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LOVEファイト!  作者: mimuka
21/66

3

「はい」


落ちてきたコーラの缶を、学生に渡した。


「…ありがとよ」


「いいえ」


わたしは返却ボタンを押して、十円玉を財布に入れた。


「原因はこの自販機。古いからコイン入れる所が錆びてて、お金が落ちなかったの。少し力を入れながら入れれば、大丈夫になるの」


わたしは学生と、近くにいる主婦二人組みに向かって話した。


主婦達は罰が悪そうに、去って行った。


「…まっ、お金が戻ってこない時は、紙に書けばいいから」


自販機にはトラブルが起きた時に書く用紙とペンが付いている。


「ああ…」


学生は少し呆然としていた。


あっけない解決に、脱力したんだろうか?


学生にしては老けているように見えるなぁ。


まあ渋いとも言えるけど…。


「…お前さ」


「わたし?」


「俺のこと、怖くないのかよ?」


「何でよ?」


聞き返すと、学生は黙ってしまった。


「ジュースが買えなくて、あたり散らかしているところを見ると、子供みたいよ。ちょっとは落ち着きを持ちなさいよ」


「…ああ」


学生は少し考えた後、わたしを真っ直ぐに見た。

「借りができたな」


「こんなの借りとは言わないわよ。困った時はお互い様、でしょ?」


「お互い様、か。なら困ったことがあれば、俺を頼りな」


「あなた…美夜の学生よね?」


「ああ。美夜の高等部3年、青城せいじょう松本まつもと


「あら、先輩。わたしは光輪学院・高等部2年、月花陽菜子」


「月花な。覚えとく」


そう言って青城は去って行った。


…ヤレヤレ。


相変わらず美夜への風当たりは強い。


そして人は見かけによらない。



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