリスを睨む
「おい、お前ら。アリスを牢獄に入れろ」
「お父さん!」
兵士の一人が反発する
「国王様!さすがにそれは...」
「ならば、死ぬか?」
怖い目をしていた。本気で怒っている。
兵士たちがアリスを取り押さえる。アリスは全力で抵抗する。
「私は私の意思で生きてくの!」
だがアリスの抵抗も虚しくアリスは完全に取り抑えられてしまった。
「国王様」
そこに誰かがあらわれた。聞いたことのある声。訓練生時代を思い出す。
「コージュか。どうした」
「アリスを、アリス王女を解放してください」
「もし、アリスに何かあったらどうするんだ?お前に責任が取れるのか?」
「いえ、アリスには優秀な討伐隊員が仲間にいます。彼らは先ほどあの監獄から脱走しました。まぁ、取り押さえられてしまいましたが。しかし、武器、防具、何も装備しないで兵士を何人か倒しました。彼らの持つ潜在能力は計り知れません。特にザックは入隊試験のドラゴンを倒してしまいました。あのドラゴンを倒したのは歴史上でただ一人、今ではゴールドキングと呼ばれる彼だけです。その彼と同じことを成し遂げた。さらにアルベルトはすごく賢いです。剣の腕は少し劣るところがありますが、彼はその劣った面をカバーできるだけの頭を持っている。自分で新しい剣の使い方を編み出している。そしてアリス王女の使う回復、補助魔法は彼らのサポートに最もふさわしい。彼女の魔法には他の魔法使いにはない、優しさが込められている。それぞれがそれぞれの潜在能力を持っています。その潜在能力をチームで、お互いに引き出し会えるのが今の三人なのです。私が作ったチームです。間違いありません。だから国王。お願いします。アリスを、アリスの意思で、行かせてください」
国王は難しい顔をしていた。そして席を立ちあがりしばらく右へ行ったり左へ行ったりを繰り返していた。
そして決断をした。
「よろしい。それがアリスの意思ならば仕方ない。しかし、アリスにもしものことがあれば直ちに討伐隊は解散とする。いいか」
「ありがとうございます、それでは、ザックとアルベルトも解放していただけますね?」
王は首を縦に振った。
「アリス。その強い意思、忘れるんじゃないぞ」
国王はアリスにそう言った。




