013 二人と黒霧島
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──翌朝。
窓の外の雀たちが、二人の朝を祝福するように、鳴いていた。
そのチュンチュンという囀りは、まるで幸福の象徴そのものだ。
目を瞑ったベッドの中──漫画か何かで見たことのある光景だ──雪美はぼんやりと、そんなことを思った。
微睡む脳が、既視感の源泉を自然と求める。
だけど、密着する温かで柔らかな──確かな温もりに触れてると、意識は次第に明晰なものへと変わりゆく。
もったいない──そんな“浅ましさ”にも似た閃きが、雪美の瞼を開けさせた。
布団の中には嬉しそうに、そして恥ずかしそうに、下瞼をぷくりと盛り上げる澪がいた。
その笑顔が目に飛び込むと、雪美の心は躍動し、弾むような何かが溢れ出して止まらない。
「ふふ。先輩、おはようございます」
「あはは、おはよう、澪」
澪の大きな瞳が、糸のように細くなる。
雪美は黙って、澪の頭を引き寄せた。
澪が目を瞑って、無言で唇を付き出すと。
そこに雪美が唇を落とす──。
「えへへ」
恥ずかしそうに澪が笑う。
「あはは」
雪美もなんだか、幸せで笑ってしまう。
「……もう一回する?」
「……はぃ…………先輩……」
そんな二人の様子を、ちゃぶ台の上の黒霧島だけが見ていた。
『わたし(27歳OL)を慕う後輩A(♀️18歳)を利用し、意中の後輩B(♀️20歳)を精神的に追い込み、泣き崩れたところを、「大丈夫! わたしだけは貴女の味方だから!!」っていう感じの百合小説。』
~完~
【後日譚】
その後、愛に溢れる雪美の個人指導により、澪はメキメキと仕事が出来るようになり、公私ともに幸せな日々を過ごした。
ちなみに、貸しを作った妙が、雪美に様々な要求するようになり、雪美と澪の間に危機が訪れる一幕もあるのだが、それはまた別の話。
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