迷子の黒猫
とある某所に全寮制の共学の高校がありました。
全寮制なので、外部からの交流は極めて少ない。
そして今は授業中…
敷地内に人影など…
「っあーー!!もう、ここどこだよっ!」
校庭で迷子がひとり。
「大体、広すぎんだよ!!!
どこが『普通の全寮制高校』だよ!」
なんだか不満を漏らしながら歩いている。
「んぁ?ここが校舎か?」
なんとか校舎にたどり着いたようだ。
ウィーン
「自動ドアかよ…本当にここは高校か?」
「…見ない顔ですね?学年と名前を」
突然聞こえた声の主を辿ると
そこには細身の男性が立っていた。
「………」
「学年と名前ですよ」
「………」
「…ん?よく見たらどこかで見たことあるような…あぁ、本日からの転入生ですか」
あらかじめ書類に目を通していたのか
顔を見た瞬間、理解したようだ。
しかし、転入生の情報なんて
一般生徒は知らないはず…何者なんだ?
「広くて迷った…ってとこでしょうか?
理事長室ですか?」
小さく頷くと
「では御案内いたしますよ」
まるでエスコートするかのように
紳士的に振る舞う男性に少し戸惑いながらも
静かに後ろをついていった。
「…ところで」
歩いている間、男性に話しかけられた。
「失礼ですが、あなた…男性ですよね?」
「…はい」
少年は初めて男性の前で声を発した。
「…失礼。身長的に華奢なところがあったので再度確認を。お声も随分と可愛らしい」
「…だから、話したくなかったんだ」
「え?」
小さく呟いた言葉は男性には聞こえなかったようだ。
「自己紹介がまだでしたね、私は市丸 椿ここの生徒会副会長をしています」
生徒会か…しかも副会長。
それなら転入生の情報を知っていてもおかしくない。
「…木村 澪」
「澪ちゃんね」
「みおちゃ…!?」
「冗談ですよ、木村さん…こちらが理事長室です」
笑いながら案内をしてくれたのが
理事長室の扉。
無駄に凝っていて、重たそうな扉だ。
「それでは、私はこれで…」
何故あそこにいたのかは知らないが
普通は授業中の時間だ。
なのに案内してくれた副会長に
お礼を込めて一礼して理事長室の扉をノックした。




