会議の前日
「―そうか…」
ハイド極秘会議室にて、キルアは表情を変えず返事をした。
おそらく、念入りに国中を監視しているのだろう…。
ユーラキは王を暗殺され、そのまま幹部まで殺されたため、権力者がいない状況である。
元々、自分勝手な王であったため国民に嫌われていたそうだ。
件の後、シュマデの軍がユーラキの軍隊(反乱意思のある)を倒し、無力化に成功したそうだ。
少しは役に立つじゃないか。
ユーラキ領は全てシュマデの支配化に置かれた。
反対する国民も少なくは無かったが、反対する者はほとんどいなくなった。
ユーラキ国民は収入の一割を税とし、税を払っているものは医療機関や災害時の保険金を国が全額負担するというものだ。
シュマデは今凄まじく金がある。世界で、すべてにおいてトップな国だ。
ユーラキ国民はとても喜んだそうだ。
まぁ、国の貯金のほとんどは俺達が稼いだんだがな…
ただ、問題はキルアだ。シュマデ全域を結界下に置けるとしても、ユーラキにまでは届かない。
向こうにも軍の基地がたくさん作られるそうだが、あいつらがまともな事をしたことは見たことがない。
キルアもその事を考えているのだろう。
「―にしてもさー、他の国が攻めてくるってのは聞き捨てならないよねー。」
そう言ってる割には、全く興味なさそうに話しているが…。
「俺は、酒が飲めりゃいいや! ハハハ!」
ハステルトは酒を飲み、上機嫌だった。
興味なさ気に話す彼女は一応とても強い。
20人いるハイドの中でもかなりの実力者である。名はフミナ。
性格は、なんでもテキトーにやったり、興味をあまり持たない無関心な奴だ。
普段は魔法で戦うが、実は体術が凄かったりする…。
ハステルトは… まぁいつも通りだ。
「…うーん、事後処理は何とかなったがなぁ…その後の事がなぁ…どうする?キルア」
ハイドの最年長、ラーブが尋ねる。
この男は、確か67歳位だったはずだ。長きに渡り、戦い続けているので、判断力や推測がすごく長けている。
「俺の結界の拡大はできる…だが長く持たない。非常時の時だけだ。ハイドの誰か数人をユーラキへ滞在させる。1ヶ月交代制でだ。生活費はこっちで出す」
しばらく黙り込んでいた、キルアが喋りだした。
反対する者はいないようだ。
「明日、会議で最終判断と新入りの紹介をする…」
と言い、キルアは会議室を後にした。
「やな事が起こりそうだ…」
ラーブは真っ白な横髪を掻き、溜息をした。
「ルシナちゃん!今日どっか行かない?」
また、クラスの女子に声をかけられた。何回来るつもり?と言いたくなる気持ちを堪え、
「ごめん。今日用事があって、早めに家に行かなくちゃいけないの…」
「ふーん…そっか! ならいいや」
彼女はいつもいるグループの方へ戻っていった。
多分金盗られるだけだ…。
そうに違いないだろう。実際彼女たちが、おとなしい女子から何だかんだ言って金を盗っていたのを見た事があるからだ。
昇降口で靴を履き替え、いつもの道を歩く。
今日は会議だ…。




