表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

7話 出航

はじめまして、大森林聡史です。

魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。

よければお付き合いください。

 朝もやの中、港へ向かう足取りが軽やかになる。


「グレイ、見てください! 船が出航の準備をしてます!」


 ふと波間を跳ねる魚に目を奪われ、はしゃぎそうになるのをぐっとこらえる。


「……王女らしくなくて、ごめんなさい」


 あなたの剣の音に耳を澄ませながら、真剣な表情に戻る。


「でも、今日こそ……アリスを救います。グレイと一緒なら、きっと……」


 クリスは、変装マントで姿を変え、2人は船で島に向かった。

 船べりに掴まりながら、変装した茶色の髪が海風になびく。


「わぁ……! 海、きれい……!」


 ふと波しぶきを浴びて、はっと我に返る。


「……あの、グレイ。島に着いたらまずどこを探しましょう?」


 懐の水晶のかけらが微かに光るのを確認し、グレイの袖を引っ張る。


「アリスの魔力……だんだん強くなってくる……!」


 船が大きく揺れ、思わずグレイの腕にしがみつく。


「きゃっ……! ご、ごめんなさい……!」

「おっと⋯」


 グレイは、クリスを支えた。

 クリスは、グレイの腕のたくましさに思わず頬を赤らめた。


「その水晶から場所は分からないか?」


 グレイの腕から離れ、水晶を両手で包むように持つ。


「んん……ちょっと待って……『トレース・マジック』……」


 ピンクの瞳が薄く光り、魔力を集中させる。


「……東岸の洞窟……! アリスが……苦しんでる……!」


 突然水晶が熱くなり、思わず手を離す。


「熱っ……! グレイ、急いで……! あの子が……!」


 変装マントを翻し、船べりに必死に掴まる。


「分かった。船長。東岸に船をつけられるか?」


 クリスは、船長が頷くのを見て、ほっと胸を撫で下ろす。


「ありがとう……! あと少し……!」


 東岸の岩場が近づくにつれ、水晶が激しく脈動し始める。


「……っ! アリスの魔力が乱れてる……!」


 船が岸に接岸するやいなや、飛び降りそうになるのをぐっとこらえる。


「グレイ、先に行って! 私は船長さんにお礼を言ってから……」


 変装マントの裾を踏まないよう注意しながら、急ぎ足で船長に向かう。


「分かった!」


 グレイは、船を飛び降りた。


「あそこか!」


 険しい磯の上にポッカリと洞窟があり、すぐに向かった。

 クリスは、船長に急いでお礼を言い終え、グレイの後を追いかける。


「グレイ、待って……! 一人で行っちゃダメ……!」


 岩場で足を滑らせそうになりながらも、水晶を握りしめて叫ぶ。


「洞窟の中……魔物の気配がする……! アリスが囮になってるのかも……!」


 変装マントが岩に引っ掛かり、ぎりぎりで身をかわす。


「くっ……このマント、動きにくい……!」

「失礼⋯!」


 グレイは、クリスを抱きかかえ、険しい岩場をものともせず、飛び越えていく。

 クリスは、突然抱き上げられ、思わずグレイの胸鎧に顔を押し当てる。


「きゃあ……!?」


 岩場を軽々と飛び越えるあなたの脚力に、目を丸くする。


「グレイって……すごい跳躍力……!」


 洞窟入口が目前に迫り、水晶が灼熱のように熱くなる。


「……っ! もうすぐ……アリスが……!」


 グレイの首筋にそっと手を回し、耳元で囁く。


「左の通路……あそこから……苦しそうな声が……」


 グレイは、クリスを抱きかかえたまま、東の通路に向かった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

面白いと感じていただけたら、ブックマークや評価をしていただけると励みになります。

感想も一言でもいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ