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第1話 やがて世界は一つになる。わたしたちの小さな手のひらの中で。

 眠れる白い巨人の女の子のあと気球乗りの少女べると不思議な生きものたちがいっぱいいる不思議な国


 登場人物


 べる のあと会話をすることができる不思議な力のある気球乗りの少女。ぼくっ子。


 のあ 白い巨人の女の子。


 たお 桃色の髪をしたべるの友達の気球乗りの少女。桃色の気球乗りの服を着ている。


 てら 天才気球乗りの真っ白な少女。呪いで頭から獣耳が生えていて、お尻には獣のしっぽがある。


 れお姫 白いお城に住んでいる美しいお姫様。のあのことを知っている。


 やがて世界は一つになる。わたしたちの小さな手のひらの中で。(べるの気球にはってある古い新聞記事の切り抜き、大きな嵐の中で行方不明になった天才気球乗りの少女、てらの残した言葉)


 星は生きている。星はひとつの命なのだ。


 星の記憶。私の見る夢。あなたのこと。


 巨人の骨が見つかってこの星にかつて巨人が生きていたことが明らかになったのは、本当にごく最近のことだった。


 白い巨人の女の子の見る夢


 湖の麓にある真っ白な青色の屋根のお城と真っ白な街。そして、その真っ白なお城に寄り添うようにして眠っている一人の巨大な真っ白な色をした女の子がいます。

 巨大な真っ白な色をした女の子はその場所でずっと眠り続けていました。何年も、何年も、ずっとずっと、ただひたすらに、眠り続けていたのでした。

 ……自分を迎えにきてくれる人が、「起きて。もう朝だよ」と声をかけて、そのとっても長い眠りから目覚めさせてくれるときがくるまでの間、……ずっと、……ずっと。長い眠りの中で『幸せな夢』を見ていたのです。


 広くて浅い海の世界


 冷たくて気持ちいいね。


「ねえ、べる。これからどこに行こうか?」

 にっこりと笑って、白い美しい髪と白い大きな体をした白い大きな服を着ている、(べるが気球の布を工夫して頑張って作ってくれた服でした)大きな大きな巨人の女の子ののあは言いました。

 実際にのあは声を出して(口は開けているけど)べると会話をしているわけではありません。のあがそう言っているのあの声がべるの頭の中に直接、聞こえているだけでした。

 それはとても不思議な現象だったのですけど、(はじめはただの幻の声だと思っていました)こうしてのあと会話できることは嬉しいことだったし、なによりも便利だったから、べるは『のあの声が自分にだけ聞こえる不思議な現象』のことを、それほど変なことだとは思ってはいませんでした(呑気にぼくは運がいいな、って思っていました)

「どこでもいいよ、のあの好きなところに行こう」

 おんぼろのカラフルなつぎはぎの気球に乗っている、気球乗りの十五歳の少女、べるはにっこりと笑ってのあに言いました。(べるの気球には、とてもたくさんの荷物が積まれていて、危なっかしくふらふらと空の中に浮かんでいて、その一部は気球から頑丈なひもで吊り下げるようにしていました)

 風がとても気持ちよかったです。

 見渡す限りの一面が青色の空と海の世界には、とても暖かな南風が吹いています。

 その風の中でのあはその大きな美しい青色の目を閉じで、ゆっくりと匂いを嗅ぐようにしてその風を大きく吸い込んで、またゆっくりと吐き出しました。

「いい匂い」

 のあは言いました。

 それからのあはべるを見て「南に行きたい」と言いました。

 そののあの言葉を聞いて、「わかった。じゃあこれから二人で南に行こう!」とにっこりと笑って大きな声でべるは言いました。

 するとのあは浅い透明な海の中を歩きながら、嬉しそうな声で、「うん! そうしよう!」とべるに言いました。

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