まだ廊下にございます
この学校は生徒達が普通教科を勉強する本館と、特殊科目…?を学ぶ別館に別れている。
さらに本館は5階建て、別館は3階建てになっていて、本館の2階と別館の2階は橋のようななにかで繋がっている。
ところでこの橋みたいなものの名前って…なんだっけ…
形は分かるけど名前が出てこないのってなんか腹立つよね。ほら!あれだよあれ!みたいな。通じるけど…みたいな。桟橋?違うよねぇ…
「あっちゃん、桟橋ってのは映画で船が止まるときにとかによく見る木でできたあれだよあれ」
と百合が横から教えてくれた。
「あー、あれかぁ…ふーん…」
「…分かってないでしょ?」
…さすが百合さん。名探偵ですわぁ。ていうか勝手に人が考えてること読まないでよ。
そんなことを思っていると、それを察したのか察してないのか百合は
「いや、あっちゃんの考えてることなんてみんな分かると思うよ?」
などと失礼なことを言う始末。なんだと。そんなことはないはず…
「昴っ!」
「へい!お呼びですかい姉貴!」
手を鳴らしながら呼ぶと、なぜそんなにもパシリ役が似合うのかと思うほど下手に出た昴がごまを摺りながらやってきた。キャラ濃いなぁ。
「今からお主に試練を与える」
僕もノリノリな感じで威厳たっぷりに言う。威厳といえば偉そうな感じ。ということで腰に手を当て胸を張るのも忘れない。
「僕が何を考えてるのか当ててみろ!」
そう言って昴の目をジッと見つめる。昴も僕の目を見て考えているようだ。
…
……
………
まだ?
すこし長かったので締め切ろうと口を開くと「分かった」と昴が呟いた。
「ほう?して、答えは?」
威厳たっぷりのまま回答を求める。昴の出した答えは…
「昴様かっこいいっ!ってとこでござるかな?」
だった。…は?
したり顔で話を続ける昴。
「まぁ?拙者のこのイケメンな顔をもってすれば?見惚れてしまうのも仕方ないことでござる。葵殿も恥じることはないですぞ。声を大にして『昴様かっこいいっ!』と言っても…」
ここまで真面目に聞いた僕が馬鹿だったよ。今までありがとう豚野郎。君のことは忘れない。
さて、まだ熱く語っているアホは放っておいて、僕と百合といっちゃんは美術室へと向かう。
「それから…って!wwwちょまwww置いていかないで欲しいでござるwww拙者今ものすごく淋しいでござるwww」
「楽しみだねぇ美術(無視)」
「だねー(昴には悪いと思っているけどスルー)」
「あっちゃんは絵が得意なんですか?(面白いからスルー)」
「もちろん!いつも先生に褒められてたよー(存在を忘れる)」
「放置プレイwwwそれも悪くないでござるwww我々の業界ではご褒美です故www」
無視したら無視したでうざいとは、なかかやるな昴よ。
「はいはい。さっさと行こう?なんだかんだ時間がないよ」
僕は時間を確認しながら言う。えっ、ナニで確認したのかって?校則違反になるから言わなーい。
僕らは少し慌てながらも美術室へと足を進めるのだった。
「ところで昴。我々の業界ってなに?」
「あー…それは…答えなきゃいけないでござるか?」
「いや、気になったから聞いてるだけ。聞いちゃまずいやつ?」
「あっちゃんは知らなくていいのよ?」
「まじか」
「まじよ」
「じゃあいいや」
「納得したんでござるね…」
「今時珍しいくらい素直だよね…」




