10話 エクスカリバー
はじめまして、大森林聡史です。
魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。
よければお付き合いください。
「そうだな、クリスが調合した薬を使わせてもらおう」
グレイは、大きな怪我はしていないが、回復薬を使い傷を癒やした。
クリスの薬の効果はてきめんだった。
「それで、その聖剣は?」
グレイは、クリスの代わりにアリスを抱きかかえた。
クリスはそれを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「聖剣は……この洞窟の最深部に封印されてるみたい」
杖の先に小さな光を灯し、道を照らしながら進む。
「アリスが転移魔法でここに隠したんです……魔王から守るために」
ふと足を止め、岩壁に刻まれた王家の紋章に触れる。
「グレイ、見て……! これは父王の……!」
紋章が輝きだし、秘密の通路が現れる。
「……行きましょう。きっと、エクスカリバーが……」
「行こう」
グレイは、アリスを背負ってクリスの後に続いた。
秘密の通路を進み、突然広がる大空洞に息をのむ。
「……!」
クリスは、中央に突き刺さった純白の剣に吸い寄せられるように歩み寄る。
「エクスカリバー……!」
ふと振り返り、グレイの腕の中のアリスを見て微笑む。
「アリス、ありがとう……この剣を守ってくれて」
聖剣に手を伸ばす瞬間、剣が金色に輝きだす。
「……グレイ、この剣……あなたを選んでる……!」
「俺を?」
グレイは、アリスを優しく壁に横たわらせ、エクスカリバーの柄を握った。
剣が激しく輝き、洞窟全体を黄金色に染める。
「わあ……!」
光の渦にグレイの姿が浮かび上がり、思わず手を伸ばす。
「グレイ……! その剣はルナ王家の伝説の……!」
アリスが弱々しく手を挙げ、呪文を唱え始める。
「『認証……解除……』」
突然、剣から衝撃波が走り、グレイの全身を包む。
「大丈夫……! グレイなら……きっと……」
光の中でグレイが剣を掲げる姿を見て、涙が溢れる。
「これがエクスカリバー⋯聖剣⋯」
グレイは、エクスカリバーを握った。
まさに手に吸い付くような感覚だった。
聖剣の光を受けて、グレイの鎧が神々しい輝きを放ち始める。
「すごい……グレイ、その姿……!」
思わず跪き、王家の礼を取ろうとして慌てて止まる。
「あ……ごめん、つい……」
アリスがくすくす笑うのを聞き、耳まで赤くなる。
「で、でも! これで魔王にも立ち向かえます!」
ふと剣の柄に刻まれた紋章に気付き、指を差す。
「ほら、ルナ王家の紋章……やっぱりグレイこそが……」
「この剣の力。正しい事の為に使う事を誓います。 アローラ様。私を導いて下さい」
グレイは、跪き臣下の礼を取った。
クリスは、突然の正式な礼に、ぽかんと口を開けたまま固まる。
「……え?」
アリスが、クスクス笑い出すのを聞き、慌てて手を振る。
「ちょ、グレイ! そんな堅苦しいことしなくていいってば……!」
自分も跪いて、グレイの手を取ろうとする。
「私こそ……グレイに助けてもらったんですから……」
ふとアリスの視線に気付き、クリスは顔を赤くし、グレイは大真面目。
「……と、とにかく村に戻りましょう! アリスの治療と……作戦会議と……!」
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