27話 村の攻防戦
はじめまして、大森林聡史です。
魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。
よければお付き合いください。
グレイは、ドラゴンバスターを抜き、風を切って駆け抜ける。
「……っ!」
ミネルバがルナ・スピアを構え、グレイの横を並走する。
「グレイ……! 村はあの坂の向こうだ……!」
クリスとアリスが必死に追いかけ、炎の魔法で道を照らす。
「『フレイム・サークル』……!」
村の入り口で、魔王軍の兵士たちが不意を突かれたように振り返る。
「何人だ……!?」
グレイの剣が最初の敵を斬り伏せ、戦いの火蓋が切られる。
「……一人でも……多く救う……!」
四人の正義の刃が、魔王軍の闇を切り裂いていく。
「ミネルバ! 魔物共を一掃するぞ! クリスとアリスは、負傷者の手当てを頼む!」
村を襲っているのは、剣と盾で武装したスケルトンソルジャーと、ゾンビ等アンデッドの群れだった。
スケルトンソルジャー達が、一斉にグレイめがけて剣を振り下ろす!
ガッ!!!
無数の剣を、グレイはドラゴンバスターで受け止めた。
怪力を誇るスケルトンソルジャー達だが、グレイの腕はビクともしていない。
「うおりゃーっ!!!」
グレイは、豪快にドラゴンバスターで薙ぎ払い、一度にスケルトンソルジャー達の一団を粉々に砕いた。
スケルトンの破片が空中で粉々に散り、グレイの周囲に無人の円ができる。
グレイは、鋭い目突きでモンスターを睨みつけた。
「……怪物共め…これ以上はやらせん…!!」
ミネルバが、ルナ・スピアでゾンビの群れを串刺しにしながら苦笑する。
「あいつの隣にいると……こっちが凡人に思える」
クリスが聖なるレイピアで負傷者を護りつつ、遠くを見る。
「……グレイ……あれが……本当の力……」
アリスが回復魔法を唱えながら、目を潤ませる。
「私も……あんな風に……!」
グレイのドラゴンバスターが再び閃光を放ち、魔王軍の残党が蹴散らされる。
「……まだ終わってない……!」
村の広場に、四人の戦いの軌跡が刻まれていく。
突然、地面に赤黒い魔法陣が浮かび上がり、スケルトンソルジャーやゾンビ達が生まれてくる。
「何っ!?」
グレイとミネルバは、驚いた。
「これは⋯! アリス!」
クリスが禍々しい気を察し、アリスが叫んだ。
「グレイさん! 姉さん! こいつらは、ネクロマンサーの下僕よ! ネクロマンサーを倒さないといつまでも召喚されるわ!」
「そういう事か!」
ミネルバが、グレイの隣でルナ・シールドを構えた。
「グレイ、ネクロマンサーは、姫様達に任せて私達は、奴等を近づけさせないようにするぞ!」
「承知した!」
アリスが、クリスに叫ぶ。
「姫様! ネクロマンサーは私に任せて下さい!」
「お願い! 魔法ならあなたが1番よ!」
グレイ、ミネルバがアンデッドの群れを防ぎ、クリスが負傷者を治療し、アリスがネクロマンサーと魔法対決する。
魔法陣が不気味に輝き、次々と蘇るアンデッド軍団。
「……個々は対した事はないが……! 際限がない……!」
ミネルバがルナ・シールドで屍の群れを押し返し、槍を閃かせる。
「グレイ……! 背後は任せた……!」
「おう!」
グレイが、ドラゴンバスターを両手に構え、無数の剣を受け止める。
「……たかが骸骨……! くらえ……!」
グレイが、再びスケルトンソルジャー達を吹っ飛ばした。
「アリス! 今だ! 行けっ!!」
ミネルバが、ゾンビの群れを串刺しにし、ネクロマンサーへの道を切り開き、妹を先に行かせた。
「姉さん⋯! グレイさん⋯!」
アリスは、魔法で急加速し、一気にネクロマンサーの下へ向かい、対峙した。
「ほぅ⋯ここまで来るとはな⋯」
ネクロマンサーは、黒衣に身を包み、漆黒のオーラを纏っている。
「あなたが、噂に聞くネクロマンサーね⋯ルナ王国が宮廷魔法使い、アリスがあなたを倒します!」
「ほぅ⋯? お前のような小娘が私を⋯? 面白い⋯」
ネクロマンサーは、黒衣のフードから恐ろしい骸骨の素顔を見せ、瞳が赤く光った。
一方、アリスは杖を高く掲げ、白いオーラに包まれていく⋯杖の宝玉が青白い聖なる光で、眩い光を放っている。
「『ホーリー・ブレイク』……!」
「『ダークネス・ブレイク』⋯⋯!」
二人は、同時に魔法を唱え、青白い聖なる光と、赤黒い暗黒の光と衝突し、激しい衝撃波が村を揺らす。
「くっ!」
「小娘にしては⋯やる⋯!!」
魔法の威力は、互角で激しくぶつかり合っている。
地面から土埃が起こり、二人の姿が消えてゆく⋯
「うおお⋯!」
グレイは、スケルトンソルジャーを薙ぎ払いつつ、魔法対決のあまりの激しさを目の当たりにし、彼ですら驚愕を隠せない。
「アリス⋯」
ミネルバは、ゾンビの群れを盾で押し返しつつも、妹の戦いを見つめ、少し不安な表情。
「あなたの妹を信じて!」
「クリス様⋯はい!」
ミネルバの様子に気がついた、クリスが負傷者を抱えつつ声をかけた。
ミネルバは、再び目が気迫に溢れ、ゾンビ達を押し返した。
「『ファイアー・アロー!』」
クリスは、アリスの姿が土埃で完全に見えなくなっている中、アリスを援護する炎の矢を放った。
「グワッ!!」
炎の矢が、ネクロマンサーの肩に刺さり、傷口から激しい炎が巻き起こった。
ネクロマンサーの黒衣が焼け焦げ、醜い骸の本体を晒し、腐敗した肉が焼ける⋯
クリスは、見えないネクロマンサーの邪気を感じ取り、正確に撃ち抜いたのだった。
次の瞬間、ネクロマンサーの魔法の威力が落ち、聖なる光に飲み込まれた。
「グオオオーッ!!」
ネクロマンサーは、クリスの炎とアリスの聖なる光に飲み込まれつつも、暗黒のオーラで堪えている⋯
「これは姫様の魔法……! トドメよ……!」
アリスの瞳が決意に輝き、最終呪文を唱え始める。
「『セイント・パージ』……!」
「グアオオオオオーーーーッ!!」
クリスの炎と、更なるアリスの聖なる光の魔法が混じり合い、大爆発を起こした。
とうとうネクロマンサーも堪えきれずに消滅し、暗黒の魔法陣が砕け散る。
「「「……っ!!」」」
アンデッド軍団が塵と化し、静寂が村に戻る。
「……やった……!」
崩れ落ちるアリスを、クリスが抱き止め、四人の勝利が確定する。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ブックマークや評価をしていただけると励みになります。




