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11 ミランダが悪役令嬢になりたい理由

「さあ、キティ嬢。もう泣くのはおよしなさい。あなたは強い人です。あなたならばきっと、この経験も乗り越えられます」

「…そうだな。さ、キティ嬢、行こう」

「私とベンが送るよ! ね、ベン」

「ああ、もちろん!」

「待って」


 キティを支えながら、ララは立ち上がる。キティは涙をぬぐいながらも、ララ、ベン、フレッド、ミランダを見つめ、深く頭を下げた。


「……皆さん、本当にありがとうございました」

「いいや。無事解決して、よかったです」


 フレッドの言葉に、キティは唇を少し噛み締め、そしてもう一度頭を下げた。ララは心配そうに彼女を見つめていたが、そっとキティの腕をとり、歩み始めた。その後ろからまるでナイトのようについていくベンを見つめながら、ミランダはホッと息を吐く。


「解決……したのでしょうかね」

「さあね。俺たちは依頼人のお願いを聞き入れ、叶えてやった。だから、きっとこの案件は無事に解決したんだよ」

「そう、ですわね」


 ミランダは目線を落とし、仮面を取った。


「にしても、よかったのか。あんなこと言って」

「あんなことって?」

「アンソニーのことだよ。ミランダに伝えるって言っただろう」

「だって、わたくしがミランダなのだから、いいのでしょう?」

「そうじゃなくて。本当に暴露するのか?」


フレッドの質問にミランダは肩をすくめる。


「やり方は考えますけどもね。スミス家は子爵の中でも弱小中の弱小ですから、ちょっと圧力をかければ、あっという間に転落……あとは、考えるだけ無駄でしょう?」

「おお、怖い……流石、侯爵令嬢だな」

「あら、悪役令嬢とお呼びになってほしいですわね。わたくし、いつまでこんな探偵のような役割をしなければならないのかしら」

「だって、ミランダのパイプは役立つし…」

「わたくしを便利な道具扱いしないでほしいですわ!」

「ジョーダンだって。でも実際、ミランダはこの仕事に向いていると思うぜ? いいじゃん、じゃあいっそのこと、『探偵令嬢』ってのはどう?」


 にやりと笑ったフレッドに、ミランダは冷たい目線を向けた。

 しかし、その口元はどこかおかしそうに歪んでいた。


「だからわたくしは『悪役令嬢』になりたいんですわ!!!」



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