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あれから一時間程が経った。私は雪子とクロの身体から土を拭きとって毛を手入れしていた。その脇ではイケおじの完徹さんがこげ茶の作務衣の格好で縁側に腰かけながら犬と猫を手入れしているのを盗み見していた。内心あの小型犬が完徹さんの雰囲気緩和材になった時は小さいながらもやるではないかと感心していた。そして、現在も縁側でゆったりしながら完徹さんを見つめている。その椿の手の中では雪子達がマッサージで骨抜きにされぐでーんとしているのだが。傍から見たらなんとも締まらない光景だ。
「よし。終わり。何か雨が降りそうだから中に入って。」
《ありがとうございます。主。》
いや、雪子達を雨の中放置していると捨て猫捨て犬を見ている感覚に陥るんだよ。まぁ、戦闘になったら格好良い材料に早変わりするんだけどな。いいでしょ?雨に濡れながら獲物を仕留めようとするその姿勢。水も滴る良い黒豹?っていう感じ。このフレーズ便利だよね。
「雪子そこ退いて。片づけるよ。」
「がう。」
雪子はそう吠えて広げた布の上から巨体を動かした。完徹さんもただの犬とただの猫を手入れし終わったようで、布の上から退いた。
「ありがとうございました。」
「いや、構わん。」
そうだよね。
私は布の端と端を掴み外にバンッと払った。それを何度か繰り返すと畳み、入っていた袋にしまった。そして、謎の布は実は雪子とクロの爪で破れないように高密度の私の魔力で作った糸を布にする段階でも私の魔力を織り込んで作ったものだ。劣化することもないあの布は地味に役に立つ。
「そろそろ、昼飯の時間だ。こいつらも連れていくか。」
「いいんですか?」
「俺が許可する。」
「ありがとうございます。」
流石、動物好きだな。まぁ、雪子達は朝晩だけでいいし一緒にいるってだけだからな。他の犬猫も飼い主達の所へ連れていくか。そして、部屋の時計を見ると確かに12時前だったのであの至福の時間が大分長かったことに私は脳みそから幸せホルモンがバンバカ出ているのを感じている。
「じゃあ、雪子達は道に広がらないようにね。御屋敷の人達も道の邪魔だろうから。」
「がう。」
「ガウ。」
マリアは完徹さんちょっと籠絡作戦の最初の時に完徹さんにしがみつく作戦をとったままの状態だ。つまり、今マリアは完徹さんの懐にしがみついている。心なしか完徹さんが最初より笑顔を沢山見せてくれるようになったような気がする。そして、私はその状況に乗じてあるいいことをしていた。それは、しがみついたマリアにちょっとずつ完徹さんのお胸をはだけさせているんです。変態親父と言われても、もうなんとも思わねぇ!構わねぇ!………、良いお胸でした。
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長い渡殿をチンタラと歩いていると正面から奥様がやってくるのが見える。
「あら、黒田さんも来ていたの?」
そして、奥様は雪子達の姿を見て目を見開いて固まる。
「凄いわね。」
いや、それよりもなんで来たの。
「あの、何か用が…」
すると、奥様はハッと我に返り「そうそう」と喋りだした。そりゃ雪子達を見たらビビるがな。
「昼食の準備が整ったので椿ちゃんを呼びに来たのよ。丁度良かったわ。」
《主、あの女食えないですよ。》
《え、どういうこと。》
《猫を被っているということです。なかなかの曲者ですよ。》
《ええ………見えない。》
私は急な雪子からの情報に戸惑った。
「椿ちゃん?」
「へ?」
「どうしたの?」
やっべ、雪子との念話に気を取られてボーっとしていたようだ。どうやら最近平和な日本で気を抜きすぎている。今度権三郎を呼んで組手をしてもらおうかな。雪子達は獣スタイルだし。
「あ、あぁ、はい。行きましょう。」
完徹さんはさっきから黙っている。そんな寡黙なところが大好きです。
「そう?じゃあ、行きましょう?」
「はい。」
後ろで完徹さんの頷く気配がした。あ、そういえば雪子達を御屋敷に上げたことを何にも言われてないけど、いいってことなのかな?それと、雪子の言ってたことも気になるな。猫を被ってるって、本性がわかんない。私は戦闘に関しては結構分かっているつもりだけど、人の心まで読めないからな。あの可愛らしい奥様がどんな本性なのか、あんまり知りたくないし、知らなくてもいいかな。




