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「何食べたいか、決めといて」
わたしは彼女の腕を掴んだまま、列に並んだ。
すると女の子達の話し声も止まった。
「今日のオススメは…ピーチクリームロールとアップルカスタードか」
背伸びして、看板を見ながら言った。
ちなみにオススメにはサービスがあって、トッピング無料。
チョコとかコーンとか好きなだけ頼んで良い。
「わたし、ここのクレープ、久し振りなのよね」
「そっそう…」
消え入りそうな声。でもキレイな声だ。
「前は女友達と来てたんだけどさ。最近、彼氏が出来てね。彼とも来ようかと思ってたところなの」
「…ふぅん」
「でね…」
わたしは自分達の番が来るまで、一方的にしゃべり続けた。
彼女は頷くだけだったけど、手を振り払ったり、嫌がったりはしなかった。
「さて、やっとわたし達の番ね。何食べる?」
「えっええっと…」
彼女はメニュー表を見て、戸惑っていた。
「もしかして…クレープ食べるの、はじめて?」
彼女は再び真っ赤になって、頷いた。
「ん~。ならわたしのオススメで良い?」
「うっうん…」
…美夜にあるまじき、大人しさだな。
「じゃあ今日のオススメのピーチクリームロール1つ、フルーツ付けてください」
「はい」
「あとアップルカスタード。チョコスプレーと生クリームを付けて…」
…ととっ、クレープだけじゃノドが渇くか。




